二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

カメラを手にして家郷をさすらう(ポエムNO.2-18)

2013年08月25日 | 俳句・短歌・詩集
あんなに遠い存在だったはずの祖父と距離が縮まっていく。そういう年齢になった・・・ということだろう。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲ホ短調を聴いていたかたわらの人が不意に涙をあふれさせる。ことばにはならない。ぼくはうなずく。しきりに うなずく。ほかにはなにもできなかったから。すっかり弱ってバルコニーに横たわっていたコフキコガネがぼくの手のひらから勢いよく大空へと飛び立っていく。そんな力が まだ残っていたとは。コフキコガネが姿を消したあたりには最近建てられたばかりの家々が密集している。ぼくはその中の一軒すら知らないけれど。 そこを家郷と呼んでいる。 . . . 本文を読む
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