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にわたずみ

松岡永子
日々のことなど

箔屋 野口(のうち、引箔) 

2010-01-26 18:53:49 | ギャラリー
箔屋さんは西陣織の帯のために箔をつくっている。
その引箔を見せていただいた。



模様の鶴は金糸で織られている。引箔は背景の金地をつくっている。

「金糸」は金箔(を押した和紙)を絹糸などに巻きつけたもの。
「引箔」は金箔を押した和紙を糸のように細く裁断したもの。

つまり、引箔には金糸と違って表裏があり、織りこむときには必ず表側が出るようにしなければならない。その技法、箔を引っかけ引っ張って織りこむことから、引箔、という



和紙に漆を塗り、金や銀、プラチナの箔を押し模様をつくる。
この模様は図ではなく地になる。



裁断屋さんで切られたもの。
紙の縁に90と書いてある。これは1寸を90等分してあるということらしい。
これを織屋さんが緯糸の間に一本一本織りこんでいく。
両端がつながっているのは、模様が崩れないよう順番に織りこむ必要があるから。織る段階で切り離すのだ。

この一連の作業風景はKBS京都「京のいっぴん物語―引箔」で紹介された(昨年12月に取材があったそうだ)。

西陣織って技術の結晶なのだなあ、とあらためて思う。
細い引箔を織りこんでいくのも、織りこめるように細くしかも千切れないように裁断するのも、そんなに細く裁断されても剥がれないよう箔を押すのも、繊細で確実な仕事だ。
それはさらに、強く滑らかな和紙を漉く技術や金箔を打つ技術に支えられている。

箔屋さんの仕事は、和紙を一枚一枚手でこすって確認することから始まる。
紙に石などの不純物が混じっていると、裁断したときに刃こぼれがおこり、きれいに切れないからだ。
その紙に金や銀の箔を押し、砂子を撒いたりして模様をつくる。
引箔は緯糸と一緒に織りこんでいくので、箔の模様は少し縦方向に拡大されることになる。
地模様として紋などを描くときは、できあがりが正円になるように計算した楕円を描かなければならない。
また、漆の塗り方が厚すぎるとその部分が剥がれやすくなるので、全体が平らになるように仕上げる必要がある。

ボードに箔を押す「箔画」(参考「箔画野口琢郎」http://www.takuro-noguchi.com/)をこすったり引っ張ったりする人はいないけど、帯は完成後も締められるから、それに耐えられるようにつくらなければならない、とは野口さんのお話。
箔画では、わざと凹凸をつくるため樹脂で盛り上げた上に箔を押している部分もあるが、帯ではそういった効果は織りや刺繍にまかせて、箔は背景に徹している。

できあがった帯を見ていても見えない、背景にある技術、引箔を間近で見られる。
見学は要予約。
【箔屋野口】京都市上京区元妙蓮寺町546
        TEL:075-415-1150

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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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野口琢郎さんだけが技術を持ってるとはかぎらへんでー (奥 孝義)
2012-07-01 15:54:51
私は、現在46歳、私が30歳代には引き箔後継者は、3人しかおりませんでした、野口さんは、その3人には入っておりません、多分家がある程度ゆとりがあったので、まあ道楽でしょうね、生業人は生活に追われ、他の生業をしております、あんなことは、引き箔業をしておれば、誰でも出来ますよ、私でも、
金、銀、プラチナ、漆、14キロの紙を下さい、私は2mX2mまでは経験アリ、シルクもOK
なんでもしたるわ!!
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