鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<775> フランス人は10着しか服を持たないらしいので

2022-06-27 18:55:53 | 日記

 毎度、ねずみだ。

 まだ6月だというのに暑くてなんともやりきれない。もともと出不精な上に暑さに弱いので暑い休日の日は
出かけるのがおっくうである。6月で35度を超えるのであれば8月には45度を軽く超えるかも。通勤時に自然発火するに違いないアッチッチ。

 通勤に使っている革靴が買い替えの時期になったので、革靴を買いに出かけるんだけども奥さんや一緒に行こうかそうか行くかいじゃあ出かけよう、と妻と二人で新宿のデパートに出かけた。
 目測をつけて買いに出かけたのだが、欲しかった靴は実際に見ると色がどうも思っていたのと違う。店員に
思っていたより色が良くないから今日は買わないで帰るよ、と伝える。
 60歳近いと思われるその女性店員はあわてて色んな靴を持ってきて、これはどうでしょうちょうどこれは今安くなっておりますだとか、これはどうでしょう新しいシリーズが出ているので少し古くなりますがこれでしたらさらに安くしますよ、だとかなんとかまくしたてる。

 4足ほど並べさせて試しに履いてみたところ、しっくりくる一足が見つかった。中にメイドインチャイナとある。リーガルブランドだから品質は大丈夫だと言うので本当か嘘だろうとスマホで検索して確認した後、その一足を購入。なんだリーガルってメイドインジャパンじゃないのか、ともう一度聞くといえいえ、リーガルが傘下に入れてなんたらかんたら、とごにょごにょ言っている。中国人の作った靴なのであまり期待せずに、それでも履き心地は悪くないので持ち帰ることに。15分ほどで買い物終了。

 妻にどうだい夏服でも見ていくかいと聞くと「ううん、要らない」というので、そっか、じゃあ昼飯でも買って帰ろうとエスカレータに乗って地下の駐車場に向かおうとする。
 ところが途中の階、婦人服のフロアで降りて別の用事を済ませると「やっぱり見ていく」と言い出す。結局それから1時間ほど見て回ることに。夏物のパンツとブラウスを吟味し始めてこのパンツにこのブラウス合うかしらと始めた。想定内である。

 どこぞでフランス人は10着しか服を持たない、と聞いた事がある。いくらなんでもそんな話はあり得ないと思うのだが、ウチの妻はフランス人では無いので服が沢山必要らしい。何十人というフランス人の分の服を持っているがそれでもまだ足りないと見える。
 もともと私の買い物が目的で来たのだが、妻の服選びは延々と続く。まあ良しとするか。

 服と言えば。

 うちの母はフランス人では無いのだが、周りに比べて持っている服の数は驚くほど少ない。少女時代貧乏な家の5人姉妹の末娘として育ったので、服はいつも姉のおさがりだったらしい。家族で撮った写真のお袋は同じ服を着て写っていることが多い。流行おくれになってしまった服でも10年くらい来ていると流行が一回りしてくる
ようで、あまり違和感がないね、などとよくお袋は言っていた。毎回不憫に思っていた。
 それもあって給料をもらえるようになってから、よく母親を連れ出して服を買ってあげると喜んだ。それでも世間一般の女性に比べると、彼女の持っている服の数は悲しくなるほど少ないのである。自分の事はいつも後回しにして、親父や兄貴や私の事を優先にしていた。

 妻が熱心に服を選んでいるのを離れてボーっと見ながらそんな事を思い出した。
 妻にはそんなみじめな思いはさせたくない。

 彼女は私の思いをよそに嬉々として服選びを続ける。まあ大丈夫のようだ。

 じゃ、また。

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