鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<753> 親父に謝らなければならない事があって

2021-02-23 22:31:13 | 日記
 毎度!ねずみだ。

 前回の更新からかなりの日数が経った。お袋に関連することで忙殺されていたに他ならない。

 親父は亡くなる直前、忌の際に「お母さんを頼む」と私の妻の手を握って言い残した。その言葉をなんとか守っていこうとできるだけの事はやったつもりだったが、ついにお袋を老人ホームに入れる事になってしまった。現在入院中の病院側の判断だった。一人でトイレで用を足せないようになっており、これでは独居の家には戻せない、というのがその理由。
 確かにいったん家には戻ったものの、3度の食事は訪問介護頼みでトイレもほとんど一人では用を足せないほどになっていた。2月・6月・11月と立て続けに骨折して入退院を繰り返すうち、少しずつ痴呆が進んだのも無理はない。

 元からお袋を老人ホームに入れたがっていた呑気な兄は安心しているようだが、親父にお袋を頼むと言われた私にとってはなんとも苦渋の決断だった。月々30万円程度かかるというその老人ホームで、いったいお袋はどうやって暮らしていくのだろう。部屋の中にトイレがあったり、24時間誰かが近くにいる、という安心感はあるが。
 長野で同じく独居をしているお袋の姉が冬の間だけ娘の家の近くに住んでいる。その叔母から毎週のようにお袋の安否確認の電話が入る。老人ホームに入れる旨を報告すると、いきなり「私が一緒に住むから家に戻るという訳にはいかないのかね。」と泣かれた。お袋よりも年上なので、老々介護どころの話ではない。当人も昨年骨折したばかりでとても現実的ではない。

 毎週お袋には手紙を書いているのだが、ついに先日「お袋、謝らなければならない事がある。」とお袋を老人ホームに入れる事にした旨を報告した。あとで看護婦さんに聞いたのだが、お袋はその手紙を読んで泣き崩れるでもなく、いつものように静かに笑っていたそうだ。実家に戻ることをモチベーションにリハビリを頑張っていたのに。
 あとはお袋が奇跡的に(自分でトイレで用を足せるまでに)回復してくれれば、再び実家に戻る日が来るのだが、現状を考えるとあまり実現性が高いとは思えない。
 
 親父よ、息子を許してくれ、せめて毎週面会に行くよ。親父の墓の前で何度も謝った。親父は許してくれるだろうか。これは老いた親を抱えている誰もが普通に抱えている問題だ。世の中の人達はどうやってこの現実と折り合いをつけているのだろう。皆に聞いてみたい。

 じゃ、また次回。