鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<651>

2014-08-18 18:40:19 | 日記
 毎度!ねずみだ。

 アフリカだったかネイティブアメリカンだったかの諺にこんなのがあるそうだ。
If you go fast, go alone. If you go fuether, go together.
簡単に言うと「早く行きたいのなら一人で行け。遠くまで行きたいのなら皆で行け。」っちゅー事である。

 全国1億人弱くらい居るという(都市伝説)鼠丼ファンの皆様なら誰しもが「なるほど、分かるわかる。」と頷くであろう言葉。

 この瞬間に皆さんが任されている仕事は、そのスキルにおいては往々にして自分が一番(ないしはかなり高順位)であろう。(もし誰でもできる仕事を任されていると思いながら毎日まいにちランニングサークルをくるくる回しているのであれば、それは不幸であり残念としか言いようが無い。)
 仕事の専門性が高くなればなるほど、スキルの高い者の数は少なくなる。ところが組織としてはそれはあまり宜しくない。なぜならばスキルの高い者が異動(あるいは他の理由)でその組織から離れた場合、その組織自体が弱くなってしまう。

 誰しもができる仕事はすでにその職場のシステムに組み込まれており、文化として定着している。組織としては磐石であり、だから次から次へと担当が替わっても組織としてのスキルの低下は一瞬のことである。
 その一方で専門色の強い職務内容は他者に教えにくく、それゆえ「ええい、他人に教えるくらいなら自分でやったほうが早いわいっ!」となってしまう。

 残念ながら私もこの例に漏れなかった。新しいシステムを開発し、新しい仕事のやり方を構築し、今まで無かったプロフィットを生み出し・・・。その挙句見回すと誰もついて来ていない道を一人で突っ走っている自分に気づく。
 あわてて仲間達が歩いているところまで今来た道を戻り・・・。このやり方はまずいと分かっていながらも、「どうせ自分でやるのが一番早いなら、最後まで自分でやりきってしまおう。後発にはあとで教えれば良い。」とばかりにアクセルをベタ踏みで一気に突っ走ってしまう。

 当然自分だけで回せるシステムではないので、誰かに任せる箇所は任せないといけない。その時に周りと距離が開けば開くほど、彼らの元に私が戻る距離が長くなる。しかも一人で走っている私はかなり息切れしている。しかも自分勝手な私はついて来れない彼らに苛立っている。詳しくシステムを説明しながら少しずつ全体を見せなければ、本当の理解は得られない。かいつまんで説明したところで理解度はたかが知れている。

 そんな経験を何度も繰り返している中でこの言葉を知った。周囲から見ればまさに「早く行きたいのなら一人で行け。遠くまで行きたいのなら皆で行け。」である。結果としては弱いシステムになってしまうであろうし、私の後任は育たない。組織は脆弱なものになる。 
 少し進んだら立ち止まって、皆がついてこられるように説明しよう。彼らと同じ目線で少しずつ話そう。私だけが分かっているのは当然だし、彼らが分かっていないのも当然。管理者のドメインの中に組織力のボトムアップもあり、新たに構築したシステムも、長い目で見れば彼らに任せたほうが良い。そうすれば、次のシステム作りに着手できる。

 なるほど。If you go fast, go alone. If you go fuether, go together.

 じゃ、また次回。




<650>

2014-08-12 19:18:55 | 日記
 毎度! ねずみだ。

 我が王立絶望印刷会社は世界的規模なので、社員の国籍も多岐に渡る。当然現地には現地採用の社員がいるのだが、日本で採用された社員の中にも他国の方がいる。

 先日そんな方の一人と一緒に仕事で関わることになった。紹介されたその方の国籍はヴェトナムで日本の某大学の大学院で宇宙工学を学んだ経歴を持つ。残念ながらその実力を日本で発揮することなくなにを間違えたか我が王立絶望印刷に入社してしまった。

 その女性は26歳でグエンちゃんという名前なのだが、日本語が堪能なのは言うまでもなく、マクロを独学で勉強し一年でマスターしてしまったそうだ。関係ないがとても可愛い。
 私はといえばエクセルの拙さはひどいもので、ピボットテーブルがせいぜいである。一時期アクセスを勉強したのだが途中で挫折してしまった。

 彼女の組織は作業効率化のためのデータ解析を得意分野として、製造をサポートする部署である。絶望印刷会社のデータ解析は進んでおらず、過去の膨大なデータを解析すれば最適な生産体制が組めるはず。その解析処理業務はおそらく私が属している部署が行うべきなのだが、前述のとおり課内にはそれらの業務をこなす人材がいないので、この度他部署へのアウトソーシングを試みた。

 ヴェトナムの国民性なのか彼女の素質なのか、話を聞いていると彼女の可愛さ、もとい真剣さがひしひしと伝わってくる。一言でいうと一生懸命なのだ。
 勿論私とて仕事に対する真剣さは誰にも引けを取らない。王立絶望会社を引っ張っていくだけの気概は持っている。しかし、それとはちょっと違う。なんだろう、自分の母国語ではない会話だからか、一言一句のすべてを聞き取ろうとする真剣なまなざし。話すときにも一言一言をゆっくり選んでいる。問題解決のために最短のプロセスを選ぼうとしている。しかも可愛い。

 彼女との打ち合わせを何度か重ねるうちに、彼女が持っていて私たちが失ってしまったものに気づかされた。真剣さである。一生懸命さである。仕事に対する真摯な気持ち。しかも可愛い。
 私たちが普段回している仕事はルーチン業務の上に成り立っているのだが、こころのどこかに「こんなものだろう。」「今までこうだったから、今度もこうに決まっている。」といった慢心さがありはしないだろうか、と気づかされ自戒の念で死んでしまいそうになる。

 彼女と仕事で関わり、失いかけていたものに気づかされたような気がした。
 今度の打ち合わせが終わったら、その真剣さの源について聞いてみたい。新宿のおいしいベトナム料理屋で一緒にご飯を食べ、お酒を飲んでカラオケで彼女の歌声を聴くとともに電話番号と週末の予定も聞いてみたい。(あくまでも仕事の上で必要なのだ。)


 じゃ、また次回!(颯爽と歩き去る。)