鼠丼

神の言葉を鼠が語る

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2013-10-13 20:00:11 | 日記
 毎度!ねずみだ。

 ご存知の方も多いと思うが東京の通勤電車の混み具合は尋常ではない。ダイエットに失敗したご婦人もこの通勤電車を一ヶ月も続ければ、体重を
激減させることに成功すること間違いなしである。あまりの事にショックで痩せてしまうかも。

 さて、そんな通勤電車に揺られる私であるが、どうも混み合った社内でスマホやらゲームやらをいじくりまわしている大人や子供や男や女が苦手である。そんなに狂ったようにメールやらLINEに没頭してはいかんと思うのだがいかがなものなのだろう。
 もしかしたら自分のご両親の訃報でも打ち込んでいるのだろうか。それとも影の世界で暗躍するスパイが上司に報告書を打っているのかも。はたまた沈没する船のデッキで助けを求めてメールを打っているのか電車の中だけどね。

 いずれにしてもぎゅーぎゅーの社内で他人の肩の上にスマホを載せて文字を打ち込むのは頭がおかしいとしか言い様がない。そんなに文字を打ち込みたかったらタイプライターの職業に就けばよい。仕事で頭をフル回転で使わなければならないのにそんなことに脳みそや指先をフル回転で使っては勿体無いのである。

 かく言う私はと言えば、車内では脳みそはアイドリング状態である。それはそうだろう。これから激務に自らを投じなければならないのに、脳みそフル回転で臨まなければならないのに、社内で脳みそを無駄な事に使うのは勿体無いではないか。全くもって企業戦士の一人として嘆かわしいばかりである。声を大にして言いたい。脳みそは仕事以外に使うべきではない。

 むしろ心をフラットに脳みその回転数を落として、そう言わば悟りの境地に至った僧侶のようにして澄んだ瞳を世間に向けるのだ。
 すると隣に立っている女性が目に入る。秋とは言ってもまだ暑く薄着の上着にブラジャーが透けて見える。歳の頃なら30歳くらいか。適度に肉付きが良く意思が強そうなアゴのライン。電車が揺れて体がこちらに倒れかかってくる。ついつい反射的に抱きとめてしまう。彼女のピンヒールが私の靴を踏む。「痛っっ!」と私の口を突いて漏れる言葉。ふくよかな胸の感触。髪から香る品のある香水が私の鼻腔をくすぐる。
 一瞬警戒の色を浮かべながらそれでも「すみません。大丈夫ですか?」と謝る彼女。しかし電車は相変わらず揺れ続け彼女の手は私の腕を掴んでしまう。ちょうどチークダンスを踊るような格好で私の腕が彼女の腰に。
「あ」彼女の照れたような戸惑ったような、そんな声が漏れる。まっすぐに私を見上げる彼女。その唇が・・・。

 妄想で脳みそフル回転。