鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<778> 初めて緊急停止ボタンを押した話

2022-07-26 18:48:41 | 日記

  毎度!ねずみだ。

 昨日の月曜日の朝、出勤のため毎日使用している某地下鉄に乗っていた時の事。座っていたところから数メートル先で「きゃあ!」という
女性の叫び声が。見ると若い女性が倒れており、声の主らしい女性がその隣で立ち尽くしている。

 コロナの影響で混雑が緩和された車内。夏休みに入ったこともあってそれほど混んではいない。
 月曜日に女性が電車内で倒れるのは珍しい事ではない。電車に揺られているうちに貧血で目の前が暗くなり、崩れるように倒れるのだ。通勤に使っているこの地下鉄でも月に2度くらい「ただいま前を走っている車両で急病人の救護を行ったため、この電車も時間調整の為少々停車いたします。お急ぎのところ申し訳ございません。」というアナウンスが流れる。
 そうして途中駅で停車している間に次々に通勤客が乗り込んできてあっという間にぎゅうぎゅう詰めに、という展開。

 何かできることは、と一瞬考える。だが数メートル先での出来事だった事、彼女のとなりに立っていた数人の女性がその女性に「大丈夫ですか?」と話しかけているのを見て、まあおっさんの出番は無さそうか、と思い直す。へたに救護に参加したら「変態!」と騒がれるかも。
 こういう時に人間性が出るもので、先ほどきゃあと声を出した女性はなぜか後ずさりながら遠ざかってしまった。一瞬チラと見たものの興味なさげに自分のスマホに目を落とす者や、何事かと遠くから身を乗り出して見ようとしたりする者もいる。基本的には「我関せず」という輩が多い。

 すると倒れた女性に声をかけていた女性が立ち上がって、「誰か緊急停止ボタンを押してください!」と大きな声で叫ぶ。社内の端にある赤いケースに緊急ボタンがくっついているのが目に留まる。まあ私が押さなくてもボタンに近い人間が何人もいるのでその中の誰かが押せばよいのだが、反射的に立ち上がってしまった。

 つかつかと歩み寄りボタンに指をかけた瞬間、先般、ホームから財布を落とした男が緊急停止ボタンを押して山手線を止めた事件を思い出した。財布を取るために緊急ボタンを押した男に向かって「そんな事で電車止めんじゃねえ!」と駅員が詰め寄った動画がニュースで流れるのを何度も見たのだ。
 一瞬迷う。女性が倒れて緊急停止ボタンを押した場合、「そんな事で電車止めんじゃねえ!」となるのだろうか?だらしない私は振り返って声を上げた件の女性に向かって「押しますよ?」と確認した。「お願いします!」と言われ「ええい!押してしまえ!」とボタンをグイっと押し込む。ボタンの上のランプが赤く点灯する。運転手や駅に連絡が行くのだろう。すぐに「ただいま緊急停止ボタンが押されましたので、次の駅で少々停車いたします。」というアナウンスが。車内で火事などが起きた場合、次の駅まで走らないと客が逃げられないのだ。

 次の麻布駅に電車がすべりこむと駅員が走ってきた。先ほどまで倒れた女性に声をかけていた女性が駅員を手伝って車外に運び出す。
 以前電車内で倒れた女性を車外に運び出したことがあるのだが、意識が無い人間はなぜか重くなる。ぐにゃぐにゃになっているからだろうか、運ぶのに苦労する。なんだかんだで3分近く停まっていた後、地下鉄は何事もなかったように走り出した。「ただいま車内で急病人が発生いたしまして、救護を行った関係で当駅を3分ほど遅れて発車いたしました。お急ぎのところご迷惑をおかけいたします。」というアナウンスが。

 生まれて初めて緊急停止ボタンを押したが、ちょっと緊張した。
 貧血で倒れた女性は麻布駅で介抱されたのだろうか。まあ貧血で救急車は呼ばないだろうけど。無事だと良いのだが。倒れた時に頭など打ってしまう事がよくある。
 それにしても何の躊躇もなく「誰か緊急停止ボタンを押して下さい!」と叫んだ女性の判断の速さに比べて「押しますよ?」と念押ししてしないと電車を止められないおっさんのだらしなさ、トホホ。

 じゃ、また。


<777> googleアースで育った所を見に行ってみたら

2022-07-12 19:07:02 | 日記
 毎度、ねずみだ。

 googleアースというのがあって、まあ簡単に言うと地図なのだが、ご存じのとおり実際に道を走りながら360度撮影している。
 初めはプライバシーの侵害だなどと叩かれていたが今では皆重宝している。

 さて、愛知県の協力工場の位置を地図で見ていて、ふと思いつきgoogleの地図で小学3年まで過ごした家のあたりを見て回る。2020年に更新してあるらしく、1976年まで過ごしたあたりはまったく知らない町へと変貌を遂げていた。
 家の前にある大学の敷地がわずかに当時の様子を思い出させる程度で、かつて走り回った畑だらけの町内は新しい分譲住宅で埋め尽くされていた。40年以上も経っているので当たり前と言えば当たり前。

 あやふやな記憶を頼りに、かつて遊びに行っていた近所の友人宅を見に行ったが、ことごとく建て替えらている。彼らは今でもそこに住んでいるのだろうか。それとも田舎の小さな町から、外の広い世界に飛び立っていったのだろうか。
 通っていた小学校はそのままあったが、建物も建て替えられており、見知らぬ小学校になっていた。古い校舎だったころは「小学校の七不思議」が小学生たちの心を掴んでいたが、校舎はきれいな建物に代わってしまい、これでは不思議な事も起きそうになかった。

 こうなると必ず見に行くのが実家。
 googleアースは何年かに一度更新されるらしく、実家の様子は2018年4月に撮影されたものに更新されていた。
 親父がまだ元気だったころなので、庭はきれいに整備されており花々があちこちに咲いている。庭の一角が仕切られており、ナスだかトマトだかを植えては鳥に食べられる、というのを繰り返していた。たまに巨大なキュウリをもらった憶えがある。写真には畑の区切りだけが写っていた。

 親父が亡くなってからは手入れをする者がなく、雑草が好き勝手に生えてしまい今では見る影もない。今年に入って2回ほど雑草を刈ったのだが刈るペースよりも伸びるペースが圧倒しており、無残な様相を呈している。次回googleが更新する際には悲惨な状況が世間にさらされることに。
 
 親父に怒られる前にスクリーンショットを残しておくとしよう。

 おやじ、すまん。お盆休みに入ったら一日かけて雑草を刈るよ。

 じゃ、また。