毎度!ねずみだ。
毎年末恒例の作業のひとつとに、「両親の年賀状を作ってやる」というのがある。友人たちがそれなりにパソコンを駆使して写真入の年賀状を送ってくるのが羨ましいらしく、年末に近づくと「年賀状に載せる写真を撮ってくれ。」と要請される。
もともと夫婦そろって写真を撮るなど年に数回もない彼らだが、年を経るにつれてますますその回数は減るばかりである。そこで年賀状に載せるべく写真を撮ってやった。ネコの額ほどの庭先で草花をバックにしてスマホで写真を撮る。そのまま遺影にしても良いような写真が撮れた。これが本当の「草葉の陰から」であるなんだ上手い事言っちゃったよ。
さっそく画像をパソコンに取り込み年賀状作成ツールに貼り付ける。背景と題字をネットのフリー素材を拾ってくる。レイアウトしてあっという間にやっつけ、プリントアウトしてサンプルを見せる。
その日は喜んで「夫婦揃って元気な写真が載っていると皆喜ぶんだよ。」と言っていたのだが。
翌週顔を出すと母親が「今年は写真無しにすることにした。」と言い出した。始めは何を言っているのか良くわからなかったが、遠まわしに写真が気に入らないような事を言っているので、別の写真と差し替えてふたたびサンプルを作る。今度は写真を少し加工してみた。
どんな加工をしたかというと、写真を思いっきり明るく(顔のシワが飛ぶくらいに)しただけである。
サンプルを見せると、さっきまで「写真は要らない。」と拗ねていた母の顔が急に明るくなった。「これなら写真があったほうが良いね。さっきの写真は顔色も悪くてなんたらかんたら。」とご機嫌になった。「やはり年賀状には写真が無いと駄目だね。全然違うね。」と言い出す始末である。
今年79歳になった母親ではあるが、やはり女はいくつになっても、という事か。
この話を奥さんにしたところ、「じゃあ、年賀状の写真の私のほうれい線も消してよ。」と文句を言われた。
じゃ!