鼠丼

神の言葉を鼠が語る

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2014-02-26 12:37:49 | 日記

 毎度!ねずみだ。

 気がついたら新しい年になっていてびっくり。相変わらずの筆の遅さだ。いやこの場合キータッチが遅いと言うべきか。

 さて、今回の話は蟹である。あの足が比較的沢山あって海底をトコトコ歩いていて熱湯の中で赤くなる、あのカニである。サルに意地悪されて柿を投げつけられた、あのカニである。
 先日奥さんのご機嫌を取る為に蟹料理を出す店に連れて行った。吉祥寺駅から徒歩3分の位置にあるその店は開店後すぐに満席になるほどの人気店であるらしく、前日に予約したにも関わらずカウンター席しか確保できなかった。

 当日店に出向くとカウンターの両脇は女子大生の二人連れであった。のべつ幕なしで喋っている。テーブル席を確保できなくてすまなかったと何度も謝られた。私としては甲殻類を黙々と食べるのに妻の顔を見ても見なくても味が変わるわけではないので一向に構わないのだが、妻はいつまでもぐずぐず言っていた。
 さて、3,980円のコースはカニの酢の物→カニコロッケ→焼き・茹でどちらでも可能なカニと野菜(七輪とナベ)→カニ雑炊→カニアイス、もとい抹茶アイスの順に運ばれてきたのだが、最近とみに小食になっている私達にとっては十分すぎる程の量であった。運ばれてきた大皿にはアブラ蟹、ズワイ蟹、タラバ蟹が皿の上に鎮座ましましている。
 
 妻はおもむろにカニ足を鍋に投入しはじめたのだが、私は「いや、私は焼きます」と七輪に乗せ始めた。ここで今回の結論を早々に書く。

 カニは焼き

 なんと清清しい響きだろう、「カニは焼き」。この潔さはアレだね、枕草子に出てきそうなフレーズだ。「春はあけぼの、夏は夜。秋は夕暮れ、冬はつとめて。」そしてそれに続くのが「カニは焼き」。誰もが納得だと思うがいかがか。

 さて、焼きガニを食べた方ならお分かりだと思うが、真髄はあの香ばしさに有る。甲殻類の殻をあぶると立ち上る独特の香りに包まれたプリプリの身。甘さと適度な塩味と口中に広がる香ばしさ。三位一体の攻撃に私はひれ伏すしかない。
 始めはカニを鍋に投入していた妻もやはり焼いたほうが断然旨いことに納得し、早くも「次回は全部焼いてもいいね。」などと言いはじめた。無論鍋は鍋で旨いのだが、やはりカニは焼くに限るのだ。

 早くも「月に一度はカニを焼こう。」などと勝手なルールを設定した妻は、帰りの電車の中でもご満悦なのだった。