鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<714> 歯の強制と言えば

2017-10-14 06:21:54 | 日記

 毎度!ねずみだ。

 会社でのこと。以前仕事で関わったことのある若い女性と久しぶりに廊下ですれ違った。半年ぶり位だ。

 向こうから声をかけてきたのだが、どうも雰囲気が以前とは違っていた。「なんか雰囲気変わったね。」と言うと彼女はにっこり笑いながら、「そうですか?」と答える。見ると歯並びを強制している。
 そのことを聞くと、「そうなんですよ。半年前から強制入れてます。」と答えた。

 彼女は子供の頃から歯並びの悪さがコンプレックスだったこと、親を恨んだりもしたこと、そのせいで人前では決して歯を見せるような笑い方ができなかったことなどを、延々と吐露し始めた。
 そして、最後に「でもこれで人と話す時に相手の顔を見て話せるようになりました。」と付け加えた。なるのど。雰囲気がかわっていたのはそのせいだったか。

 歯の強制費用はかなりかかるそうだが、それで人生が変わるのであればむしろ安い。20年数年間抱えてきたコンプレックスから解放されるのだから。
 誰しも(もちろん私も)多かれ少なかれコンプレックスを抱えて過ごしている。コンプレックスをお金で解消できるのであれば当然そうするべきで、人生を前向きに生きるとはそういうことだ。よくテレビで整形手術をして涙を流して喜ぶ女性のドキュメンタリーを流しているがそんな話は市井のいたるところに転がっている。

「まえから可愛かったけど、余計に美人になったね。」と言うと彼女は「そう言ってもらえて本当にうれしいです。少しですが自分に自信がつきました。」と笑いながら答えた。

 なんだかこっちも元気を分けてもらったような気がする。

 じゃ!

 
 

<713>募金と言えば

2017-10-07 06:34:39 | 日記
 毎度!ねずみだ。

 いんやー、久しぶり。死んだわけではないので安心してくれ。
 わけ有ってこのクソみたいなブログを投稿している暇がなかったのだ。

 先日のこと。
 出勤途中。赤い羽根共同募金を募っている人たちが、駅の前で「赤い羽根の共同募金です。お願いします。」とやっていた。以前は募金してくれた人たちに鳥の羽を配っていたが、ここの集団は赤い羽根のイラストが描かれたティッシュを配っていた。赤い羽根を胸に指すのが偽善者っぽくて嫌で、募金をしても羽は断っていたのだが、こちらのほうが余程役に立つ。 
 それはさておき。

 一人の女性が募金箱の前で財布を取り出そうとしていた。通勤途中だったがふとその方が気になって私は足を止め、遠巻きに見ていた。その方自身が手足に障害を持っているようで、財布を取り出すのにも難儀している様子。年のころはまだ20歳そこそこ。ショートカットのかわいらしい女性だ。
 苦労して取り出した財布からこれまた苦労してなにがしかの小銭をひっぱりだした彼女は、ゆっくり募金箱に近づき小銭を投じた。
 募金箱を持っている女性も、そのとなりで声を張り上げていた男性も黙ってじっとその女性の一挙一動を見守っている。足早に行きかう雑踏の中でその空間だけが音を失い、ゆっくりと時間がながれていた。

 彼女は募金し終えた後、ぺこりと頭を下げ、その場を去ろうとした。募金箱を抱えた中年の女性が弾かれたように「ありがとうございます!」と、おそらく心の底から出たであろう声でお礼を言った。となりの男性も頭を下げてありがとうございますと言った。

 彼女は普段周囲から支えられて生きていて、おそらくその周囲に対する感謝の心から募金箱にお金を投じたのかもしれない、私は勝手に推測した。
 なるほど、募金とは(金だけでなく色んな意味で)持つ者が持たざる者に一方的に施すものだけではなく、持たざる者でも持たざる者と互いに支えあうことも出来るのだなあ、と気づかされた。

 最近はあしなが育英会と被災地への募金以外はしていなかった私だが、戻って募金箱に昼飯一食分を投じた。