毎度!ねずみだ。
先日、会社の同僚の母親が亡くなり、通夜に参列してきた。彼は私と同じ年で、独身である。
実は去年父親を亡くしており、一年を待たずして今度は母親を亡くしたのだ。おせっかいな私は独身の彼のために見合いをセッティングしたこともあったが、結局うまくはいかなかった。
告別式も終わり数日して彼が出社してきたので、お悔やみを伝えると彼は「まあ、年も年だししょうがないね。結局親孝行もできないまま親父もお袋も死んじゃったよ。」と苦笑していた。
本当にそうだろうか。
親に嫁の顔をみせられなかった、と言う点ではあながち間違ってはいないかもしれない。ただ物事は捉え方によって、良くも悪くもとれる。
彼は毎日母親が一人で待つ家に帰ったあと、必ず夕飯を食べていた。「母親が作り置きしてくれるから、食べないわけにはいかないんだよ。」と彼は100キロのお腹を撫で回す。
個人的な感想ではあるが、毎日息子のために夕飯を作る母親というのは、これはこれで幸せだったと思う。私も出来るだけ実家に顔を出そうとしているが、その度に母親は「ごめんね、いつも同じものしかないんだけど、ご飯食べていくよね?」と私のためにおかずを並べてくれる。
時々現れる兄に対しては、「ハンバーグが好きだから買っておいたよ。」と生協で買い置きしておいたハンバーグを温めるのだ。53歳になるおっさんに「ハンバーグが好きだから。」というのもどうかと思うが、彼女の中では「子供の頃に好きだったのだから今でも好きなのだろう。」という思いがあるのだ。
「毎日息子が夕飯を食べてくれるなんて、お袋さんは幸せだったよ。」と話すと彼は長い溜息をついて、「ありがとう、そう考えることにするよ。」と答えた。