鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<703>男というのは勝手なもので

2016-10-24 18:37:55 | 日記

 毎度!ねずみだ。

 唐突だがねずみも年をとった。昔の恋はやはり昔の恋で、私も年をとったがかつて結婚を意識した相手も年をとった。うーむ、光陰矢のごとし、た。

 まだ妻と知り合う前の話。

 まだ33歳の私より二つ年上、晶子さんはそれでもまだ35歳だった。結婚を意識した相手だったが、良くある「些細なけんか」で別れてしまう。
 程なく彼女は結婚してしまった。私も異動で都心から離れた勤務地に通うようになり顔を合わせることもほとんど無くなった。

 再び近くで働くようになったが、年月はあっという間に過ぎ去っており、彼女は夫との間に一女をもうけており、私も妻と結婚してからの再会となった。過ぎ去った年月は実に無慈悲かつ無残なもので、私もおっさんになり彼女もおばさんになってしまった。
 
 私は49歳になり、彼女は51歳になったのだ。

 とある冬の寒い夜、彼女はストレス起因のクモ膜下出血で倒れ救急車で運ばれる。幸いにも後遺症は全く出ず、3ヶ月の休養の後に職場復帰した。職場復帰を共通の知人から聞き、ほっと安堵のため息をもらした。

 たまたま廊下でばったり再会した。まさに邂逅という言葉がぴったりの再会。ぎこちなく挨拶した後、どこからともなく唐突に言葉が次から次へとあふれ出した。

 久しぶりだねクモ膜下出血で倒れたって聞いたけど大丈夫だったの?後遺症は出ていない?晶子さんは思いつめるタイプだからストレスを溜め込んでしまったんだね倒れたって話を聞いた時は本当に泣きそうになったよそれで無事だったって聞いた時は本当に泣いたようれしくて会社で泣いたんだそれより子供はいくつになった?そうなのかもうそんなに大きくなったのか晶子さんに似て美人に育ったんだろうね知っていると思うけどこっちも結婚したよ勿論晶子さんよりも美人で聡明な女性だよ冗談だよ写真見せて欲しいって?いいよほら晶子さんよりちょっとだけ美人だろうあの頃が懐かしいね金曜日仕事が終わってから深夜まで遊んだねカラオケ行ってふたりで喉が枯れるまで歌ったね勿論今でも鮮明に憶えているよ何しろ・・・
 
 男と女では脳みそのつくりが違うのかもしれない。彼女はどう考えているかは別としてたぶん私は今でも彼女のことが好きなのだ。

 勿論、妻を愛しているのは言うまでもない。
 たぶん、子供の頃飼っていた柴犬のように、大事にしていたおもちゃのように、海岸で見つけたキラキラしたガラス瓶のかけらのように、子供の頃家族で他愛の無い会話を交わしながら食べた夕食のように、セリフの一つ一つを憶えてしまってそれでも何度も見返す映画のように、好きなのだ。
 愛しているのとは違う。ただ猛烈に懐かしく大切な思い出と同じ位、好きなのだ。

 何しろ、今でも晶子さんの事は昔と変らないくらい好きだよ。

 自分でも驚くほどすんなりセリフが私の口を突いて飛び出した。

 ありがと、本当にありがとう。旦那以外の男性からそう言ってもらえて、本当にうれしい。彼女は自然に笑った。あの頃の笑顔と全く変らない魅力的な笑顔だった。





<702>高圧洗浄機と言えば

2016-10-24 18:06:19 | 日記

 毎度!ねずみだ。

 先日高圧洗浄機を買った。

 高圧洗浄機とはなんぞや。
 車を洗ったりする際に使うホースの先から出る水の勢いが、半端なくすごい機械のことだ。食洗器とは違う。なんとも拙い言い方だがそのほかに適当な言い回しが見つからないので、あとは賢明なる読者の皆さんの読解力に期待する。

 ケルヒャーなるなんとも間抜けな響きのドイツメイドの洗浄機なのだが、もうとにかく凄いのである。構造は至ってシンプル。蛇口から水を供給してモーターで高圧をかけ、さらに細いノズルから気違いじみた勢いで水を噴射するという仕掛け。
 その勢いが日本人の想像を遥かに凌駕しているのだ。恐らく日本人が同じものを作ったとして、ここまでの勢いを性能として付与しなかったに違いない。

 新築で購入したグリコのおまけのような狭小住宅のネズミのひたい程の狭いガレージを掃除せずにいたら、苔やら汚れやらで結構悲惨な状況に。  で、今回購入したケルヒャーで洗浄する運びになったのだ。5年分の汚れはさぞかし強敵だろうと思ってケルヒャーのスイッチを入れたところ、あっと言う間に汚れが落ちる。そこまで強力にこそぎ落とさなくても良いだろうと言うほど強力な洗浄力。もうほとんどコンクリートの床部分が剥がれてしまうのではないか、という使用感。おいおいそこまで強力な勢いでコンクリートにアタックしなくてもよいではないか。多分直接人間に向かって噴射したら、吹っ飛ぶか身体に穴が開くのではなかろうか。

 あれよあれよと言う間に綺麗になってしまった。はい洗浄終了です。

 久し振りに驚愕を覚えた。というかむしろ恐怖の域。機能重視なドイツの実力を見せつけられた思いがする。容赦ないという一語に尽きる。こりゃ勝てない。

 ちょっとドイツに勉強に行ってくるよ。