鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<688>

2016-05-28 07:23:37 | 日記
 毎度!鼠だ。

 小学生の頃から、転校生が来ると世話を焼いていた。本当は「やらされていた」が正しい。

 学級委員や中央委員を任されていたせいかもしれない。学級委員、中央委員というと響きは良いが、要は先生の使いっ走り。クラスで面倒な事案があると尻拭いをさせられる損な立場。

 面倒な役回りだと愚痴を言うその一方で、少年だった私はこんな事も考えていた。
 可愛い転校生がやって来て、面倒を見ているうちに、その娘が自分に恋をするかも。今にして思えばバカげた妄想だ。実際には漫画でしか起きないようなことだが当時の小学生の頭の中は、こういった事で一杯だった。

 過去の実績に照らして見ると、往々にして転校生は可愛かった(ような気がする)。「転校生」という響きが可愛さを3割り増しにしていたのもあろう。

 そんな小学生だった私も今年49歳に。

 四月に中途採用された社員がいて、その娘が馴れ馴れしく話しかけてくる、という話を少し前に書いた。彼女は大人しそうな感じで、線が細く、見た目は(誰もが美人だとは思わないかもしれないが)私の好みの丁度ど真中、正に「超ストライク」。
 先日、件の娘が「ちょっと教えて欲しい事があるんです。」と話しかけてきた。何やら神妙な顔つきである。何となく涙のあとが見てとれる。話している間に「もしかして誰かに意地悪された?」と聞くと(いや、本当は聞くべきではなかったのかも知れないが)ポロポロと真珠の涙を流し始めてしまった。私の席に来るまで我慢していたに違いない。

 周囲からは容赦ない好奇の視線が。また女性を虐めて喜んでいやがる、といった蔑みの視線が突き刺さる。いやいやいやいや私は清廉潔白なのだが。
 こういう場合は(今までの経験則からすると)詳細を尋ねたり、「かわいそうだね。」と同情したりするのは厳禁である。号泣状態になる場合が多い。最小限の言葉をかけ、彼女が抱えていたトラブルを解決してやり「泣くならトイレでこっそり泣くようにしなさい。人前で泣くといじめっ子が喜ぶだけだ。」とだけ言葉をかけた。

 ようやく涙がおさまった彼女が「どうして○○さんってそんなに私に優しくしてくれるんですか?」と熱い眼差しで問いかけてきたので、どうして私が君に優しいのか知りたいのかい?じゃあ今夜ホテルでゆっくり教えてあげようなどと言うわけもなく「頑張っている新人を助けるのが趣味なんだよ。」と答えた。

 しばらくして落ち着いたのだろう、彼女は自分の席に戻る際に「また私のことを助けてくださいね。」と悪戯っぽく笑った。

 うーん、危ない恋の予感。(頭の中で、「恋は遠い日の花火ではない」というナレーション、小林亞星の「夜がくる」をバックにサントリーのCM<長塚京三バージョン>がヘビーローテーション。)

(風雲急を告げる次回に続く!!)


<687>

2016-05-25 12:41:06 | 日記
 毎度!ねずみだ。
 
 タレント、天賦の才能と呼ばれるものがある。

 天からの授かり物であり、欲する者全員が手に入れられるものではない。これは仕事やスポーツだけに  限ったことではなく、全ての事柄に共通する不変的な事実であろう。天からの授かり物と言っても、ずっと空を見上げていて何処からか落ちて来るものではなく、気がつけば自身に備わっている。天から選ばれる者は当然少なく、だからこそ突出した成果を残せる。

 タレントを持っている者は少しの努力で「高み」に達する事ができる。何しろ天賦の才能が備わっているので、高みへの「ショートカット」を持っているのだ。
 その一方で「持たざる者」は地べたを這い回り、泥にまみれながら梯子を作ったりレンガを一つ一つ積んだりしながら、それを登って少しずつ高みを目指すしかない。

 ほとんどの人たちが「持たざる者」で、無論私もその例にもれず仕事におけるタレントを持っていないと自負している。
 ではそうした「持たざる者」はどう生きるのか。選択肢は二つ。一つは地べたを這いまわり泥だらけになりながら、一歩ずつ階段を上っていく、そういう方法をとるという選択肢。そしてもう一つは同じ金魚鉢の中をグルグル泳ぎ続けて、自身の環境を恨みつつ外の世界を羨むだけ、という選択肢。
 努力もせず同じ場所に留まるのだから当然進歩はない。後から来た「やる気のある連中」にどんどん追い越されていく。自分が取り残されていくのを環境のせいにしているので当然反省はしない。

 そこで問題が。我々はそういった
「持たざる者」で、なおかつ「努力をしない者」をどう扱うべきなのか。先日書いたウチのダメダメ社員のことである。こういう者も引っ張っていかないと、組織としては進歩のスピードが鈍ってしまう。
 かと言って何度叱咤激励しても本人に努力する気がないので、言わば暖簾に腕押し、馬の耳に念仏の状態。そのまま放置しておくべきなのかそれでも少しでもレベルアップさせるべきなのか。

 こんな時に私は常に思い起こす言葉が。

 If you go fast, go alone. If you go further, go together.
 (早く行きたいなら一人で行け。遠くまで行きたいなら皆で行け。)

 はて、どうしたものやら。



<686>

2016-05-23 21:28:19 | 日記
 毎度!ねずみだ。

 先日、妻と表参道に出掛ける機会があった。

 休日になると沢山の人でごった返す場所である。昔から若い人たちで一杯になる街だったが、最近は半分以上が外国籍の方々だ。本当にここは日本なのか、と我が目を疑うほど。

 表参道の中程で常時新潟物産展をやっている。其処の地下でへぎ蕎麦を食べさせる店があり、何度か利用しているので今回も其処で蕎麦を食べることに。
 案内されたテーブルに座ってオーダーを終えて暫くすると、隣に西洋人の夫婦が座った。メニューを覗き込み何やら話し合っている。聞いているとどうやら英語やフランス語ではない。
 
 私には困っている他人(特に外国人)を見るとお節介の虫が動き出す癖がある。ついつい「何か困っているのか?」と英語で問いかけると、やはり英語で「どれにしようか迷っているし、どういうオプションがあるのかよく判らない。」との答えが返ってきた。 
 聞くところによるとこの夫婦はイタリアからの旅行客で一週間の滞在だそうだ。成る程彼らの話す英語が分かりやすかったのはネイティブイングリッシュではなかったからか。(個人的な意見かもしれないが、ネイティブでない者同士の英会話は発音・センテンスの短さ・話すスピードの遅さ、という点から理解しやすい。)

 SOBAはどうしても食べたいと言うので、SUSHIとSOBAのセット、鯛の炙りを載せたRICEBOWLとSOBAのセットはどうだと勧めてみる。夫のほうからABURIとは何だと問われて、ふと困った。炙りABURI…?極端に語彙が少ない(度胸だけは一人前だが、使える英単語は多分50個に満たないいや本当の話であるわーみっともない。)のが分かっているのなら黙っていれば良い、といつも思う。それでもついつい「おもてなしの心を持った親切で優しい日本人」をアピールしようと声をかけてしまうのだ。
 
 それはさておき「ABURI 炙り」だ。結論から言うと、多分BAKEDやBROILEDを使うのが正しいのだろうが彼らに説明している中でその「BAKE」「BROIL」が出て来なかったわー恥ずかしい。

 で、しばしの逡巡のあとわたしが選んだのは「LITTLE BURNED」。
 私としては「ちょっとだけ焼いた」と表現したかったのだ。取り敢えずなんとなく私の説明が通じたのか、彼らは私のお勧めを頼むことにした。
 彼らにしてみれば 「OMOTESANNDOという街で親切な日本人がFUNNYな英語でメニューを説明してくれた。」と言ったところか。今頃奥さんが「ABURIをLITTLE BURNEDと英訳しやがった。HA-HA-HA!」とFacebookにでも書き込んでいるかも知れない。

 まあ、それだけの話だけどね。


 余談1
 彼らは日本語のメニューを写真に撮ってそれを取り込み、指でなぞって母国語に編訳する、といった素晴らしいアプリを使っていた。「とても使えるアプリでしょ。」とイタリア人夫婦の奥さんのほうがが自慢していた。帰ってから早速ダウンロードしたのは言うまでもない。

 余談2
 彼らのオーダーを手伝うつもりで店員を呼んで通訳してやろうとしたら、その店員が物凄く流暢な英語を話し始めたぞ。ぢぐしょー初めから説明しに来いよ!

 じゃ、また。


<685>

2016-05-19 21:35:42 | 日記
 毎度!ねずみだ。

 出来の悪い部下がいる。

 などと書くとよくある話だと一蹴されそうだが、もうなんと言うかそのダメさが半端ではない。

 何度同じミスを犯して何度怒られても改善できない。数かずのダメなヤツを見てきたが、彼はダントツでダメ。
 笑うしかない位ダメ。その上姑息で卑怯。仕事が出来ないのはなんとか我慢できるが(いや、やはり我慢できない。)、人間として心根が腐っているのだ。会社に入ってから初めて声が枯れるまで部下を叱った。いや、叱ったのではなく怒った。

 前任者から引継ぐ際に「こいつは本当にダメなので注意してください。」という言葉があった。その時は「大丈夫です。私が教育してなんとか一人前にしてみせますよあっはっは。」と言い切ってから2年あまり。
 漫画やテレビドラマでダメ社員が出てくると、「いや、さすがにこんな酷いヤツはいないだろう!」と突っ込むが、彼のダメっぷりはそんなの比ではない。多分脳みその作りが我々と違っているのだろうが、ギネスブックに載るようなダメ加減である。彼のミスを列挙すると万里の長城は最初から最後まで埋め尽くされてしまうくらいだ。

 周囲からも「彼を押し付けられて御愁傷様。」と言われている。

 彼にも老いた両親がいて、なんとか一人前の姿を見せてやるのが親孝行だよ、という話をよくするのだが、その時は神妙な顔で聞いているのだが、翌日になるとケロリと忘れているらしく同じミスをする。
 なぜ同じミスをするのか問い詰めても、その度に他人のせいにしてみたり、システムのせいにしてみたり、要は自分をとりまく環境のせいにしているのである。
 周囲はそんなヤツはさっさと異動させてしまえば良いと思うだろうが、いかんせん悪評が知れ渡っているので引き取り手がない。上長も含め、周囲は「引き取り手がいない以上、死ぬまで面倒に見てやれよ。」と笑うばかりである。あちこち回されてきて流れ着いたのがウチの部署なのだ。

 何かのきっかけでやる気スイッチが入ればと思い、じっと待ち続けている毎日である。いつの日かスイッチが入るのだろうか。いやその前にスイッチがあるのだろうか。私の中では、諦めている自分となんとかしてやりたいと思う自分が毎日のように喧嘩している。今まで出来の悪い部下を独り立ちさせてきたのだから今回もなんとかしてやりたいような、投げ出したいような。

 もしかしたら何かの罰ゲームなのだろうか、と思う。

 ぢっと手を見る。


<684>

2016-05-18 20:25:42 | 日記

 毎度!ねずみだ。

 先日iPhone用にキーボードを購入した、という話を書いた。
 酒場で友人に執拗に購入を勧めたが、買った友人の評価はイマイチだった。ええい、分からん奴には何を言っても分かるまい。

 昼休みの間の短い時間にこのキーボードでパタパタと文章を打っていたところ、職場の同僚が「何だそれ、面白いオモチャだな。」
と覗き込んできた。ほれほれ、友よ、分かる奴には分かるのだよ貴様が分からずやなのだよ。
 彼はタブレット端末を会社から支給されていたのだが、(使っている方は分かると思うが)入力が面倒であまり使っていないとのことだった。

 そこで私が使っていたキーボードをそのiPadに接続してあげたところ、「おお 、こりゃ面白い。」と大喜び。
早速購入したらしい。
 やはり我々の年代にとって、文字入力はパタパタと鍵盤を打つのが楽なのだろう。画面を触ったり横になぞったりするのはなんとも味気ない。「打っている」感が欲しいのだ。

 さて、必要かどうかは別として、オモチャというものは一つあるともうひとつ欲しくなるのが人情。一つは家の中で使う為に、もう一つは会社使いで持ち歩けるように。
いや、勿論現在使っているこの鍵盤だってじゅうぶん小さいし、重さも200gに満たない。とても軽い。何か不具合があってもう一つ買わなければいけないというのでもない。
理由はともかく欲しいものは欲しいのだ。
 という訳で Amazonで検索していると折りたたみ式の鍵盤を見つける。目ざとい妻が寄ってきて、なんでキーボードなんて検索しているのか、この前買ったばかりではないか、
壊れた訳でも無いのになんで更に買うのか、勿体無いではないかと執拗に責める。

 始めは、いや実は持ち運ぶのに何たらかんたら、とか会社で使うのにあーだこーだ、こいつは折りたたみ式だから物凄く良いんだぞ、となんとか理由をつけて奥さんの説得を試みたのだが、だんだん面倒になってくる。
 だって君だって何万円もするバッグを毎年のように買っているじゃないかそれに比べれば4,000もしない鍵盤を買うくらい問題があるものか、と危うく言ってはいけないセリフが口を突いて出そうになった。

 そんな事を言っても 奥さんには通じないのだ。何しろ結論から言うと彼女が正しいのは言うまでもない。いや高額のバッグの話はこちらに置いといて。

 じゃあ、買わないよ、と言いながら奥さんが目を離した隙に注文してしまった。「注文を確定しますか?」ボタンをポチッと押してしまったざまあ見ろ。
たかだか4,000円の買い物で奥さんの顔色を伺うのもどうかと思うが、ちょっと後ろ暗い自分が情けない。

 まあ買ってしまったものは仕方がない。早く届かないかな~。折りたたみキーボード楽しみだな~。