(これは2018年4月の記事です)
ジェシカ・チャステインという女優を知ってますか?
「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」「ゼロ・ダークサーティ」「インタースティラー」等々に出ています。
今回この映画を見ようと思ったのは、ジェシカ・チャステインが主役だったから。
女神の見えざる手(ジョン・マッデン監督作品 2017年公開)
すごい映画です!
とにかく主役のジェシカ・チャステインがすごい!
最初に見たとき、主人公のエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)は冷徹で血も涙もない、非情なサイコパスのように見えたのですが、二度目に見ると彼女の背景も徐々にわかってきて、決して非情なサイコパスではなく、計算しつくされた戦略によるものだとわかるようになります。
ストーリーはやや込み入っており、しかも物凄いスピードで展開されるので下手すると置いてけぼりを食らいますが、二度見すれば大丈夫。
これは、アメリカの銃規制問題に深く切り込む社会派の映画でもあります。
エリザベス・スローンは敏腕ロビイストで、銃規制法案が上院に提案されたとき、この法案に反対する側から声をかけられます。
女性を味方につければ勝てる、ぜひ、女性たちに銃が必要だと思わせる手立てを考えてほしい(!)
スローンはそれを一笑に付して、反対側の銃規制法案を通そうとしているグループのロビイストになります(ロビイストの団体があり、スローンはその団体に雇われている)。
ロビイストというのは、簡単にいうと、根回し役ね。
議会に法案が提出されたとき、それが通るかどうかは、このロビイストの活躍如何にかかっているというわけ。
アメリカの議会も日本と大して変わらないのね、と思った。
大金を積み、身内の弱みにつけこみと、卑怯な戦略の数々。スローンの冷酷非情な戦略も影が霞むほど。どこの国でもこういうのってあるんだろうな。
銃規制法案が通るかどうかは賛成・反対の議員の数にかかっている。
そこで、ロビイストたちは、議員に根回しをして、銃規制法案が無事通過するように、あるいは銃規制法案が通過しないように、議員たちを説得してまわります。
その最中にいろいろ起きるわけ。
あれやこれやあって、スローンは上院の聴聞会に召喚されます。
映画の冒頭は、この聴聞会から始まり、時間をさかのぼってなぜ彼女が召喚されたのか、そのストーリーが展開されるのですが、時々また聴聞会の場に戻るので、少々ややこしい。
これ以上書くとネタバレになり、ネタバレすると面白さが半減するタイプの映画なので、ネタバレは避けますが、
何より感動したのは、スローンの強さ、そしてアメリカという社会の非情さ、けれども、その非情さに立ち向かう人々も大勢いて、彼らの意思の強さと凛々しさ・・そういうあれやこれやを考えさせてくれる映画です。
何しろ、スローン(ジェシカ・チャスティン)がすごい!
女性で一匹狼。しかも全能といえるくらい優秀で美しく、そして、孤独。
なぜなら、彼女はありきたりの幸福など追求してはいないから。
見応えのあるサスペンス映画ですが、二度見て心に残るのは、スローンの底知れぬ孤独かもしれない。
いい映画です。ぜひ見てみてください。