ＦＭ

春分の日の昨夜は店が休みだった

いつもの様にダラダラ過ごしてたら

あっと言う間に日付が変わる時間になっていた


ＤＶＤレコーダーに電源が入りタイマー録画を始めた

え～と何を予約したっけ？と

テレビのスイッチを入れてチェックする

珍しくＮＨＫだ

エアチェック文化を振り返る番組

ＦＭ放送が始まって４０周年らしい

ゲストにアルフィーやジョン・カビラ、萩原健太を招んで

懐かしいＦＭライフを語り合っていた

エアチェックなんて言葉は既に死語だと思われるが

ラジオから流れる音楽などを録音する事をそう呼んでいた


私が中高生の頃、ＦＭ放送は大切な音楽情報源だった

ＡＭと違ってステレオで音質の良いＦＭを

少しでも良い状態で受信する為に

専用のアンテナを購入した

それをチューナーに接続して

カセットデッキで録画していたのだ

まだミニコンポや、ステレオラジカセが普及する前だったので

音楽ファンは、そうやってエアチェックを楽しんでいた

またＦＭ専門誌も欠かせない存在だった

今で言うところの「ＴＶガイド」や「ザ・テレビジョン」の

ＦＭ版である

最盛期は「ＦＭファン」「週間ＦＭ」「ＦＭレコパル」「ＦＭステーション」

の４誌が発売されていたのだから

かなりのニーズがあったのだろう

これらの雑誌のウリは２週間分の番組表だった

番組内でかかる曲目やその秒数まで記載されているのだ

発売日に目にするお気に入り番組の曲目を見て

一喜一憂するのがいつものパターンだった


当時私がよく聴いていたのはＮＨＫ－ＦＭの

アイドルや歌謡曲或いは映画音楽やイージーリスニングを

かけてくれる番組だった

それに夕方や土曜の午後はそれぞれの地方で

オリジナルのリクエスト番組を放送していた

ユーミンや中島みゆき、松山千春などのニューアルバムを

丸ごと流してくれたものである

勿論リクエストハガキもよく書いた

目立つようにカラフルなイラストも添えた

勉強もしないで、そんな事ばかりに情熱を注いでいたのだ


聴いているだけでは面白くないからと

自分でも番組を作るようになったのもこの頃からだ

通販でミキシングマシンやマイクを購入し

友達に無理矢理リクエストを書かせ

ディスク・ジョッキーを真似た

その頃のテープはもう手元にはないが

今聴いたらきっと顔から火が出るだろう


現在、私の部屋にはミニコンポがあるが

ＦＭはアンテナが接続されていないので受信できない

しかしＦＭ局はかなり増えた

かかっている曲はヒップホップとかＲ＆Ｂ

私にはあまり興味のない音楽ばかりだ

まだＡＭで夏木ゆたかがやっている演歌番組の方が心和む


エアチェックと言う言葉が遠い昔の響きになった様に

ＦＭも私の中ではすでに青春の思い出なのかもしれない