昨日は2丁目デビューの話をしたが
今日は店子(みせこ)デビューの話をしようと思う
私は高校を卒業して専門学校へ入学した
映画やテレビ関係の学校だったのだが
サークルの先輩から就活の厳しさを知らされた時から
この学校を出ても目指している物には辿り着けない事を
感じ取っていた
その頃からハッテン場通いを始め
サウナや映画館へ足繁く通った
卒業が迫り、一応私も何社かを受けた
川崎の方のCMスタジオはアットホームな所で
私の事を気に入ってくれたのだが
やはり、ずっと続けられるかと言うと不安だった
夢は既に諦めていたが、それでも私が働きたいのは
CMスタジオではなかったのだ
そんな時に、ふと薔薇族を眺めていたら
お店の広告ページに従業員募集の文字が…
既に映画館でバイトはしていたのだが
そちらを辞めて2丁目のお店に面接に行った
カウンターだけの狭い店だった
お客は若い男が2~3人
ドアを開けると彼らの視線が一斉に飛んでくる
「すみません、バイトの件で電話した者ですが」
お母さんと呼ばれる初老の男性が
「待ってたわよ~、アンタ見ない顔ね」と話しかけてきた
カウンターの中では渥美清みたいな顔のデブが
「ウチは若い子の集まる店なんだけど
アンタどう言う子がタイプなの?」
お母さんと夫婦のこの男が、実質的には店を切り盛りしてるようだ
「え~と、年上の人が好みなんですけど」
「それで水商売の経験はあるの?」
「全くありませんが、接客が好きなので頑張ります」
と健気なところを見せておいた
お客として来ていた同年代くらいのポチと言う子が
「明日から来るの?じゃあ僕も来るから頑張ってね」
と励ましてくれた
早速次の日から働き始めたのだが
この店はホントに若い客が多く、たまに高校生も来ていた
当時21歳の私にしては話も合うし働きやすかった
ただ、カウンターで何人かのお客さんのお相手をするので
気の合わない人が来ると、そちらの方はつい疎かになってしまう
常連のお客さんから指摘された
「○○ちゃんは気の合う子が来たらそっちばっかりになるよね」
確かにそうだった
それ以来、苦手なお客さんにも積極的に話を合わせるようにしたが
客の中には「アンタ、趣味じゃないから口ききたくないわ」と
はっきりと嫌な事を言う人も居た
その頃の私はまだ純粋だったので傷つく事も多かった
それでも友達になった子達と店がハネた後遊びに行って発散した
1年くらいして辞める決意をした
水商売が厳しいのは百も承知だったが
嫌な客にも愛想をふりまいてご機嫌を取る事に疲れたのだ
今考えたら、子供っぽく下らない理由だと思うけれど
その時の私には限界だったのだ
それともう一つ、大阪に行ってみたいと言う思いもあった
店を辞める事は客には内緒にしてとお母さんから言われていた
しかし最後の日には、面接の時以来仲良くなったポチも
誰かから聞いたようで駆けつけてくれた
お母さん達にはホントに良くしてもらった
今でも場所を変えてその店は存在するのだが
お母さんは何年も前に他界してしまった
渥美清に似たお姐さんは元気だろうか
昔話をしに今度お店を覗いてみようと思う
今日は店子(みせこ)デビューの話をしようと思う
私は高校を卒業して専門学校へ入学した
映画やテレビ関係の学校だったのだが
サークルの先輩から就活の厳しさを知らされた時から
この学校を出ても目指している物には辿り着けない事を
感じ取っていた
その頃からハッテン場通いを始め
サウナや映画館へ足繁く通った
卒業が迫り、一応私も何社かを受けた
川崎の方のCMスタジオはアットホームな所で
私の事を気に入ってくれたのだが
やはり、ずっと続けられるかと言うと不安だった
夢は既に諦めていたが、それでも私が働きたいのは
CMスタジオではなかったのだ
そんな時に、ふと薔薇族を眺めていたら
お店の広告ページに従業員募集の文字が…
既に映画館でバイトはしていたのだが
そちらを辞めて2丁目のお店に面接に行った
カウンターだけの狭い店だった
お客は若い男が2~3人
ドアを開けると彼らの視線が一斉に飛んでくる
「すみません、バイトの件で電話した者ですが」
お母さんと呼ばれる初老の男性が
「待ってたわよ~、アンタ見ない顔ね」と話しかけてきた
カウンターの中では渥美清みたいな顔のデブが
「ウチは若い子の集まる店なんだけど
アンタどう言う子がタイプなの?」
お母さんと夫婦のこの男が、実質的には店を切り盛りしてるようだ
「え~と、年上の人が好みなんですけど」
「それで水商売の経験はあるの?」
「全くありませんが、接客が好きなので頑張ります」
と健気なところを見せておいた
お客として来ていた同年代くらいのポチと言う子が
「明日から来るの?じゃあ僕も来るから頑張ってね」
と励ましてくれた
早速次の日から働き始めたのだが
この店はホントに若い客が多く、たまに高校生も来ていた
当時21歳の私にしては話も合うし働きやすかった
ただ、カウンターで何人かのお客さんのお相手をするので
気の合わない人が来ると、そちらの方はつい疎かになってしまう
常連のお客さんから指摘された
「○○ちゃんは気の合う子が来たらそっちばっかりになるよね」
確かにそうだった
それ以来、苦手なお客さんにも積極的に話を合わせるようにしたが
客の中には「アンタ、趣味じゃないから口ききたくないわ」と
はっきりと嫌な事を言う人も居た
その頃の私はまだ純粋だったので傷つく事も多かった
それでも友達になった子達と店がハネた後遊びに行って発散した
1年くらいして辞める決意をした
水商売が厳しいのは百も承知だったが
嫌な客にも愛想をふりまいてご機嫌を取る事に疲れたのだ
今考えたら、子供っぽく下らない理由だと思うけれど
その時の私には限界だったのだ
それともう一つ、大阪に行ってみたいと言う思いもあった
店を辞める事は客には内緒にしてとお母さんから言われていた
しかし最後の日には、面接の時以来仲良くなったポチも
誰かから聞いたようで駆けつけてくれた
お母さん達にはホントに良くしてもらった
今でも場所を変えてその店は存在するのだが
お母さんは何年も前に他界してしまった
渥美清に似たお姐さんは元気だろうか
昔話をしに今度お店を覗いてみようと思う