おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

店子デビュー

2008-10-14 17:23:29 | Weblog
昨日は2丁目デビューの話をしたが

今日は店子(みせこ)デビューの話をしようと思う


私は高校を卒業して専門学校へ入学した

映画やテレビ関係の学校だったのだが

サークルの先輩から就活の厳しさを知らされた時から

この学校を出ても目指している物には辿り着けない事を

感じ取っていた

その頃からハッテン場通いを始め

サウナや映画館へ足繁く通った

卒業が迫り、一応私も何社かを受けた

川崎の方のCMスタジオはアットホームな所で

私の事を気に入ってくれたのだが

やはり、ずっと続けられるかと言うと不安だった

夢は既に諦めていたが、それでも私が働きたいのは

CMスタジオではなかったのだ

そんな時に、ふと薔薇族を眺めていたら

お店の広告ページに従業員募集の文字が…

既に映画館でバイトはしていたのだが

そちらを辞めて2丁目のお店に面接に行った


カウンターだけの狭い店だった

お客は若い男が2~3人

ドアを開けると彼らの視線が一斉に飛んでくる

「すみません、バイトの件で電話した者ですが」

お母さんと呼ばれる初老の男性が

「待ってたわよ~、アンタ見ない顔ね」と話しかけてきた

カウンターの中では渥美清みたいな顔のデブが

「ウチは若い子の集まる店なんだけど

 アンタどう言う子がタイプなの?」

お母さんと夫婦のこの男が、実質的には店を切り盛りしてるようだ

「え~と、年上の人が好みなんですけど」

「それで水商売の経験はあるの?」

「全くありませんが、接客が好きなので頑張ります」

と健気なところを見せておいた

お客として来ていた同年代くらいのポチと言う子が

「明日から来るの?じゃあ僕も来るから頑張ってね」

と励ましてくれた


早速次の日から働き始めたのだが

この店はホントに若い客が多く、たまに高校生も来ていた

当時21歳の私にしては話も合うし働きやすかった

ただ、カウンターで何人かのお客さんのお相手をするので

気の合わない人が来ると、そちらの方はつい疎かになってしまう

常連のお客さんから指摘された

「○○ちゃんは気の合う子が来たらそっちばっかりになるよね」

確かにそうだった

それ以来、苦手なお客さんにも積極的に話を合わせるようにしたが

客の中には「アンタ、趣味じゃないから口ききたくないわ」と

はっきりと嫌な事を言う人も居た

その頃の私はまだ純粋だったので傷つく事も多かった

それでも友達になった子達と店がハネた後遊びに行って発散した


1年くらいして辞める決意をした

水商売が厳しいのは百も承知だったが

嫌な客にも愛想をふりまいてご機嫌を取る事に疲れたのだ

今考えたら、子供っぽく下らない理由だと思うけれど

その時の私には限界だったのだ

それともう一つ、大阪に行ってみたいと言う思いもあった


店を辞める事は客には内緒にしてとお母さんから言われていた

しかし最後の日には、面接の時以来仲良くなったポチも

誰かから聞いたようで駆けつけてくれた

お母さん達にはホントに良くしてもらった

今でも場所を変えてその店は存在するのだが

お母さんは何年も前に他界してしまった

渥美清に似たお姐さんは元気だろうか

昔話をしに今度お店を覗いてみようと思う

















コメント
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