おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

デビューした店も…

2008-10-04 17:31:15 | Weblog
私がオカマデビューした店は池袋にあった

ちょうど、四谷のリサーチ会社を辞めて

次の仕事を探している時だった

本当に自分に向いているのは何か模索していて

ゲイである事をオープンに出来る仕事と言えば

やはりオカマバーだったのである

「薔薇族」の広告ページを頼りに何軒かあたった中に

とても気さくな電話応対をしてくれたママが居た

「未経験者なのですが大丈夫でしょうか?」

「勿論、大丈夫よ!明日にでも面接に来てくれる?」

茨城訛りが更に安心感の様なものを与えた


次の日に面接に行くとフロアには先輩たちが2~3人居て

奥からママさんが登場

小柄で威圧感はなく親しみ易そうな人だった

私は男の格好のままで面接を受け

髪の毛も短かった

「そうねェ、アンタの場合は完全女装じゃなくても良いわね

 取り敢えず慣れるまで男子部風味で良いんじゃないかしら」

次の日に友達のゲイに付き合ってもらって

店で着る服を買いに行った


出勤初日はそれほど忙しくはなく

先輩たちに色々とアドバイスされながら

ヘルプとして働いた

ママが営業に出ていた遅い時間に

一人のコワモテの客が入って来た

先輩たちは他のお客さんを接客している

おしぼりを持って行き、飲み物を聞いた

その途端その男がイチャモンを付けてきたのだ

テーブル越にいきなり頭突きを入れられ

どうして良いのか分からず困っている私に

何やらまくし立てているのだ


遠くから様子を見ていたレイコさんが

慌ててテーブルに来てくれて助けてくれなかったら

私はどうなっていたか分からない

そのコワモテは常連のヤクザで酒癖が悪く

いつもはママが相手するのだが

この日は外出中で機嫌が悪かったようだ


あとでママにこっぴどく叱られた

「アンタね、ヤクザが怖いだなんて

 そんな心構えじゃオカマなんてやって行けないわよ」

しょげてる私には尚更堪える一言だったが

よく考えてみればヤクザだろうと何だろうと相手はお客様なのだ

接し方一つで楽しく飲んでいただけるはずなのだ

それに私はこの道で食べて行くと決めたのだから

もう後戻りは出来ない

先輩のレイコさんが帰りの電車で慰めてくれた


懐かしい想い出がたくさん詰まったあの店も

30年近く続いた歴史に幕を閉じ

今はレトロな喫茶店に変わっている

池袋に立ち寄ったら是非覗いてみたい

様変わりした店内を眺めている内に

きっと、こみ上げてくるものがあるだろう




 













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