リッスン・トゥ・ハー

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ことばは三角こころは四角/ワルツを踊れ

2007-11-30 | 若者的図鑑
19枚目のシングルはワルツを踊れからのシングルカットで映画の主題歌になりましたレイハラカミさんが音楽を担当した天然コケッコー。

グッドミュージックバンドたる所以のイントロが耳に残ります。

くるりの音楽は、少し遅くても少し早くてもいけない、わたしたち世代のど真ん中を走っているから、音楽とかそういうものを越えて大切なものなのです。なくてはならないものなのです。

ゆずを否定するわけではないですよ、夏色なんて絶対に越えられない永遠の名曲ですし、圧倒的な支持を得ている理由はありますし。いつまでもみずみずしい。誰にも真似なんてできない。

ゆずは若い。いつまでも。

曲構成とか、歌詞とか、歌声とか、そういうものすべてが高校生ぐらいの青春に入りかけた頃にぐんぐんと届いてくるのですが、大人になればなるほどに、その若さについていけなくなるところがあります。わたしにとってはね。

しかしですよ、くるりは、最初は若かった。
どうしようもない、未熟さがあった。

それがどうです今、くるりは上品な質、誰が聞いても納得できる質。それは悪いのかいいのか分かりませんが。変化するという凄さです。変化しない凄さもありえるんすけど、くるりの場合は変化の凄さに戦慄したわたしは、アスパラのベーコン巻を齧りながら唸るのです。

映画、見てみたいものです。
ジョゼはなかなか良かったしね。
くるりの音楽はそれ相当な青春です、永遠の青春じゃなーい。じゃなーい。
それぞれのその後にぴったりくる。

しんしん

2007-11-29 | リッスン・トゥ・ハー
お風呂に入ると私はまず身体を洗ってね、石鹸あわ立てて、タオルとか使わずに、泡を身体に塗りたくって、汚れを落とす。つるつるする。ごしごしとやらないほうが肌にはいいんだと、前に付き合ってた人が教えてくれて、それ以来ずっと私はそうやって身体を洗っている。一通り洗い終えたら、湯に身体をつけて、ああん、と唸り、持ち込んだ歯ブラシで歯を磨きながら、同じく持ち込んだ本を読むことにしている。一番落ち着く場所で、ホラーなんか良く読んでいた気がする。湯の温度が熱いと、すぐにのぼせてきて、あがりたいけれど、ホラーのでるぞでるぞ、というそわそわするような場面で、もう、やめられなくなって、頭が真っ白になって、倒れそうになったこともある。そういうときは、どうか、助けに来てください。悲しすぎて泣くんじゃなく、もう、消えたから泣くんだ。意味は同じだけど。ちょっと違う。

昭和53年/上半期/直木賞

2007-11-29 | 二行目選考委員会
(津本陽作/深重の海/一行目は)

―孫才次は二番鶏が鳴いたあと母のぶんに揺りおこされ、灯芯のゆらめく明かりのなかで朝食のうけじゃと、前日の夕食の残りものであるうでた克鯨の腸を手早く喉へ流しこんだ。―


すぐに吐き出してまた咀嚼し流し込んで吐き出して咀嚼し、長持ちさせた。貧乏だった。

欲望531~540(君はまるで天使の羽の糞尿で汚れた部分みたいだ)

2007-11-28 | リッスン・トゥ・ハー
・日の沈むほうへ駆けてく

・波はこそばゆく足の指先に触れる

・水を掛け合って幸せだと感じる

・貝殻に耳をあて波の音を聞く

・寝そべって星を数える君の横で

・君の方がきれいだよってつぶやいて

・思いっきり照れながらこちらを向いた君の

・唇にそっと僕の指先を当てて

・内緒だよ

・という週末のアバンチュール

BEST FLOWER/サニーデイ・サービス

2007-11-26 | 若者的図鑑
サニーデーサービスのB面ベストアルバム誰が呼んでいるのか通称花盤です。
同時リリースされた「BEST SKY」(空盤)はなんとなく、各アルバムにはいっとるしええかと二の足を踏んで買ってないんですよ。

しかしいうてたら、ツタヤの中古販売コーナーでサニーデー・サービス完全ボックスみたいなの売ってて、なんじゃこりゃあ、と立ち尽くしたんですよね。
インディーズ時代を含めて全タイトルアルバムとシングルを詰め込んだ完全版で、くるりの岸田さんの「・・・では曽我部くん下北で会いましょう」というコメントのついた帯。
むむむむ。中古で3万ぐらいでしたので、いや、それでも知らないインディーズの貴重な音源があるではないか購入すべし、と天使も悪魔も言ってたんですが、それはわたしの理性が許さなかったんですよ。はい。この前見たらまだ置いてありました。縁あればいつか買おう。

で、花盤です。わたしが好きなのは「叙景」哀愁のメロディ、昭和テイストのコーラスが憎い。魔法のカーニバルミックスも憎い。長く聞ける曲ばかり。
今や伝説のバンド、でもないかしかし、サニーデイ・サービスはの強みを知るにはこれ!
解散する前に生で聞いといてよかった。

ちょおちょ

2007-11-25 | 掌編~短編
「ちょおちょ」

 あこが笑うとゆるい風が僕の額をさわさわと触りながら抜けていくよう。
 あこは僕の子で、当然、妻の子で、しかしあこがまだ乳児で母乳を必要とする頃、妻には夫以外に恋人がいて、つまり不倫していて、ある日電話で「ハンバーグと冷奴が冷蔵庫に入ってるからじゃあね」と言ったきりどこかへ消えてしまった。僕は冷たいハンバーグを温めもせず、冷奴とともに食べながら、豆腐ハンバーグを作ったら手間が省けたのに、とのん気なことを考えていた。妻とはそれきり会っていないし顔も見ていないし話もしていない。
 それからすくすくと育っているあこはまだそれに関して意見を言うだけの語彙も経験も持っていないが、最近、母親というものがいないということに、他の家族を見て気づきはじめたようである。「みんなにはどうしてとおちゃんがふたついるの?」と、ほんの少し寂しそうな顔をするようになった。まだ知らないほうがいいかと僕は勝手に考えていて、「でもあこはとおちゃんひとりだけでいいでしょ?」「うん、ふたついたら、くちゃい」「臭いとはどういうことぞ」「しーらない」そういう流れに持っていき、曖昧に濁している。僕の悪い癖で説明し難い問題はできるだけ先送りにしてしまうのだ。先送りにしたところで何の解決もしないどころか、ますます言いにくくなってしまうだけなのに、そういうことを僕は平気でやってしまっている。
 妻が、僕とあこの前からいなくなって、僕たちは今の家に引っ越してきた。今は誰も住んでいない僕の実家であるこの一戸建ては広かったが、代わりに古く、ところどころ修繕の必要があって、僕は不慣れながら、とんとんと釘を打ったり、板を貼り付けたりして、なんとか家の崩壊を防いでいた。
 家には庭があって、といってもやはり広い立派なのではなく何の手入れもしていない雑草の生い茂ったただの無駄な空間なのだけれど、僕はそこで、あことふたりきりでぼんやりと過ごすのが好きで、その時間は、妻に捨てられた僕の心をゆっくりと癒してくれた。
 ひと段落付いて、今日も僕はあこと庭先の廊下に座ってぼんやりとする。
 あこは2分もたたずにきゃっきゃきゃっきゃと動き回る。何が楽しいのか分からないけれど、あこの笑顔を見ているとそれだけで、何もいらないと思ってしまう。だから、僕は妻はいなくなったけれど、薄々は気づいていた僕よりも男前で財産も持っている彼氏とどこかで楽しくやっているんだろうけど、僕にはあこがいるんだ、と胸を張って言えるから、あこを置いて行ってくれてありがとう、と思う。あこを生んでくれてありがとう。もしかしたら僕の遺伝子は持っていないのかもしれないけれど、そうだとしてもかまうものか。いやこの鼻の低さはきっと僕の遺伝だ。そうだそうにちがいない。あこ、申し訳ありません。
 僕の足元にやってきてあこは騒ぎ出す。
「とおちゃ、あこすき?」「大好き」「おんと?」「ほんと」「じゃあけっこんしてくれる?」「あこが大きくなってもとおちゃんのことを好きでいてくれたらしてあげる」「ずっと好き」あこは僕のことが大好きで、一番近い人間なのだから当然といえば当然だけれど、何か話し掛けるといえばこんなことを聞いてきた。聞きながら、彼女はほどけている靴紐をむすんでくれた。それはこの庭で過ごすときの定例の儀式みたいなものだった。あこがじっと紐を見ていて、それからふっとこちらを見上げ、ニシッ、と崩れるように笑ってから、再び紐とにらめっこをはじめ、いびつな蝶々を作り上げた。一応むすべているから、上達したのだ。最初は途中で投げ出して大泣きしたものだった。子供は親が知らぬうちにどんどん成長する。母親などいなくとも。いびつな蝶々を見て僕は思った。 
 そんなことを考えているとほんの少し、本当にほんの少しだけ寂しくなってそれをごまかすために僕はその生まれたての蝶々ができるだけ自由に飛び回っているように、とびきり陽気に狭い庭を走り回った。雑草を踏み倒して踊り狂った。あこはポカンと妙なものを見るようにこちらを見ていたが、やがて崩れたように笑いだす。ゆっくりと吹いた風に乗って、僕はらんらんと舞った。やけに甲高いあこの笑い声が空に届いた。

お願いあたしをだまして2

2007-11-23 | 東京半熟日記
(鯉に恋して倉敷編14)



ゴミ箱の向こう側にあるのは何ですか?
やはりゴミ箱ですか?

木目を活かした自然の公共物。
気を使っていますね。ずいぶん細部に。




なんだってなれるんだ。僕等はまだなんにだってなれる。
そうだ、そうに違いない。
鳩よ!飛び立つ小鳩よ!

お願いあたしをだまして

2007-11-22 | 東京半熟日記
(鯉に恋して倉敷編13)



もうどれぐらい昔の話でしょうか。
さぼっていたわけじゃないけどね。
面倒くさくなってきただけだから。
で気が向いたら写真を使うのです。

倉敷の夫婦。

おしゃれさんが多かったような記憶。
記憶の断片が寄り集まって長老集会。
新人の長老はお茶を沸かして持成す。
しかし熱すぎると長老の長はご立腹。



若いということはそれだけで魅力ですね。
光り輝く時期よ!

BIRD/ROSSO

2007-11-20 | 若者的図鑑
むう。

て唸りますよまったく。

濃度が濃いバンドですねえ。死海ばりに。
声がものすごく良い。チバさんの声に対抗できる武器はありませんよ。
生まれながらの誰にも超えられない才能ですね。

シャロンの疾走感が止まらない。
「サンタクロースが死んだ朝に」という詩は普通は書きません。
いや、書けません。どうしたってくさくなるから。
しかしチバさんは書きます。そして歌います。するとどうでしょう、なんと印象的なフレーズで始まる歌なのかしら。
「カーブを曲がりたくなかった/ハンドルから手を放した」
沖縄で海沿いレンタカー運転してる時に、流れてました頭の中に。

「星のメロディ」は耳鳴りとして映像を残す。
なかなか始まりませんイントロ長い異様に長い。を経て、やけにローテンション低い声ではじまって、淡々と進みます。二番のサビ終り、長い間奏、三番、急激にハイテンション!
むちゃくちゃに、ビルディング3棟ほど叩き壊してしまう。
ミッシェルガンエレファントのいったいどこに行ってしまうのだろう、と心配するぐらいがなり立てるアレを感じました。

さあみんなご一緒に、せーの「かっこええ!!!」
そしてふっふっふ、生で見たんですよロッソをわたし。ラッシュボールで。
あれはカッコ良かった一番良かった永久にに語り継がれるバンドだ!!