リッスン・トゥ・ハー

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その10(マジックショー編)

2008-05-31 | リッスン・トゥ・ハー
「その10(マジックショー編)」


その手つきは実に鮮やかであった。
あまりにも華麗なそれは、時としてひらひらと舞う蝶々に見えた。
マグロはトランプを切りながら観客のひとりをステージに上げ、カードを一枚選ばせた。
観客が選んだカードはスペードのキングであった。
マグロはそのカードを見ないようにデック(トランプの束)に戻し、再び丁寧に切り始めた。しゃしゃしゃしゃと会場に音が響いた。バックグランドミュージックは流れておらず、静まり返った会場にただとランプを切る音が響いていた。誰も声を上げることはなく、ただマグロに熱い視線を送りながらよだれを垂れ流していた。
無理もない、時価にして300万はするであろう立派な黒マグロであった。
マグロはトランプを入念に混ぜた後、綺麗な扇形に広げ、その扇で自らを扇ぎ始めた。誰しもがよだれをとめることはできなかったしかしやはり誰しもが、そのしぐさに妖艶な色気を感じていた。そのゆったりとした南国のような空気を、ふいにマグロがトランプを投げてぶち壊す。トランプは舞いぱらぱらと音を立て次々に落ちる。最後の一枚が落ちたときであった(ちなみに最後の一枚はクローバーの4だった)。マグロはすでにその場にいなかった。忽然と消えたのである。
間があいて、割れるような拍手が会場を包み込んだ。
拍手をしながら、観客の誰しもがこう考えていた。「スペード・キングの立場は?」
答えは特にない。

君は波乗り

2008-05-21 | 若者的詩作
君はサーファー
足跡残して波打ち際さよなら告げた
君はサーファー
穏やかな海に浮かんで大きな波を待つ

崩れていく砂のお城
王子様は疲れた顔
空を隠すかもめの群れ
こぞりて西の海に沈む

君はサーファー
風の強い日は終電まで海の中
君はサーファー
あれからどれぐらい時が経つ

崩れた真っ白のお城
王子様の面影もなく
空を隠すかもめの群れ
サーファーお前を思い出せないや

土曜日の夫

2008-05-18 | 若者的詩作
焦るなよダーリン
地図を開きガムを噛みまばたきして
焦るなよダーリン
信じろよ目印はそこにある

中途半端な横分けハンサムダーリン
日焼けサロンで一目ぼれさ

焦るなよダーリン
地平線も超えて届くのだろう
焦るなよダーリン
信じろよ目印はそこにある

迷路ゲーム/チーム・ロック

2008-05-10 | 若者的図鑑
ふわふわしてて、テクノか!これがテクノか!
テクノポップの走りかくるりなりの。

詩に「ピコピコ」という言葉が出てくるように、ピコピコ感満載。

ミックスドバイ佐藤雅彦ちゅうことは、ポリンキーの人か!
ポリンキーの人が迷路ゲームをピコピコにしたということかそうかそうか。
春風のよもぎミックスでも登場してたぞポリンキー!

それとも同姓同名の別人なのかポリンキー!
カローラ2に乗っても作ってからきっとこちらもそうにちがいないポリンキー!

そうです投げやり、きっとこの丁寧語と、突き放した言い方のバランスがいいんでしょうね。

ゆっくりと確実にくるり。