リッスン・トゥ・ハー

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アラン・ドロンさん吹き替え

2010-10-31 | リッスン・トゥ・ハー
「あの人が?」

「そう、アランドロンさんだ」

「すごい、握手してもらおう」

「やめとけ、アランドロンさんは騒がれるのが嫌いだ」

「静かにいくから」

「そういう風に寄ってこられるのがイヤなんだ」

「わかった、そっと観察しとく」

「それぐらいにしておきなさい」

「あ、ドロンさんがどろんした」

「表現が昭和だよ」

「完全に消え去ったもの」

「それは不思議現象だ」

「どろんさんはどこにいったのだろう」

「おそらく真夏だ」

「真夏?」

「真夏のヨットハーバーだ」

「なにをしてるの?」

「犯罪さ」

「犯罪?」

「壮大な計画に基づいて悪いことをかっこうよくやっているんだどろんさんは」

「へえ、あ、出てきた」

「犯罪が終わったようだぞ」

「何か手に持ってる!」

「そら、財宝や現金にちがいない」

「新鮮そうな野菜だ」

「健康第一」

「今夜は鍋です」

「キムチがいいー!」

「先にお風呂は行ってきなさい」

「はーい」

貴金属のようなスマートフォン?

2010-10-31 | リッスン・トゥ・ハー
なんという美しさでしょうか。わたしはびっくりしました。思わず飲んでいたジンジャエールを吐き出してしまったぐらいです。出てきたジンジャエールは貴金属に降り掛かり、じゅうという音を立てました。いや、立てたような気がしただけです。実際は何も音はなりませんでした。貴金属はジンジャエールがかかり、台無しになってしまいました。周りの人は声を上げました。貴重な金属が吐き出したジンジャエールまみれになってしまったのです、当然でしょう。しかしわたしは冷静に、ハンカチを取り出し、丁寧にふきました。ジンジャエールが残らないようにゆっくり時間をかけて。するとどうでしょう、貴金属は輝きをましたはありませんか。閃光を放ち、かがやきはじめたのです。人々は目をくらまし、一斉に目を閉じました。そのときを見計らいわたしゃ貴金属をポッケにつっこみ、出口の方へ駆け出したのです。

小雪、松ケンとの交際認めた!

2010-10-30 | リッスン・トゥ・ハー
「松ケンさんですか?」

「いかにも、わしは松ケンだが」

「小雪さんと交際しているという?」

「いかにも、小雪と交際しとるが」

「事実なんですね?」

「いかにも」

「結婚は近いですか?」

「いかにも」

「近いんですか?」

「いかにも」

「いつぐらいでしょうか?」

「いかにも」

「いや、いつぐらいに結婚されるんでしょうか?」

「いかにも」

「もしかして怒られましたか?」

「いかにも」

「ごめんなさい、つい芸能レポーターとしての本能が働きまして」

「いかにも」

「わかってくださいますか、この気持ち」

「いかにも」

「松ケンさん、もと芸能レポーターなんですってね」

「いかにも」

「そうか、そうに違いない、では改めて尋ねます、結婚されるんですよね?」

「いかにも」

「もう間もなくだと?」

「いかにも」

「ズバリいつですか?」

「いかにも」

「わかりました、質問を変えます。年内ですか?」

「いかにも」

「日取りは決まっている?」

「いかにも」

「式の段取りもすでに?」

「いかにも」

「国内でされますか?」

「いかにも」

「いかにも?」

「子どももいます」

「なんと!」

「15歳です」

「想定外の展開だ!」

「いかにも」

仕分け第3弾“無駄の温床”にメス

2010-10-30 | リッスン・トゥ・ハー
無駄はいや、無駄は大嫌い、無駄はこの世からなくなってしまえ。ということで、仕分けします。無駄だと見なされた物は容赦なく溶かします。溶岩を注いで溶かします。この世から完全になくなります。非常にすっきりします。よかった。すっきりできてよかった。まずなんですか、無駄ですか無駄ではないですかなんですか。はい、政治家の数。無駄ですねえ。これは無駄、無駄。がんばれば今の10分の1になりますね。そしたらけっこう経費も抑えらえれるし、よし、溶岩かけましょう。どれが無駄かわかりづらいので抽選で決めます。精査したところでそう変わりありませんよ。ああ、すっきりした。それからそれから。さあ次にいきましょうなんですか、次の無駄なものはなんですか。どん。工事の数。ああ、無計画な工事ですね、これは無駄だ。ぜひとも溶岩をかけましょう。とかしてしまいましょう。そーれ。

無駄な工事に溶岩をかけ終わるまで20年。

木村瑛太と木村カエラに男児が誕生

2010-10-29 | リッスン・トゥ・ハー
「どうも」

「ああどうもどうも」

「どうもどうもどうも」

「はいどうも」

「しゃべれるんですね?」

「しゃべることはできます」

「胎児なのに」

「胎児だからこそできることがあります」

「イヤ無理でしょ」

「でも実際しゃべってます」

「たしかに」

「できることはあるんです」

「胎児じゃないんじゃ」

「なにをいう」

「胎児のふりしているけどお前我が子じゃないな」

「子どもの顔を見てその言葉が言えますか?」

「いえます」

「だったらいいよ、でていくよ」

「どうぞ」

「いいの?俺、出て行くよいいの?」

「どうぞ」

「なんでそう意固地になるかなあ、もっと柔軟に行こうよ」

「意固地になってませんよ」

「なってるじゃん、思い切りなってるじゃん」

「そんな言葉遣いをする胎児はいません」

「だから実際いるんだから仕方ないじゃん」

「何が目的なんですか?」

「は?」

「いったい何が目的なんですかあなた」

「なんのこと?」

「胎児のふりしてここにいつまでもいるってことは、なんか目的があるんでしょ?」

「目的も何も、胎児なんだから、いるだけだよ」

「帰ってくれます?」

「どこに?」

「家に」

「ここです」

「違います」

「だってここなんだから帰れるわけないじゃないか」

「警察を呼びます」

「まあ、まちな」

「どうしてそんな渋い顔をするんですか」

「早まっちゃいけねえよ、おかあさん」

「何が目的なんですか?」

「わかった、そこまで言うなら俺も覚悟がある、目的を達成するまで帰るわけにはいかねえ」

「で」

「おっぱいを飲みたいの」

「はい、では通報しますので、少々お待ちください」

つァラトゥストラはかく語りき10

2010-10-29 | リッスン・トゥ・ハー
冬将軍が来ると知らせを受けた。もてなす準備をしなきゃいけない、あたしは焦
る焦る。冬将軍のご機嫌を損ねようものなら鉄風が吹き荒れ、そこしらじゅうは
死の世界とかす。蓄えも十分でないしまだ死の世界を迎えるには時期尚早だ。将
軍をもてなし、時間を稼がねば、あたしは焦る焦る。まずは将軍が気に入りそう
な猫だ、猫が必要だ。将軍は猫に目がないぞ

日本のビール缶がすごい!アメリカ人衝撃

2010-10-29 | リッスン・トゥ・ハー
匠の技がふんだんに使われている。zeitaku!とアメリカ人は叫んだ。その高い鼻は赤らみ、若干膨らんでいた。膨らんだ鼻を持つ係の人がどこからともなくやってきて、ため息をついた。今日何度目だ、いったい何度鼻を持てばいいのだ。もう眠る時間もない。食べる時間もないぐらいの生活なんて嫌だ。嫌だ。恋だってしたい、遊びたい、思い切り眠りたい、株を転がしたい、お金を儲けたい、もうけたらこんな仕事しなくてもよくなるから。もうけよう。なんとかしてもうけよう、と決心した係の人はまずどのようにしてもうけようかと考えた。もうけるためには働かなければならない。何をして働こうか。あまり労力は使いたくない。疲れるような仕事は嫌だ。いやまてよ、働くことは生き甲斐でもあるわけだから、ある程度労力を使う仕事でもいい。生き甲斐になるような仕事をしたい。できたら、自分の得意なことをしたい。得意なこと。仕事にできるような得意なこと。鼻持ち。結局もうけるためには、生き甲斐として働きつつもうけるためには鼻持ちをがんばるしかない。日本製のビールを飲んだ。たしかに匠の技だ、あまり意味が分からずそうつぶやいた。ブザーが鳴る。どこかでハナが膨らんでいるアメリカ人がいる。急がねば、と彼はコートを羽織った。

少女Aに何が起こったか?

2010-10-28 | リッスン・トゥ・ハー
「Aは嘔吐した」

「突然なんですか」

「激しく嘔吐したんだ」

「悪いもんでも食べたんでしょうか」

「悪意からの嘔吐よ」

「悪意?」

「Aは悪意を吸い込みすぎたんだ」

「は?」

「吸い込みすぎて耐えられなくなったと言うこと」

「いや悪意を吸い込むってどういうことですか?」

「文字通り悪意を吸い込みます」

「どうやって?」

「すうううううって」

「はあ」

「信じてないねえ」

「信じられませんよ」

「では実際に見てもらいましょう」

「見せてくれるんですか?」

「もちろんです清水さんさあどうぞ」

「清水じゃないですけど、じゃあ」

「遠慮なくどうぞ」

「よろしくお願いします」

「では、吸い込みますよ」

「さっそくですか」

「いま、吸い込んでます」

「全然何も見えませんが」

「かなり吸い込んでます、吸い込んでます」

「微動だにしてないし」

「さあ、清水さんもどうぞ」

「ぼくもですか?できるかなあ」

「どうぞ、誰でもできます」

「どうやってやるんでしょうか?」

「すううううとやります」

「すうううう」

「そう、上手!清水さん上手!」

「なんにも感じないですが」

「それ以上吸い込んだらダメだ、ダメになる、やめなさい!」

「頬ぶたれた!父さんにもぶたれたことないのに!」

「再起不能になるところだったよ」

「そんなに危険だったんですか」

「わたしは命の恩人だ」

「あなたは命の恩人です」