リッスン・トゥ・ハー

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久美浜

2008-01-29 | 若者的詩作
僕の歌を聞いてくれいつも通り
鼻歌で作ったこの歌を

曖昧なところは許してくれ
それが味さ、許してくれ

タリタラッタタラッタタララララ
オーイェ!

内緒話はもう止めた

2008-01-27 | 若者的詩作
果てる唄を翳したならば
壊れるだろう、あなたの声
歌を持ってる?

空間に瞬間を描いていたい瞬間を

いたって謙虚に輝きましょう
鳥になってもう朽ち果てるでしょう。

回したくて交わしたっけ回した手解くなんて

バカにすんなよ。

「体にアンパンを乗せたのではなくアンパンから体が生えてきたのです2」

2008-01-27 | 掌編~短編
連呼に継ぐ連呼で地を揺るがした。オーディエンスは熱狂した。オーディエンスと言っても無生物ばかりだったが、砂は舞い踊り、リズムを取っているようだった。
「勇気だけが僕の友達さ」
その唄は時にブルースのようだった。ただ絶叫しているだけでない、低いトーンの女が歌うブルースのように小さく口ずさみ砂はワインを傾けた。
「勇気だけが僕の友達さ」
その唄は時に演歌のようでだった。こぶしを効かせて、妖艶に唄いあげた。かなりの力量を持っているものと想像できた。紛れもなく演歌のドン、クラスである。
唄い続けるアンパンのひびはしだいにおおきくなり、中から血で真っ赤になった手足がぬるりとでてきた。ゆっくりと、しかし確実に伸びてきて、その下にある砂を掴もうと、大地にどっかりと立ち上がろうとする。
もう一度言う、時間の経過はあってないようなものである。従って、ひび割れてからの時間的変化は考慮する必要がないと考える。
アンパンからは完全に体手足が生え、人の形になった。いつからかかちかちのアンパンにやわらかさが戻り、ほんわりと柔らかな食感を感じさせた。ひとくち食べれば笑顔になるような人気アンパンであった。手足はもがいて大地に降立とうとしていた。降りて何が起こるのか、誰にも想像は出来なかった。もっとも、想像するような知性を持ち合わせた生き物はその場所には誰もいなかったのだが。
釣り下げてある縄が切れそうになっている。間もなくアンパンは大地に降りてくる。それが物語の始まりだ。そこから世界は、時間は流れだす。

雨女

2008-01-26 | 若者的詩作
レインコートの女の子雨粒打つ頬膨らまし
ステップ踏んで水たまりを迷わず飛び越える
レインコートの女の子季節見失う街外れ
足音残した妖精に裸足で会いに行く

残響、振動、少女踊って半回転、残像

レインコートの女の子16ビートで舞い上がり
わき目も振らず夕暮の赤を駆け抜ける
「あたしをちゃんと思い出して」唇拭って羽をもぎ
歪んだ声で透明な歌を口ずさむ

残響、振動、少女踊って半回転、残像

ナイフ隠してる女の子ですか?

サーフィン

2008-01-26 | 若者的詩作
鳥の声とっくにやみました取り残された浜辺で
グッドバイブレーショングッドバイブレーショングッドバイブレーション

炭酸水で潤して簡単ついでに狂おしい吐いた
グッドバイブレーショングッドバイブレーショングッドバイブレーション

インサイド・アウトサイド・ドルフィン

逃すな逃すな逃すな逃すな

グッドバイブレーショングッドバイブレーショングッドバイブレーション

「体にアンパンを乗せたのではなくアンパンから体が生えてきたのです」

2008-01-24 | 掌編~短編
アンパンが吊ってある。
パン食い競争のそれに良く似ている、が決定的に違うことは単独であるということ。パン食い競争であれば、単独であるはずはない、競争しなければならないわけであるし、このあたりは一面砂漠であるし、ここで運動会を行うような稀有な団体はいない。アンパンが単独でひとつぶらさがっている。風もなく、ひくりともせずにただぶら下がっているだけである。
ここにおいて時間の経過は曖昧なものであり、正確な時間は全く意味を成さないが、それでもかなりの時間が経過している。パンは乾燥地帯であるがゆえに黴を生すことこそないが、非常に堅くなり、黒く変色している、中に詰まっている餡は水分が抜け、すかすかであろうと思われる。実際に食していないため正確に言うことはできないにしても、そうであることは容易に想像できよう。そして通常のアンパンであれば、そのまま乾ききって砂と成ってしまうところであるが、ここにあるアンパンは違った。
アンパンがゆらゆらと動きだす。
水があるように見える、ゆらゆらと湖が見える、という目の錯覚ではなく、実際に小刻みではあるが、非常にゆっくりではあるが、確実に動いている。風ではない。もしもあるとしても、風による動きではない。前後左右上下に生物のように揺れ動いているのだから。それは決して規則的でなく、生物の不条理な動きに見える。
やがて、アンパンの下の部分にひび割れができる。乾ききったためのひび割れではない。その内部から内やぼろうとする生命力にあふれている、割れた内部からは威勢のよい胎動が聞こえる。胎動はどくんどくんというそれではない。この胎動を言葉で表すことは難しい。胎動であることに気づくものはおそらくいないであろう。あえて文字にしてみると、おーろろろろろろろおーろろろろろろろ、というものだ。これで言い表せたように思うかもしれないが、違う、おー、の間にベースラインが先行して、ろろろ、を待つ、喫茶店でパフェを食べながら待つ、ろろろに入ると入ったでドラムロールが聞こえ、盛り上がりを見せた後、突如として静寂が訪れ、再びおーがはじまる。それもやはり規則的でなく、おーが始まるたびに進化を遂げ、変調し、もっと言えばボーカルが挟まれることもある。歌っているのはもちろんアンパンである。なぜなら、それしかないのだから、他に歌うものはいないのだから、そうであるとしかいえない。おーを繰り返すうちボーカルは次第にはっきりとしてくる。
「勇気だけが僕の友達さ」という絶叫だった。

こんな夢を見た080123

2008-01-23 | 若者的白夢
こんな夢を見た。ロシア開発の殺人兵器。その名もG兵器。形は犬ぐらい、蛇のような形で、蛇のような動きででかい頭がついている。どこか古典的なのだが実に怖い。ニュースで開発されたと聞いているうちにすぐそこの海を泳いでやってきている。なぜか自宅すぐそばに海がある。その大きな顔でとらえたものは、切り刻む、かもしくは溶かす。やっぱり古典的だ。海を泳いで逃げる人、目でとらえ、追いかけて切る、真っ二つ。陸にあがる。恐れおののく。兵器はしかし、その目でとらえない限りは攻撃をしてこない。必死で逃げまとう。家族総出演、ご近所さん襲われる、溶かされる。みなしかししんじていないのかどこかのんびりとしていて、わたしはあせる。目覚め。

アントニオ/ヨーグルト・プゥ

2008-01-23 | 若者的図鑑
尖がった声がすっごい魅力なのに、今何処?

くるりと同じ立命館大学のサークルからでたヨーグルト・プゥですがインディーズのこの頃から、なにしろ完成度がすごい。未完成さを含めた完成度。
荒々しさがなくなったメジャーデビュー後はむしろ、まとまりすぎててあまり好きじゃない。京都、メガネ、ロック、ヨーグルトのキーワードを頼りに検索するならヨーグルトプゥ!

初期くるりよりも都会的ですか、何をもって都会的というかは分かりませんが、音が少ないということかな。
短時間で積み上げていく、たっぷり妥協して(この妥協がポイント)置いといたボーカル、ほったらかしです。まるで。
ムダは取り除いてあるけれど、方向を予想と違う位置に向けて、発射しかけたバンド。
全部良い意味で。

解散が惜しまれますし、別名義でも復活して欲しいものです。
ボーカルの井野さんは、京都のとある楽器屋さんで働いていたそうな。
新しいバンド作ってレコーディングしてると言っていたそうな。
友達が直接聞いたそうな。サインももらったそうな。
それから新しいバンドでライブがあったそうな。

詳細求むとしかいいようがないですね。

「家路」は名曲です。走馬灯の中でずっと、流れててほしい。


追記:いた!が、違う!ヨーグルト・プゥじゃない。

まぐろ(坂道)

2008-01-17 | 掌編~短編
 大きく曲がって、マグロは坂道をのぼっている。
 大変辛そうな表情、額に汗が滲む。負けてたまるか、とマグロが睨む坂道の先にあるのは料亭。庶民を近づけない価格設定と立地場所で、季節の凝った料理を提供する料亭「たけし」。マグロがそこにたどり着かなければ、たけしの一番の売りである新鮮な刺身が提供できなくなる。だからこそ、マグロは歯を食いしばってのぼっていた。
 壁のように厚い蝉時雨が前に立ちはだかる。マグロは立ち止まり、ナップサックの中から魔法瓶を取り出した。蓋を開け、直接口につけて傾ける。中に入っていたのはレモンティ。やけに濃いレモンティだった。原液か、とマグロは思った。ママが入れ間違えたのだ。あれほどレモンティはやめろと言ったのに、まるで聞いちゃいない。
 空からは強い太陽光線、それに熱せられた地面のアスファルトは鉄板のような熱さ。マグロは上下から炙られているような気がした。実際、そのまま筋肉を切り出し、わさび醤油で食うたなら、それはそれは美味に違いない。
 こんなはずではなかった、とマグロは今もふと思う。
 海から陸へ上がったのは、海を包み込んでいる空への憧れからであった。マグロには飛ぶ鴎が空を支配しているように思えた。自分もあのように自由に、とマグロは思った。古い記憶。
 マグロは再び歩き出す。人間でさえのぼるのにひと苦労するような急斜面である、マグロであればなおさら辛いはず。なのにマグロは一歩また一歩ゆっくりだが確実にのぼり続けた。長老マグロと約束したのだ、何事も最後まで投げ出さない。今こうして自分は食べられる為に坂道をのぼっている。滑稽といえるかもしれない。マグロはすでにその運命を受け入れていた。マグロとしてまっとうできるのであれば、それもいいかもしれない。かつて海の中から見た、ずっと遠くにある空、それはいくら坂道をのぼろうともやはり遠いままだった。
 拭っても拭っても流れてくる汗が目に入り、思わず下を向く。足元、蟻の行列が坂道を這っている。マグロはその本質的な優しさから、とっさに足を、蟻の行列を妨げないところに移動させようとする。が、蟻は、蟻のくせに列を乱し縦横無尽に坂道を這っている。マグロの白く貧弱な足が、踏み場を求めて空をしばし彷徨う。ようやく見つけた隙間にマグロは足をねじ込むように置いたが、股を広げすぎたため、体勢を崩し倒れてしまった、でーん。アスファルトの熱で背中が焼ける、じゅうう。程よく太ったマグロは、倒れた勢いそのまま転がり落ちていく。もう、たけしにはたどり着けないであろう。仮に再挑戦してのぼりきったとしても、傷ついて生焼けのマグロを誰が歓迎するだろうか。一部始終を聞いた長老マグロの残念そうな顔を想像して、マグロはほんの少し胸を痛めた。タオルケットとナップサックと魔法瓶とアイポットが点々と坂道に残った。アイポットから音が漏れている、しゃんしゃん。音よりも速く転がり落ちるマグロは加速する弾丸であった。マグロがこんなに速く、勢い良く地面を転がったことは今だかつてない。今羽ばたけば、浮かび上がるのではないかとマグロはふと考えた。いや、今なら確実に飛べる。マグロは離陸する飛行機をイメージした。カーブのところで坂道から外れ崖、宙へ投げ出され、マグロはばたばたと手足をばたつかせて大きく。