リッスン・トゥ・ハー

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ジャスミン革命を放水で封じる中国当局

2011-02-28 | リッスン・トゥ・ハー
「ジャスミンの香りはやんだ」

「放水によって?」

「水浸しじゃあ香りはとばない」

「革命は終わったんですか?」

「革命?まだはじまってもいないよ」

「じゃあ、これまでのはなんだったんですか?」

「そうさな、これまでのは夢さ」

「夢?」

「儚い夢、覚めればなにもない」

「夢で片付けるつもりか!」

「どうしたんだよ急に」

「西田の横笛も、西川のマスクも、西宮の縦笛も、西山のひじあても全部なかったことにするつもりか!」

「言葉が過ぎるぞ西!」

「すいません教官、取り乱してしまいました」

「まあいい、もちろん西田らの犠牲は悔やまれる」

「わたしは、わたしは生き残ってしまったわたしは、これから先どうやって生きていけばいいのかわかりません」

「そのままで生きていけばいいさ」

「できるのでしょうか?そのままで生きていいのでしょうか」

「いいさ、精一杯生きることが奴らの供養になる」

「わかりました」

「ではいこうか白木屋へ」

「今日はおごってくれますね?」

「よかろう」

彼女は室蘭サティを出てバスに乗り

2011-02-28 | リッスン・トゥ・ハー
室蘭サティを出た。空は曇っていて今にも雨が降りそう。誰かが近くで怒鳴っている。人々はそちらに気を取られていて、彼女のことを見ていない。誰一人見ていない。彼女も怒鳴っている人の方を見ている。どうやら、ティッシュを配っていて、いらない、と投げ捨てられたことに腹を立てて怒鳴っているらしい。いったん怒りだすと止らなくなるタイプの人なのかもしれない。かなり長い時間隣続けている。投げ捨てるのもどうかと思う、だから投げ捨てた方だって人格的な問題があるのかもしれない。しかしこんなにも長い時間隣続けるのは気力と体力だって必要だ。町は怒鳴り声だけが鳴り響いている。人はかなりたくさんいるが、やけに静かな気がする。つまり誰もがそちらに気を取られていた。怒鳴られっぱなしだったことも異様だった。投げ捨てたぐらいだからすぐに言い返すような人物であると誰もが思っていたが、言い返さずに黙って聞いていた。表情はない。恐怖も哀れみもなにもない表情で怒鳴られていた。人々はなにかしらの違和感を感じていた。それは10年経とうが、変わりない事実だ。

アワーミュージック/相対性理論 + 渋谷慶一郎

2011-02-28 | 若者的図鑑
渋谷慶一郎という人はよく聞きますが、どんな人なのか知りません。

よく聞くからきっとその人が関わった音楽は聴いているのでしょうが、どれがそうなのか知りません。

で、これ、そんなにいいのかと思いました。絶賛するほどではありませんでした。
これを聞くのなら相対性理論のオリジナルを聞きたいゾ、と思っちゃったんだから仕方ない。

いや、それはもちろん良かった前提でのことです。より繰り返しを多用してますかね。言葉の繰り返し。
ダンサブル。よりダンサブル。

ふたつの才能が出会った、に似合った衝撃はありませんでしたかね。

もしかしたら最近一気に聞きすぎたのかもしれませんね。少々食あたり気味なのです。
ささやいている声、わりとシンプルなアレンジメントで聞かせるバージョンもあり、それはそれでなかなか聞けるのですが。いや、少々ピアノうるさい。うーん、それまで。白、注意!

あたしを京大に入らせて!

2011-02-27 | リッスン・トゥ・ハー
京大に入れるものならいくらでも入りますよ。なにせ京大でしょ?東大よりも価値のあると言われている京大でしょう。なかなか入れないから価値があるんでしょう。なにせ頭がいいぐらいじゃ入れないから、頭が良くて今日第にたする愛?が?とても?強い?気持ち?ハート?持って?いる?る?人が入れるんでしょう。あたしはちょっと入れないかな。気持ちが足りない。京大を?愛?する?気持ち?が?たり?ない?

あたしは京大ではない大学にちょんぼりと通っていたのだけれど、京大に対してまったくなんとも思ってなかった。まったくまんともね。1ミリも京大に対して感情を持っていなかった。入りたいとか、うっとうしいとか、うれしいとか好きとかキライとか、おいしいとか、まずいとかすっぱい、からい、あまい、悲しい、痛い、つらい、こわい、はげしい、にぎにぎしい、らんらんと、もやもやした、がんじがらめのとか、まったく何とも思っていなかった。だけど、ちゃっかりと卒業してずいぶんたつ今、あたしはやけに京大に入りたいと思ってしまった。もちろん、毎日思ってるわけじゃないし、たまたま入学試験問題ネット流出ってニュースが流れてたから、そう思っただけなんだけど。京大に入りたいと思うことはこれが初めてではないような気がする。どころか定期的に思っている。

これは愛ってことなのかしら。

小向美奈子容疑者、座る

2011-02-27 | リッスン・トゥ・ハー
逃げも隠れもせんよ、わし、逃げも隠れもせんから座るよ。はい座った。もう動かんよ。誰が来ようと動かんから。食べ物と水がなくなっても動かんし、魅力的な男子がふらふら近寄ってきても動かんし、宝石とかええ服とかみせられても決して動かんよ。動かんということがわしの存在理由だから。調べたらええ。勝手に調べたらええやん。わしは拒まんよ、決して拒まんし、聴衆の面前で隅から隅まで調べたらええよ。もっと、調べてもええよ。専門家とか動員して、これでもかというほど調べたらええよ。グーグルで検索もしてみたらええよ。意外と一番ええ答えがそこに載っとるからコピーアンドペーストで情報を集めたらええよ。どんな情報を集めようとわしはびくともせんよ。力士が張り手かまそうともわしは全く動かんし、顔色ひとつ変えんよ。嘘やと思とるやろ、完全にその顔は、結局力士が張り手したら怯えるんやろと思っとる顔や。そのとおり、わしは怯え許しを請うよ、力士の張り手は予想以上に痛かったからわしは耐えられんよ。わしは痛いのは嫌よ。嫌すぎるんよ。だから座らんよ。今すぐ逃げ出すよ。たとえ2秒後に捕まるとしてもわしは逃げ出すんよ。

欧州市場サマリーの独り言

2011-02-26 | リッスン・トゥ・ハー
「サマリーは言った」

「サマリーが?」

「ええ、窓際のサマリーが囁いた」

「トットちゃんみたい」

「おもてたほどわるないよ、って」

「市場のことですか?」

「煮込んでたビーフシチューの味のこと」

「サマリーが煮込んでたんですか」

「いや、私が煮込んでたシチューやね」

「何でサマリーがしゃしゃり出てくるんですか」

「レシピを教えてもらったの」

「サマリーに?」

「サマリーに」

「サマリー料理上手なんですか?」

「かなり上手やね」

「意外」

「人は見かけによらんものですよ」

「そうですね」

「ちょっと食べてみますか?」

「シチューですか?」

「うん」

「じゃあいただきます」

「どうぞ」

「なるほど、おいしいです、深い味わいが」

「そうやろ、サマリーさまさまやろ」

「たしかにひと味違いますね」

「隠し味が決めてやね」

「なにを入れたんですか?」

「憎しみ」

「どうやって」

「サマリーの頭を無理矢理つっこんでやったわがははは」

「がはは、って」

「サマリーの憎しみが入っとるんじゃい」

「鼻水とか、唾液もしっかりはいってそう」

「しっかりはいっとるでしょうね」

「それは言ってほしくなかった」

「事実ですから」

「その後のサマリーがどうなったのかもすごく気になるし」

「旅立ったよ」

「それ抽象としていってるんですか?」

「思うように受け取ってくれればいい」

「ああサマリー」

歩くサボテン、歩かないサボテン

2011-02-25 | リッスン・トゥ・ハー
「その境界は目よ」

「目ですか?」

「するどく獲物を狙っているような目を持つサボテンは歩く」

「目を持つサボテン」

「反対に穏やかで引退したプロ野球選手みたいな目を持つサボテンは歩かない」

「目を持つサボテン」

「それだけ」

「サボテンに目があるんですか?」

「あまり知られていないけれどあります」

「サボテンって動物なんですか?」

「動物です」

「記憶では植物って習ったような」

「以前はそう考えられていました」

「なにか発見されたんですか」

「そのとおり、発見によってサボテンは動物であることがわかった」

「なにが見つかったんですか?」

「中国で見つかりました」

「はい」

「サボテンが歩いているところを目撃しました」

「いきなり!」

「だから、もしかしてこいつら動物なんちゃうこ、とよく観察したら目がありました」

「へえ」

「動かんしまあ動物ちゃうやろと思ってましたからね」

「盲点でしたね」

「以来動物とされています」

「で、目の違いで歩くかあるかないか別れると」

「そうです、歩くものの目は鋭い」

「たとえばあのサボテンはどうですか?」

「これは歩きますね」

「ええと、目ってどれですか、ちょっとあたしわかりません」

「これが目です」

「ほとんどわかりませんね、かすかに点があるぐらいで」

「だから気づかなかったんです」

「なるほど」

「では歩かせてみましょう」

「できるんですか」

「簡単ですよ、ほらアルフォートをちらつかせると」

「やってきた!」

「大好きなんですね」

「手みたいなんでアルフォートをもぎとって食った!口!」

「ね?動物でしょ?」

「気持ち悪いわ」

カメラマンが寂しく笑うロンドン橋の下

2011-02-25 | リッスン・トゥ・ハー
ヤクルトを見るとぐいぐいといきたい気がするんやけど、実際いったら、腹にたまってしまいそうだからしない。ヤクルトをぐいぐいいけるほど飲むって、どれぐらい必要なんかよう知らん。買ってきて試してみるほど気になるわけじゃないから、想像するしかない。ヤクルトの濃厚さ、カロリー1/2のはいけない。それを飲んだからあかん、まったくヤクルトの本領を発揮してないし、あれはヤクルトじゃなくて、クルト。クルトはすっきりと飲みやすいし、それこそいくらでも飲めてしまいそう。水と同義語ぐらいに飲めてしまいそう。飲めるでしょうあれならば。だったら、飲んだらいいじゃない。一生に一度ぐらいヤクルトをぐいぐいと死ぬほど飲むんもわるないやろ。

ヤクルトと合わせて食べるのはビスコ。ビスコはおいしいお菓子。お菓子なのに、しっかりとした味、食べごたえ。ビスコさえあれば冬を越せそうな気がする。こしたら、春だし、食べ物はたくさんあるわけだから次から次へと食べてしまうに限る。ビスコとヤクルトをもって、旅に出る。旅に出たら新しい出会いがあるって、みんな知っている。私も知っているから。

嘘。嘘を折り畳んでナミダを流してしまうわけ。

売春のライセンス、焙煎す

2011-02-24 | リッスン・トゥ・ハー
「来年からライセンスが必要になりましたので、取得してください」

「どこで取得できるの?」

「市役所です」

「市役所?」

「手続きができるようになっています」

「試験はあるんでしょ?」

「もちろんありますよ」

「市役所でできるの?」

「できます、なぜなら性的なことは何一つしないのですから」

「なにをするんでしょう?」

「筆記試験です」

「勉強?」

「売春に関することですから、勉強しなくても大丈夫でしょう」

「そうかなあ」

「そうですよ、2択ですし」

「2択?」

「3択かもしれません」

「3択?」

「4択の可能性もあるな」

「大事なとこだからはっきりして、何択?」

「じゃあ、2択」

「じゃあってなんなの、ほんとに2たくなんでしょうね?」

「2択です」

「で、どんな問題が出るんでしょう?」

「たとえば、おっぱいを描きなさい、という問題」

「2択ちゃうやん!絵?」

「描くだけですから、不正解はありませんよ」

「なんなのその試験」

「決めては試験に臨む姿勢です」

「やる気をだせばいいのね?」

「逆です」

「逆?」

「やる気は出してはいけません、むしろ途中で放り投げてしまいなさい」

「放り投げるって」

「文字通り答案用紙を放り投げます」

「放り投げてどうするの?」

「かったりーなあと言います」

「大丈夫なの?」

「大丈夫です」

「試験会場は凍り付くよね?」

「まあ、凍り付きますね」

「大丈夫なの?」

「大丈夫です、そのうち、係の人がやってきて別室に連れて行かれます」

「別室?」

「こっぴどく怒られます」

「怒られるんかい!」

「2時間続きます」

「嫌すぎるわ」

「3時間目に入った頃」

「ようやく合格?」

「怒る人が二人になります」

「救いないわ」

「3時間ごとに増えていきます」

「つらすぎるやろ」

「3日間続きます」

「苦行やないか」

「突如として終わります」

「精神的に限界やで」

「耐えれば合格です」

「無理」

そごう八王子店に王子様はいるって誰が言ってた?

2011-02-24 | リッスン・トゥ・ハー
そごうだからって何でもあるとは言ってない、むしろないものの方が多い、だから期待しすぎてはいけない、と西さんは言った。いやそれぐらい知ってますってとあたしは言いたかったけれど、西さんが気を悪くしたらいけないから黙っていた。すると西さんは、だけどそごうには夢があるよ、と遠い目をした。それきり黙ってしまったから、あたしはそごうにある夢っていったいなんなんですか、と聞くことはできなかった。西さんはとても眠たそうで、目を閉じてしまったし、目を開けるとすぐに、では、と帰宅したからだ。後日絶対に聞こうと思っていたけれど、西さんは旅に出、その旅先で交通事故に遭い、死んでしまったから。そごうにあるという夢を追い求めている32歳、あたしの春。

赤い電車 <ver.金沢文庫>/ベスト オブ くるり Tower Of Music Lover/くるり

2011-02-23 | 若者的図鑑
金沢文庫の方です。

なにが違うかと聞き比べてみますと、アコースティックギターがよりはっきりと聞こえます。
よってベース音も目立ってますね。美しい。響きです。

こっちのは右左のステレオからギター音が交互に聞こえますね。
原曲は左が高いギター音、右が低いギター音ですかね。最終的には同じ音を同じボリュームで流していますね。きっと。

それにしても歌う電車の電車音がたまりませんね。
ちゃんと音楽として聞こえます。ほんまに電車音なのか違うのか作ったものなのかわかりませんね。
調べませんよ。もう。

ちゅうかあんまり違いわかりませんよね。もう。

聞けば聞くほど迷ってきますね。困りましたね。どうしようもありませんよね。

これでいいのだ。

苦情が相次ぐのはお客様の期待の現れです

2011-02-23 | リッスン・トゥ・ハー
店長はだいたいいつも自信満々にあたしや他のバイトの人に高圧的な態度をとってきて、だから、あたしや他のバイトの人は店長のことがあまり好きではない。好きではないどころか、キライって言っても支障ないから、言ってしまいます。店長はきっとあたしや他のバイトの人がそんなことを思っているなんて知ったら、首をつってしまうかもしれません。だって、店長意外と打たれ弱いタイプだもん。あれは絶対にガラスのハートを持つ男。すぐにくだけ散ってしまうから、あたしや他のバイトの人は気をつけなければなりません。あたしや他のバイトの人はただ、お金を得るためにこのバイトをしているのに、店長のガラスのハートのことまで気にしてたら身が持たないわ、ってこのバイトをやめたいと思ってるんだけど、もしも一斉にやめてしまったら、それこそ店長きっと泣いちゃうから、それは避けて、徐々に減らしていく方針を打ち立てる。あたしの指示に従わない何人かは突然やめてしまったけれど。というわけで、バイトが徐々に減ってて気づいたらモウおらんよ計画現在進行中。

離れない国、離れる国

2011-02-23 | リッスン・トゥ・ハー
「離れません」

「離れませんか?」

「決して離れることはありませんよ」

「そうですか」

「さあお引き取りください」

「わかりました」

「すいませんね」

「いえいえ、このぐらいなんでもありません」

「いつか離れる時が来たら、あなたに声をかけますよ」

「ええ、お願いします」

「憤怒!」

「憤怒!」

「では」

「はい」

「ごきげんよう」

「あの」

「なんですか?」

「アルフォートさんですよね?」

「違います、木下です」

「ああ」