リッスン・トゥ・ハー

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泡の消滅

2006-10-26 | 若者的詩作
個々の下
あたしの子どもが戦ぐ
消えていく泡の露な音を
血迷って重ねるから

永遠へ
たった9秒、愛しています
出会った
消えていく泡の露な音を
血迷って重ねるから

枯れはしないし、群が過ぎたんだ
血迷って重ねるから

林檎売り

2006-10-25 | 若者的詩作
甘酸っぱい匂いビル街でりんご売り
人の群れ煙を上げたビル街でりんご売り
「りんごはまだか、りんごはまだか」

りんごは落ちる、割れるわずかな果汁をあげて

行方くらました娘さんビル街でりんご売り
硬い硬いコンクリートのビル街でりんご売り
「りんごはまだか、りんごはまだか」

りんごは落ちる、枯れるいくつかの季節を越えて

高校生クイズで汗をかくの夢061023

2006-10-23 | 若者的白夢
高校生クイズのようにチームでクイズに挑む。クイズは発想力と行動力と運とそういうものの総合的に試されるようなクイズ。次の問題です。モニター映し出される文字。競争です。○○へ急いでください。走り出す参加者。私も急ごうとするが、その迫力に負けて立ち尽くしている。そのうちほとんど誰もいなくなる。とモニターに映し出される新たな文章。そして、このクイズに回答してください。ずらずらと出題されるクイズ。おお、これを知らないとクリアできないのに、ここにみなはいない。とうれしくなって考える。簡単だが意外と手間がかかる面倒なクイズだ。そのうち、一人またひとりとしてここに戻ってくる。みなあっさり答えて走り出す。私は取り残されてしまった。そのうちモニターに回答が出てくる。それを読んで仕方なく走り出す。仲間が家族のことに口を出してくる。目覚め。

君がいるかな君がいるかなららら

2006-10-23 | 東京半熟日記
(60)

午後、日比谷野外音楽堂、足を踏み入れる。その少し前に日比谷公会堂も見ておいて。太陽が高い。日差しが照りつける。日焼け止めを入念に塗りたくり、さらに塗りたくり、しかしそれを縫ってくる紫外線が内部にまで届く。ぞろぞろぞろと人が集まってくる、その波に乗る。空は青く、蝉時雨は相変わらずうるさく、イベントのはじまりは近く。会場は満員、一堂に会した人の頭、私は後ろのほうで見回して座る。歩きつかれたが、何もかも今からだし、そう思い出して立ち上がる。所々、大きな声が飛び交う。屋台のようなものがいくつかある。カキ氷やから揚げやそういうものを片手に、皆がステージを見ている。待ち構えている。時間は進む、予定の時間が近づく。次第に静まりだす会場の人間の息遣いだけが、ぶんぶんと唸っている。やかましい音楽が鳴り出す。蝉時雨に負けてたまるか、とぎんぎんに張り上げた音楽が鳴り出す。歓声。拍手。黄色い悲鳴、呼びかける声。世界が回り始める。望むところだ。わたしは天高く拳を突き上げた。(了)

君が素敵だった事、ちょっと思い出してみようかな

2006-10-22 | 東京半熟日記
(59)

相変わらず季節に敏感にいたい。蝉時雨は割れるように、夏を惜しむように耳を劈く。噴水の水が噴出してくる。わーと、子どもが中で遊んでいる。遠くで見守る日傘の母親の微笑み。噴水の浅く狭い池に蛙が浮かんでいる。かなり大きなその蛙は噴水のあげる水しぶきによって揺れる水面に身を任せて、ただよふ。彼はきっと、大海原に浮かんで眠る夢を見ているに違いない。ベンチに座り、水を飲む。透明な小さい虫が、何匹も何匹も腕に登ってくる。身体が捨て入て、その向うに皮膚がある。つつつつつと歩いて、こそばゆいので、叩いて潰す。潰しても潰しても次から次へと肌へ登ってくる。これはなんという虫だろう。向うのベンチに寝転がり、腹を丸出しにしているホームレスとおぼしき老人。いびきが聞こえる。時々止まる、睡眠時無呼吸症候群である事を確認する。彼のこれからが、幸あるものであることをひとり勝手ながら願う。向うでTVの撮影隊、マイクを持ったリポーターがしゃべりかけるは何万人の傍観者なのか。インタビューを受ける女がしゃべりかけるは何万人の傍観者なのか。ここでは何もかも全てが平等だ。

まあいいか、でもすごくつらくなるんだろうな3

2006-10-21 | 東京半熟日記
(58)

腹が満たされたならもう図書館に用はない、とばかり無言でらせん階段上って外へ。空調機の呪縛がわたしの身体を蝕みつつあり、それを振り切るには勇気と、知恵と、ちょっとばかりの水と、妙に頭に残るベースラインと、蝋人形と、蝋人形にしてやろうかと嘯く人と、10万47歳と嘯く人と、プチトマトが必要でしたが、妥協に妥協を重ねて、とりあえずコンビニに水を買いに行く。といっても、日比谷公園、ビルに囲まれていて、派手なコンビニは見当たらないし、とにかく公園からでて、横断歩道を渡りまして、などをしていましたら、ファミリーマートがありました。ビルの地下に。いちいち隠しやがって。電池に貼っておくだけで、携帯の電波具合がごっつよくなるうえ、電池もちもよくなる、という魔法のような機械を気にしつつ、水買います。さすが昼時、ビジネスマンがたくさん、弁当を買いに来てます。お弁当コーナーの充実度は百貨店なみ。日比谷公園で食べるんでしょうか。オフィスレデーもお財布片手にやってきています。誰もかも小奇麗ななり。エリート感全開。わたしは逃げるように公園に戻った。追ってくるエリートの影、太陽はもっとも高く、木洩れ日は肌を焼き付けるように照らす。

R-18

2006-10-20 | 若者的詩作
当たり前だということにして
相も変わらず登り続けた
あやかし色の挿話、近づいた気がした
君はうわの空、持て余す、それはまだ

君の左手の冷え加減にそっと
視線泳がして
僕の右手であっためてあげるよ
夕暮れに染まって

こうしたいなって欲望回りくどい
言葉で、ひとり、よくなって果てろ
ぬれた身体が枯れたっていいでしょう?
呼吸をやめて、全部脱いじゃいな

呼吸忘れ、もっとそばで見ててもいい?
何も言わない、何も望まない、
そしたら、かなうのかな
僕たちに新しい季節は必要ない
なくした瞬間に描いたイメージのまま
「その左手を右手であっためてあげるよ」
かける言葉を失って
時代、映画の終わりを知る

繰り返す僕ら、矢のように過ぎていく
裸になったら、何か変わったか?
ところで結局はそういうことでしょう?

まあいいか、でもすごくつらくなるんだろうな2

2006-10-20 | 東京半熟日記
(57)

やがて呼ばれて、うははと喜び勇んで取りに行く豚汁定食を。豚汁は濃いきつね色。一瞬、なんと言う色なのだ、おでんでもこんなに濃くないぞよ。関東は濃い味、であることを再確認。関西はあっさりあっさり、マアやっぱそっちのほうが好きですねわたしは。具は野菜豚肉を中心に様々。非常に素朴な味、それはわたしに忘れていた雑巾にしみ込んだ牛乳の味を思い出させる。それで頬をばちこんとはたかれたような。というととてもまずかったのかと思われるでしょうがそうではなく、素朴さがとてもよかったわけです。無造作に放り込まれた具は、よいだしを出す。くたくたに煮た豚肉はほろほろとやわらかくとろける。山芋、ごぼう、じゃがいも、などがほくほく。夏だという事も忘れて、一気に書き込んでいたのです。東京にきて一番美味しいものを食べたとそう思った。豚汁は偉大だ。そして、それをおかずに飯を喰らいつつ、レンジで温められた率の非常に高いコロッケが、豚汁定食にはついていたわけです。コロッケも豚汁に釣られて、何でもないようなことが幸せだったと気付く。なんとも満足な定食をいただいたわけです。水をぐいっと飲み干して。

Crete,GREECE(世界のドア)

2006-10-19 | 若者的字引
Page11

できてからもうかれこれ1000年が経過する、と老人が懐かしそうに説明している、石でできた壁。細かい模様が彫られている。長い長い年月を経た印のように所々変色し、黄土色、クリーム色、白、黒、様々な色が入り混じる。四角ではなく、上が円状になっている。木製のドア-。壁のそれとは年齢が違い、こちらは最近つけられたらしい。といっても2、300年経過しているが。ドア-にはふたつ呼び鈴がついている。金属製の叩いて音を出すもの。話し終えた老人はやがて天を見上げる。そして、かたくなに沈黙を守る神に対し、思いつく限りの悪態をついて、目を閉じる。少ししてやってきたちいさな蛇が老人を飲み込む。そして老人を飲み込んで蛇はにゅるにゅると太陽の東へ向かう。

まあいいか、でもすごくつらくなるんだろうな

2006-10-19 | 東京半熟日記
(56)

食堂は食堂らしく、食券にて先払い。入り口の所に食券自動販売機がある。そのすぐ隣に古びたディスプレー、毒の入っていそうな色になったメニューの模型、埃が薄紅のようにコーティングされていて、非常に不快感が高まる。わたしは金を入れ、少し考えて、というか後から後から人がやってきて、後ろにずらーッとまってるものですから即座に、豚汁定食に決めて、ボタン押す。ぴぴぴと音が鳴って、券とおつりが落ちてくる。それを手に食堂内部へ。地下食堂は、意外と広く、すでに多くの人が席に座って無心に食っている。女性は少ないが、確実にいるのでとても安心する。地下と言っても、窓がある。窓の外は堀が掘ってあるように、くぼんでて中庭風、太陽も差し込んでいる。ですから感覚的には地下なんてものじゃない。どうでもいいことだけれど。食券を渡すカウンターにやはりすでに多くの人が並んでいる、それに加わりわたしは、なんとなくよそ者感を味わいながら。カウンターのおばちゃんに券をわたし、替わりにもらった順番待ち札を手に、席を探しておく事にする。座る場所も見当たらない、うろうろと挙動不審を隠さず、きょろきょろして、探し当てた場所に座れるじゃない。で、そこにリュックサックを置いて、おばちゃんの札番号を読み上げる声を待つ。