リッスン・トゥ・ハー

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マリリン・モンローのX線

2010-06-30 | リッスン・トゥ・ハー
いやーん、と下から風が吹いてきてスカートがめくれている。まさにその場面でX線を飛ばし、撮影したのである。モンローも気付かぬうちに我々はそのエロスのメカニズムを知るために、飛ばさなければならなかったのだ。性欲の減退、現代に巣食う大きな問題。子孫の繁栄のためには性欲は絶対に必要なもの。性に関することは何かと口にすることをはばかられるが、口にしなければならないまでの危機である。エロスの神様として現在も君臨するモンローの、いかにもセクシーなその姿を透かしてみる。中に何かひみつが隠されているはずだとの仮説を元に、我々はX線を飛ばしたのだ。モンローの中身を見て、研究室は騒然となる。非常にわかりやすい中身であった。モンローは油揚げでできていたのである。甘辛く炊いてある、きつねうどんにかかせない油揚げである。何枚もの油揚げが、モンローを形作っている。その妖艶な腰つきも、ふくよかな胸元も、ぷっくりと厚い唇も、長いまつげも、濡れた瞳も、カールした髪も、見えた下着も、全部油揚げである。つやがあり、うまそうな油揚げがモンローを作っていたのか、つまりエロスの原点は油揚げ、との結論が出た。翌日の各紙の一面記事、「性欲の減退のために油揚げを」

期日前投票重み増す

2010-06-30 | リッスン・トゥ・ハー
どんどん増している。もう片手だけじゃ支えきれないほどの重みだ。両手をつかってなんとか、それもつかの間、もう、持ってられない持ってられない一旦置きます一旦置きますから、と言い訳がましく言っといて投票用紙を落とす。ずどんと地響きが鳴る。半径2キロ四方が揺れる。砂埃はオーロラのように舞う。その間にもさらに重みは増していく。沈んでいく。地面は柔らかい、もう止らない勢いで重みは増していく。体積は不変であるから、そのうち次元が歪む。その次元の隙間に、何もかも吸い込まれていく。選挙カーも、立候補者も、ポスターも、選挙権も、発言権も、プライバシーの権利も、第9条も、核爆弾も、消費税も、5円玉も、ブラジルの人も、食べかけのアイスクリームも。この世の中のすべては重みを増し続ける投票用紙に吸い込まれて、別の次元へ。投票用紙は漂う、宇宙空間を、さらに重みを増しながら、何もかも貪欲に吸い込み続けながら。

マッチが企画発案

2010-06-29 | リッスン・トゥ・ハー
「どうもマッチです。いい大人です。先端部分は発火します。ひょろ細いです。今度僕が企画考えました。ぜひみんな参加してください。マッチの出した火を消すゲームです。いたるところで火を出します、見つけ次第消してください。消さないと大変なことになります。寂れた村でやります。人を傷つけるのはイヤです。だからほとんど誰もいない村でやります。ほんの少し残っている人がいます。高齢者の方々ですが、高齢者の方々は事前に通知して避難してもらいます。理解を得てからやります。勝手にしたらそれはただの犯罪です。僕は牢屋に入りたくはありません。まだ美味しいものを食べて、自由に眠りたいです。このゲームでいちばん上手く火を消せた人に商品をあげます。とても貴重な僕のレコードをあげます。発売はされなかった「おっぱいとおっぱいぱい」というシングル盤をあげます。だからふるって参加してください。」という脅迫状が届いたが、いたずらだろうと無視され、1ヶ月後、ある村は燃え上がる。

Perfumeじゃなくて申し訳ない

2010-06-29 | リッスン・トゥ・ハー
どうも原ぼうです。ぜひとも腹ぼうと呼んでください。本当はPerfumeがくる予定だったのだけれど、仕事が忙しいので来れないということで、わたしが代役としてやってきました。京阪電車からいろいろ乗り継いでやってきました。京都物語という曲を出したばかりなので無理矢理京都を出してみました。あざといと言われるかもしれませんが、これもまた戦略。Perfumeは少々売れすぎたので、鼻高々です。仕事を選ぶようになりました。こんなライブにこれるかい、と断ってきました。会社も売れてる子には優しいから、よけいに鼻が伸びていく。伸びていく。伸びていく。ぐんぐんと伸びて伸びて、そこ、見えてるの鼻です。Perfumeのひとりの鼻です。ひとりといっても、のっち、かしゆか、ゆうゆう(たぶん)のものではありません。Perfumeという概念の輪郭、そこから伸びてきた鼻です。Perfumeという実体のない漠然としたもの、それは蜃気楼のように追いつけそうで決して追いつけないものから伸びた鼻です。触ろうとしてはいけません。触ろうとしたものはその禍々しい力に包まれて吸い込まれてしまうでしょう。そこはPerfumeの体内。Perfumeのすべてが或る場所。逆に飲み込まれたいですって、どうぞどうぞ、きっと後悔するでしょう。さあこうしている間にも鼻は伸びています。今も会社から褒められているのでしょう。音楽誌が褒めているのでしょう。巻頭グラビア撮影中なのでしょう。鼻は伸びて会場を突き刺してぶち壊すでしょうが、かまわんよ、わたしはライブをしますでは聴いてください「恋は、ご多忙申し上げます」

4匹の蝿

2010-06-28 | リッスン・トゥ・ハー
逃げ惑う人々を見ながら、私は殺虫剤を手にした。すぐに噴射できる状態にし、私は蝿が近くに飛んでくるのを待った。こちらから攻撃を仕掛けようものなら毎秒に2000回とも言われる羽ばたきにたちまち噴射液を巻いて逃げてしまう。慎重に待たなければならない。4匹の蝿は人々を襲う。あの小さな蝿が人々の皮膚を融かしながら食べている。それはそれは恐ろしい光景だ。これが夢ならば、と何度思ったことだろう。現実だ。たしかな現実を私は生きている。殺虫剤は構えている。いつでも噴射できる。蝿の4匹ぐらいなんでもない。落ち着いて狙えば大丈夫、しとめられる。しかしこちらから仕掛けてはいけない。蝿の獲物を狙う一瞬の隙をついて攻撃しなければ。それまでは空気のように存在感を消して、尾行する。蝿が人々を食い尽くす、あの小さな身体のいったいどこに被害者の様々な部分が入っているのだ。疑問は今は考えない。4次元ポケットみたいなものなのだろう。蝿はまだ物足りないと獲物を探している。いずれ私に気付くだろう。気付いてこちらに向かってすごい勢いで飛んでくるだろう。その一瞬の隙だ、私が狙うのはその。一匹の蝿が私に気付く、何か相談しているようだ。4匹はそろって私の方を向いて、すごいスピードで私の方へ、私はためてためて、一気に噴射、蝿1、2、3に直撃で痙攣させる、地面に落ちた、4は、4はどこに行ったのか、と私が辺りを見回すと、「志村ー!うしろー!」え?(暗転)

古墳、レーザーで丸裸

2010-06-27 | リッスン・トゥ・ハー
我々はレーザーで見ることにした。中身がすごく気になった。中身を見ることは考古学的にすごく意味のあることだ。だからレーザーで見られることに意味がある、と許可はすぐにでた。複雑な技術的な壁を経て、レーザーで見る日になった。待ち望んでいた日だった。我々はその日の朝から士気を高め、できるだけ盛り上がっているように見せかけた。そうすることで、さらに意味のあることのように演出した。それぐらいの演出が現代考古学の分野では必要なのだ。演出の上、セリフや間も決めて、さていよいよレーザーのお出ましだ。ベンチ裏からイチローが走って出てきた。さすが、手を抜かないプロフェッショナルを感じる。イチローは守備位置について、フライがくるのを待った。ほどなくしてフライはやってきた。単身赴任のフライだ。女房子どもは東京にいて、ひとりで地方にやってきたフライだ。多少の開放感から、不倫もほどほどにしているフライがイチローの待つライト、もとい、古墳前に飛んできた。イチローは打球の行く先へ先回りし捕球体制に入った。よどみない一連の動作を記録した。それはイチローの美しさと、古墳の中身を見るにあたっての興奮を残しておくために。ブルーレイ対応のビデオカメラで通常録画をした。後になぜブルーレイで撮らないんだ、と激怒するメンバーもいたが、それはまた別のはなし。イチローは捕球し、すぐさまサードにむけて投げた。俗に言うレーザービームだ。我々は色めき立った。ついに出たぞ、レーザー!さあ、中身はどんなだ!モニターをみな見ていた。古墳の中身が映し出されていく。丸裸にされていく古墳を、監督はいじめた。ほらほら恥ずかしい所も全部映ってるよ、これ、みんなに見られるんだよ、全世界のみんなに、ほら、もっと見せて全部見せて、君のすべてみせてごらん。わたしは身に着けているマントを外し、それを古墳の差し出しながら言った。古墳よ、これを身にまといたまえ、そら、そちらの娘さんが恥ずかしがっているぜ。全裸の戦士は顔を赤らめた。

大塚愛とリップスライム・SU

2010-06-27 | リッスン・トゥ・ハー
おいどんが大塚愛でごわす。アーチストでごわす。シンガーソングライターでごわす。ヒット曲多数でごわす。この度結婚することになり申した。相手はリップスライムでごわす。ヒップホップの人たちでごわす。人気者でごわす。おいどんと比較すれば、おいどんのほうがやや人気もの。しかしいずれもなかなか人気者。人気者同士の結婚でごわして、テレビも騒ぎ立て騒ぎ立て、おいどん困っちゃう。交際のきっかけは楽曲の提供ということになっておりますが、おいどんが猛烈にリクエストしたでごわす。リップスライムを使ってやるか、と。リップスライムならとりあえず誰でもいいから来て、と呼びかけてきたのが彼、シャイでもじもじしてたけれども、それは逆に新鮮さをおいどんに印象づける結果となりもうす。うは。気が合い申して、ゲートを重ねたでごわす。スタジオでも、街角でも、マンションでも、ふたりはラブラブでごわす。ちょうど半年たって、それではと結婚に、自然な流れの中でおいどんはプロポーズされたのでごわすよ。ふたりで築き上げる日々、楽しみで仕方ない現在でごわす。創作欲ももりもり。いいこと尽くめでごわす。では朝稽古にいくでごわす。ごっつぁんです。

土俵ガール

2010-06-26 | リッスン・トゥ・ハー
どすこい、という声甲高く、国技館に響きわたる。土俵ガールが土俵に登る。女人禁制はねのけて、土俵ガールはまわしをしめて、ジャージを下に着てるから、肌はあらわになってない、だから周りの男子だって、色めき立ってみてないでしょう。土俵ガールは普段はアイドル。映画の役でそういうことになりまして、どっぷりはまり込みまして、土俵ガールは土俵に上がる、ことだけがわしの人生よと、周りの説得もなんのその、土俵に登るための修行を、ある部屋の親方に弟子入りを決めました。親方、けなげな少女が、土俵土俵と自分を慕うもので、土俵はともかく健気な少女から慕われるのはいい気分、と弟子入りを認めます。目に入れても痛くない、程のかわいがり方でまたたくまに部屋のアイドル。わしったら、どこでもアイドルになってしまうのね、なんて鼻高々、その後、親方と恋に落ち、裁判沙汰にもなりました、それらはあくまでサイドストーリー、いろいろあって、今まさに土俵に上がろうとしている、土俵ガールは35歳、まだまだ綺麗な肌でして、親方未練たらたらで、応援するから戻ってこいというはなしもあります、土俵ガールは目的のためなら何でもする覚悟、さあ土俵間際だ、ガールが足を今、踏み入れようとする、踏むガール、土俵は幻、何もかも、歓声、怒号、塩の匂い、一瞬で消えてしまう、土俵ガールは暗いくらい監獄の、中で一人たっている。

一見清楚なのにセクシー下着女子

2010-06-25 | リッスン・トゥ・ハー
セクシーさをみせびらかしてはいけない。それは野暮というやつよ。あくまでも清楚。基本は清楚。その基本あってこそのセクシー。だから、覆う面積が小さくて紐がいっぱい付いてるセクシーなのを彼女は身に付けていた。誰に見られるわけでもなし、自分に対する戒めとしてセクシー。誰も彼女がこんなにも面積の小さな下着をつけているなんて思いも寄らない。せいぜい、黒、とか赤とか、色で責める程度だと思っている。しかし彼女を覆う下着はいろんな部分を露出させている。面積が小さい上に透けるタイプの生地だから、もうてにおえない。セクシーさはうなぎ上りだ。彼女が下着姿で現れたなら、セクシーが舞い降りたと感じるだろう。そして彼女は部屋では下着一枚でうろうろするタイプ。セクシーな下着で部屋をうろうろ、なんなら下着を外してうろうろ。誰も想像できない、彼女のひみつ。彼氏ができたら見せてあげるのだ、と彼女は部屋で飲むヨーグルトをごくごく飲みながら尻に食い込んだ下着を少し引っぱり戻す。

よりよい出会いってのは、じっとしてちゃだめなのよ。

2010-06-25 | リッスン・トゥ・ハー
そう、森、深い深い森、迷い込んだ森、動物の声、道はすでなし、森、方位磁針は捨てた、太陽も届かない森、間もなく夜、大きな鳥の声、狙っている動物の肉、様々な食虫植物、冷えてくる気温、怪しい雲行き、風も吹いてきた、これはまさに遭難、認めたくないが遭難、助けを呼びたいがその手段を持たぬ、悲しい気持ち、惨めな気持ち、空いてくる腹、鳴り響く腹の虫、リックサックに水、わずかばかりのチョコレート、少し折って口に含む、すぐに溶けてなくなる、逆火が点いた感じ、はげしい腹の減り、筋肉の疲れ、がくがくの足腰、森の道なき道は険しく、どこへ向かっていたのかもうすでに知らない、なにしにきたのか忘却の彼方、完全に日は落ちて、雨もなんか降りそう、ぬかるみに足を取られ、まず蛭が何匹か食いついているぞ、振り払う元気、まだあるぞ希望、ここで止ってはいけない、じっとしてちゃだけなのよ、そうだ思い出した、出会うためにここにいる、よりよい出会いを求めて、森に足を踏み入れた、森の奥の奥にいるという、一見清楚だけどセクシーな下着女子に会うため、俺は森を彷徨い、本当のセクシーに、気付いて引き返した。だけど、道に迷いて、帰れそうにありません、そろそろ疲れもピークで、動くことができない、最後に聞いてくれ、一見清楚だけどセクシーな下着女子は、都会のマンションに、生息している。

フィンランド大統領とフィンランド首相

2010-06-24 | リッスン・トゥ・ハー
フィンランド大統領はやあと手を挙げて、部屋の中にフィンランド首相を招き入れた。フィンランド首相はやあと手を挙げて、案内されるままに部屋の中に入る。ふたりはなかよしだった。部屋の中でソファに座り、ふたりはフィンランドの未来について話し合う。その模様はテレビ中継されている。フィンランド中にその映像が流れている。ほとんどの国民はその映像を見ている。大統領は第三のビールのことに触れる。美味しいから首相もぜひ試してみて、ビールと何も変わらないから。大統領はそういって、胸ポケットから第三のビールを取り出し、プルトップを引き、首相に差し出す。首相はビールどうこうのはなしじゃなく、胸ポケットに入っていたことが気持ち悪く、何より冷えてなければ美味しさなど半減以下じゃない、とビールを受け取ることを躊躇する。大統領は、どうしたの?飲んでみてよ、と強引に握らせようとする。たまらず首相は尋ねる、どうして胸ポケットに第三のビールを入れてきたの?窮屈でしょうし、せっかくのビールがぬるくなること必至じゃない。大統領はそれを聞いて、そういえばそうか、ビールはぬるくなってしまえば飲めたもんじゃない、と思い直す。それもそうね、うっかりしてたわ、ほら、あたし、暑がりじゃない?だから第三のビールを胸ポケットに入れてるとひんやりするの。たしかにひんやりはするけれど、そういう風に使うものじゃないし、すぐにぬるくなるでしょうよ、非効率よ。大統領と首相はしばらく言いあう。映像は途切れることなく、アングルを変えることなく流れ続けている。やがて、首相の理解を得られない大統領が第三のビールを投げ捨て、うなり声を上げる。威嚇の合図だ。首相も続けて、頬を思い切り膨らませ、顔が赤くなっていく。天敵に遭遇した時の習性だ。両者、今にも飛びかからん、映像では実況、解説がつく。フィンランド国民は、ようやくはじまったと第三のビールを冷蔵庫から取り出して、その映像を肴に。