透明すぎて見えなかった。見えないので怖くなって叫んだ。透明なものがそばに迫ってきているような気がした。今は何の攻撃も受けたくない。いや、今だって、これから先いつだってそんな攻撃は受けたくなかった。スゴく痛そうだから嫌だった。嫌すぎるので叫んだ。そしたらまた透明なものが速度を増した気がした。叫び声に対して挑発するように速度を増したのだ。それが思い切り下っ腹のへんにぶつかってきたら、そう思うとまた恐怖がこみ上げてきた。まだ死にたくないんだ。死にたくは。死んでしまえばなにもできない。大盛りを食べなければならない。大盛りを食べて美味いよ、これ美味いよといいたい、だから死にたくはない。叫んだ。
地球、汚す、だからいらない。俺、怖い、原子力、あんなに大きな、フネ、動かす、力、どこから、湧いてくる、わからない。俺、怖い、カツオ、サザエ、もろとも、壊す、平和な、町、平和な、家庭、なにもかも、壊す、だから、俺、怖い、原子力、何、わからない、説明、する人、着ている、白衣、白い、俺、白い、もの、嫌い、白い、もの、まぶしい、俺、壊す、白いもの、すべて、壊して、壊して、壊して、しまう。タラオ、ワカメ、あいかわらず、のんき、あなり、知らない、本当の、現実、まだ、子ども、だから、説明、する必要、ない、むしろ、そっと、しておこう、そしたら、シアワセに、生きて、いける。俺、怖い、みんなが、ばらばらに、なること、みんなが、互いを、憎しみあうこと、みんなが、本当に、みんなを、必要と、しなくなること、この、メッセージ、誰かに、届け、できるだけ、多くの、誰かに、届け、俺、ナミヘイの、願い。
「エビちゃんが生むそうですよ」
「まじか?あのエビちゃんが」
「そうです、エビちゃんです」
「そうかあ、エビちゃんも生む様になったのかあ」
「知り合いですよ?」
「知り合いも何も、妹だから」
「マジで?それなんで今まで黙ってたんですか?」
「聞かないからさ、こっちからいうことでもないし」
「そうですけど。はあ、そんならもっと家行ったとき匂いかいどけばよかったあ」
「匂いかいでも、エビちゃんのにおいしないけどね」
「妹なのに、エビちゃんって呼ぶんですか?」
「そうだよ、エビちゃんは別格だからね」
「へえ」
「なんせ、魚介類からあんなTVスターに上り詰めたんだから」
「ちょ、待ってくださいよ、魚貝類て」
「エビちゃんなんだから、魚貝類でしょうよ」
「ちがうでしょう。そういう名前なだけで」
「俺、兄なんだからわかるっつうの」
「本当なんですかそれ?」
「なに疑ってるの」
「ちょっとうそ臭いなあ」
「俺、魚貝類だし」
「いや、人間そのままですけど」
「悪いうつぼにだまされて、今は人間の姿に変えられてしまったのだ」
「悪いうつぼて」
「早く魚貝類にもどりたいの」
「じゃあ何なんですか?エビなんですか」
「まあ、そんなもんだね、甲殻類だね」
「で、エビちゃんもそうだったと」
「エビちゃんは特別よ。もともとあんな感じで」
「じゃあ人間じゃん」
「いや、人間に限りなく近いブルー」
「ブルーちゃうやろ」
「まあエビちゃんはもともとそうだったわけよ」
「そうすかわかりました」
「早く小エビちゃんを生むといいね」
「そうすね」
「まじか?あのエビちゃんが」
「そうです、エビちゃんです」
「そうかあ、エビちゃんも生む様になったのかあ」
「知り合いですよ?」
「知り合いも何も、妹だから」
「マジで?それなんで今まで黙ってたんですか?」
「聞かないからさ、こっちからいうことでもないし」
「そうですけど。はあ、そんならもっと家行ったとき匂いかいどけばよかったあ」
「匂いかいでも、エビちゃんのにおいしないけどね」
「妹なのに、エビちゃんって呼ぶんですか?」
「そうだよ、エビちゃんは別格だからね」
「へえ」
「なんせ、魚介類からあんなTVスターに上り詰めたんだから」
「ちょ、待ってくださいよ、魚貝類て」
「エビちゃんなんだから、魚貝類でしょうよ」
「ちがうでしょう。そういう名前なだけで」
「俺、兄なんだからわかるっつうの」
「本当なんですかそれ?」
「なに疑ってるの」
「ちょっとうそ臭いなあ」
「俺、魚貝類だし」
「いや、人間そのままですけど」
「悪いうつぼにだまされて、今は人間の姿に変えられてしまったのだ」
「悪いうつぼて」
「早く魚貝類にもどりたいの」
「じゃあ何なんですか?エビなんですか」
「まあ、そんなもんだね、甲殻類だね」
「で、エビちゃんもそうだったと」
「エビちゃんは特別よ。もともとあんな感じで」
「じゃあ人間じゃん」
「いや、人間に限りなく近いブルー」
「ブルーちゃうやろ」
「まあエビちゃんはもともとそうだったわけよ」
「そうすかわかりました」
「早く小エビちゃんを生むといいね」
「そうすね」
衝突をね、恐れていたら何もできないんですよ。何のためにここまで出てきたというのか、それを考えてみてくださいよ、ひとつ。いいですか、衝突するリスクと、任務を遂行しなければならない義務、どっちが大切なんですか、いったいどっちが大切なんですか。それを考えたらそれで答えは出るでしょうよ。容易に答えは出るでしょうよ。なんの躊躇も必要ないでしょうよ。そうです、任務は偉大です。偉大で、重大で、寛大な指揮官が甚大な被害をこうむってしまいます。私の責任です。指揮官、許してください、なんとしても許してくださいよ、私は叫びます。なりふりかまわず叫びますよ。いいですか、私はなりふりなんてかまってられないんです。叫ぶんです。それだけです。任務は重大です。私はね、しがない見張り員ですよ。危険なものが飛ばないように、見張ってるんです。だからって馬鹿にすることは許さない、決して許さない。私はこれでもプライドを持ってやってるんだ、それを馬鹿にされてたまるものですか。衝突がすべてです。衝突がね。それさえあれば、制覇できる。7つの海を制覇できる。もうそこまできている。夢ではないんですよ。夢では。私はそれにかける覚悟ですよ。すべてをかけて見張る覚悟ですよ。それが私だ。私の人生だ。座布団、飛んできたらすぐに知らせる。はい。
で、白鳳のこの快挙
で、白鳳のこの快挙
「いらっしゃませー」
「どうもクマです」
「わっ!クマじゃないですか」
「クマです」
「死んだふりだ!」
「無駄ですよ、クマには死んだフリが通用しません」
「じゃあ逃げろ!」
「無駄ですよ、クマが本気出せば時速200キロで走れます」
「じゃあ、賄賂だ、賄賂をおくれ!」
「無駄ですよ、クマ界では金など無意味」
「どんぐりだどんぐりでどうだ!」
「どんぐりなんて野蛮なもんうまくもなんともない」
「じゃあはちみつだ、はちみつを振りかけろ!」
「それはして、それは一度やってみたい、ハチミツまみれになりたい俺」
「じゃあ、かけろー!」
「ああ、ハチミツまみれの俺、なんか興奮してきた」
「さあ、早く、え?ハチミツそんなにないの?」
「どうしたの?早くかけてよ」
「探してもないの?かき集めても?そうなの?」
「さあ、遠慮なくどうぞ、俺気短いよ、正直」
「ほらはやく!ハチミツだよ、ないのか?どうしても?そうか」
「ほら、だんだん俺怒ってきたよ、クマ待たすんもたいがいにせえよ」
「なに?メープルシロップならある?よし、ここはメープルシロップでいこう」
「なにごちゃごちゃ言ってんのさ、さあ、俺暴れちゃうよ、暴れて完成間近のジグソーパズルばらばらにしちゃうよ」
「そーれ、これが俺なりのハチミツじゃい」
「わーい、きたきた、この風味、ハチミツ?じゃない」
「バレたぞ!そら逃げろ」
「ハチミツじゃない、けれども悪くない」
「ちょっと待て、様子がおかしいぞ」
「どころかこの気持ち、なんだろう、どうしたんだろう俺」
「どうやら混乱してるみたいだぞ」
「明らかにハチミツじゃないのに怒れない、なんだこれはなんというものなんだ」
「メープルシロップです」
「メープル?」
「ハチミツみたいなものですけれど」
「メープルか、あのメープルだったのか」
「まあ、有名です、結構有名なものですメープルシロップ」
「そうか、メープル、ぼくは旅に出る」
「旅ですか?」
「ああ、宇宙旅行」
「突然どうしたんですか?」
「ぼくも機械の身体が欲しいんだ」
「機械の身体?」
「永遠の命」
「なんですかクマさん、どうしたんですかいったい?」
「ぼくはクマさんじゃない、鉄郎さ」
「鉄郎?」
「さあメープル、鉄道に乗ろう、最終が行ってしまう」
「鉄道ですか?」
「銀河鉄道999」
「いや、メーテルちゃいますよ、メープル」
「知ってるよ」
「戻ってきた」
「知っててあえてやってたんだよ」
「演技派!」
「どうもクマです」
「わっ!クマじゃないですか」
「クマです」
「死んだふりだ!」
「無駄ですよ、クマには死んだフリが通用しません」
「じゃあ逃げろ!」
「無駄ですよ、クマが本気出せば時速200キロで走れます」
「じゃあ、賄賂だ、賄賂をおくれ!」
「無駄ですよ、クマ界では金など無意味」
「どんぐりだどんぐりでどうだ!」
「どんぐりなんて野蛮なもんうまくもなんともない」
「じゃあはちみつだ、はちみつを振りかけろ!」
「それはして、それは一度やってみたい、ハチミツまみれになりたい俺」
「じゃあ、かけろー!」
「ああ、ハチミツまみれの俺、なんか興奮してきた」
「さあ、早く、え?ハチミツそんなにないの?」
「どうしたの?早くかけてよ」
「探してもないの?かき集めても?そうなの?」
「さあ、遠慮なくどうぞ、俺気短いよ、正直」
「ほらはやく!ハチミツだよ、ないのか?どうしても?そうか」
「ほら、だんだん俺怒ってきたよ、クマ待たすんもたいがいにせえよ」
「なに?メープルシロップならある?よし、ここはメープルシロップでいこう」
「なにごちゃごちゃ言ってんのさ、さあ、俺暴れちゃうよ、暴れて完成間近のジグソーパズルばらばらにしちゃうよ」
「そーれ、これが俺なりのハチミツじゃい」
「わーい、きたきた、この風味、ハチミツ?じゃない」
「バレたぞ!そら逃げろ」
「ハチミツじゃない、けれども悪くない」
「ちょっと待て、様子がおかしいぞ」
「どころかこの気持ち、なんだろう、どうしたんだろう俺」
「どうやら混乱してるみたいだぞ」
「明らかにハチミツじゃないのに怒れない、なんだこれはなんというものなんだ」
「メープルシロップです」
「メープル?」
「ハチミツみたいなものですけれど」
「メープルか、あのメープルだったのか」
「まあ、有名です、結構有名なものですメープルシロップ」
「そうか、メープル、ぼくは旅に出る」
「旅ですか?」
「ああ、宇宙旅行」
「突然どうしたんですか?」
「ぼくも機械の身体が欲しいんだ」
「機械の身体?」
「永遠の命」
「なんですかクマさん、どうしたんですかいったい?」
「ぼくはクマさんじゃない、鉄郎さ」
「鉄郎?」
「さあメープル、鉄道に乗ろう、最終が行ってしまう」
「鉄道ですか?」
「銀河鉄道999」
「いや、メーテルちゃいますよ、メープル」
「知ってるよ」
「戻ってきた」
「知っててあえてやってたんだよ」
「演技派!」
「ペンギンの死がはじまりでした」
「なんの?」
「パレードです」
「へ?」
「エレクトリカルパレードです」
「ディズニー?」
「左様」
「ペンギンの死からはじまったんだ」
「死と同時に電飾が灯り、にぎやかな音楽がなりだし、おとぎの国の住人たちは踊りだしました」
「死を弔うんですか?」
「そうともとれる、がおとぎの国の住人はもっと複雑で」
「はい」
「ペンギンを認めていなかったふしがある」
「ペンギンを?」
「あんな生き物、メルヘンでもなんでもないと」
「結構メルヘンっぽいけど」
「わたしたちはそう思うかもしれないが、おとぎの国の住人たちは違った」
「可愛らしい動きだし」
「それが逆に気に障った可能性もあるな」
「嫉妬?」
「そう、おとぎの国の住人はペンギンに嫉妬していたのだ、可愛らしい奴めと」
「存在するだけで可愛いからね、ペンギンなんざ」
「こっちが愛想ふるまって、踊り狂ってようやく認めてもらえるのにやつらときたら、なにもしなくともちやほやされる」
「それは腹立つでしょうね」
「なんだこの差はこの違いは許せん、となる」
「メルヘン界もたいへんなんでしょうね」
「だから彼らはペンギンが死んだときに喜びのあまり踊り狂う」
「歓喜の雄叫びなんだ」
「思い切り光りをつけて、おとぎの国を巡るんだ」
「なんか、よかったねえ」
「僕たちの世界にもようやく平和がやってきたよ」
「ペンギンもういないもんね」
「3日3晩続けられた」
「すごいテンション」
「皆疲れ果てた」
「そらそうでしょう」
「そこに襲ってきたのがペンギンJr.だ」
「復讐だ」
「たちまち滅ぼされるおとぎの国」
「自業自得ね」
「ペンギンは低く笑う」
「なんの?」
「パレードです」
「へ?」
「エレクトリカルパレードです」
「ディズニー?」
「左様」
「ペンギンの死からはじまったんだ」
「死と同時に電飾が灯り、にぎやかな音楽がなりだし、おとぎの国の住人たちは踊りだしました」
「死を弔うんですか?」
「そうともとれる、がおとぎの国の住人はもっと複雑で」
「はい」
「ペンギンを認めていなかったふしがある」
「ペンギンを?」
「あんな生き物、メルヘンでもなんでもないと」
「結構メルヘンっぽいけど」
「わたしたちはそう思うかもしれないが、おとぎの国の住人たちは違った」
「可愛らしい動きだし」
「それが逆に気に障った可能性もあるな」
「嫉妬?」
「そう、おとぎの国の住人はペンギンに嫉妬していたのだ、可愛らしい奴めと」
「存在するだけで可愛いからね、ペンギンなんざ」
「こっちが愛想ふるまって、踊り狂ってようやく認めてもらえるのにやつらときたら、なにもしなくともちやほやされる」
「それは腹立つでしょうね」
「なんだこの差はこの違いは許せん、となる」
「メルヘン界もたいへんなんでしょうね」
「だから彼らはペンギンが死んだときに喜びのあまり踊り狂う」
「歓喜の雄叫びなんだ」
「思い切り光りをつけて、おとぎの国を巡るんだ」
「なんか、よかったねえ」
「僕たちの世界にもようやく平和がやってきたよ」
「ペンギンもういないもんね」
「3日3晩続けられた」
「すごいテンション」
「皆疲れ果てた」
「そらそうでしょう」
「そこに襲ってきたのがペンギンJr.だ」
「復讐だ」
「たちまち滅ぼされるおとぎの国」
「自業自得ね」
「ペンギンは低く笑う」
夏木ユタカは卵かけご飯が大嫌いであった。食べるのはおろか、もう見るのもイヤ、食べているのを見るのもイヤ、存在していることがイヤ、卵もイヤ、いや、卵はイヤではない、むしろ大好きだ。それを生で飯にぶっかけて食うことがたまらなく嫌なのだ。ここではそれが名物ですからぜひ食べていてください、と卵かけご飯を出してきたからだ。ユタカは焦った。もちろん嫌なのであるが、相手を傷つけてしまうことはあまり望まない。ここで傷つけてしまえば仕事がなくなってしまう。せっかく呼んでもらったディナーショーだ。久しぶりのディナーショーだ。俺を呼んでくれるところがまだあるなんて奇跡だとさえ思える。なんとか、成功を収め、次につなげたい。俺はまだやれる、十分やれるんだ、ということを世間に示したい。ここでうまくやれれば、また次のチャンスをつかむことだってできる。鳴かず飛ばずの俺だけど、ここを乗り越えたなら神様は微笑むのかもしれない。後一歩のところあと一歩。ユタカは自問自答を繰り返し、卵かけご飯を食べることを選択した。なに食わぬ顔で、これを食べきることができたら俺の勝利だ。俺は再び勝利を収めることができるのだ。なんとか、笑って、この卵かけご飯を食べきる。俺は食べきる。とうなづき、箸を手にした。身体の心から震えていた。俺は今、卵が存分にかけられたご飯を食べようとしている。あんなにも嫌だったご飯を、芸のため、生活のために食べようとしている。顔を上げる。満面の笑みをうかべた人々が見守っている。とびきりのごちそうをさあどうぞ、とその目は語っている。ユタカは意識がもうろうとしてきた。卵かけご飯が、豊かに語りかけているような気がした。さあユタカ、食べてごらん、ぼくを食べてごらん、飯の甘みと醤油の風味、卵の濃厚なうまみがひとつになったぼくは卵かけご飯さ。半ば無意識のまま、ユタカは箸で飯を掴む。太陽に手を伸ばすように。歓声が聞こえた。俺は今、永遠を手にしたのだ。永遠。
「2回目は得点の低い順になってました」
「一番低かったのは、ドラドラか」
「やけに低かったですね」
「仕方ないかな、ちょっとこう言う大会に出てくるタイプじゃないしね」
「他で力を発揮できるところがあるという感じですか?」
「まあそうね」
「で、二回目のネタは?」
「見てないね」
「ばっさり」
「なにせ髪が気になるんだよ」
「気にし屋さん」
「次は、一回目は結局7位だったカンボジアチャイチャイね」
「二回目で盛り返しました」
「これはニシキヘビが要因だろうね」
「ニシキヘビ?」
「ネタの最中、舞台上を這い回ってたでしょ?」
「気付きませんでしたけど」
「途中、ニシキヘビが工藤食ってたからね」
「デンジャラス」
「そらうけるわ」
「はい」
「次はふきかふき」
「ふきが復活ふき」
「ふきは弁当だったねふき」
「ふきが入ってますからねふき」
「しっかり味がしみてましたよふき」
「さすが店長特製弁当ふき」
「うまいから食べるのに夢中になってたんだろうねふき」
「だから得点が低いふき?」
「そういうこと」
「やめた!うますぎるのも罪ですね」
「次はええと、又吉綾部か」
「これいい得点でした」
「一角獣か」
「ハンサム男爵と」
「おっぱい成人と」
「増えてる!」
「鼻男爵と」
「まだいる!」
「なけなしの勇気と」
「え?」
「ありふれた愛情」
「コントに対する?」
「愛情」
「一番低かったのは、ドラドラか」
「やけに低かったですね」
「仕方ないかな、ちょっとこう言う大会に出てくるタイプじゃないしね」
「他で力を発揮できるところがあるという感じですか?」
「まあそうね」
「で、二回目のネタは?」
「見てないね」
「ばっさり」
「なにせ髪が気になるんだよ」
「気にし屋さん」
「次は、一回目は結局7位だったカンボジアチャイチャイね」
「二回目で盛り返しました」
「これはニシキヘビが要因だろうね」
「ニシキヘビ?」
「ネタの最中、舞台上を這い回ってたでしょ?」
「気付きませんでしたけど」
「途中、ニシキヘビが工藤食ってたからね」
「デンジャラス」
「そらうけるわ」
「はい」
「次はふきかふき」
「ふきが復活ふき」
「ふきは弁当だったねふき」
「ふきが入ってますからねふき」
「しっかり味がしみてましたよふき」
「さすが店長特製弁当ふき」
「うまいから食べるのに夢中になってたんだろうねふき」
「だから得点が低いふき?」
「そういうこと」
「やめた!うますぎるのも罪ですね」
「次はええと、又吉綾部か」
「これいい得点でした」
「一角獣か」
「ハンサム男爵と」
「おっぱい成人と」
「増えてる!」
「鼻男爵と」
「まだいる!」
「なけなしの勇気と」
「え?」
「ありふれた愛情」
「コントに対する?」
「愛情」
いいですか、このフェスの目的は捨てられた動物、犬や猫をひきとる人を捜すことです。一匹でも多くの犬や猫に幸せに暮らしてほしいという願いが込められています。だからできるだけ、犬や猫を可愛がってくれる人にひきとってもらいたいのです。さあ、では動物たちの気持ちを聞いてみましょう。まずは犬です。この犬は弁当屋の裏口のところに捨てられていました。弁当屋なら食べ物に困らないという前の飼い主の配慮でしょうか、わかりませんが、弁当屋もそんなに甘くないということです。あ、別に園弁当屋が悪いわけじゃないですからその点は誤解なさらぬように。
「犬です。腹へってます。かなり減ってます。減って減って、俺はもう動けなくなってます。誰か食べさせてください。腹一杯食べてみたいです。アンチョビです。大好物はアンチョビです。というかアンチョビしか食べたくないんです。ほら、俺って上流階級の出じゃないですかあ、アンチョビじゃないと食べた気にならないの。あの塩っけがないと食べた気にならないの。アンチョビをください。わかっています、そんなに安くないし、缶詰でたくさん食べるものではないし、栄養面もかなり問題があるってことは。だから俺、アンチョビ以外にも食べるものを言っておこうと思います。アンチョビは好きだけど、それだけで生きているってのはさすがにまずい。だから色々食べることができるんですよ。ひとつは、うなぎの白焼き。蒲焼きはダメです。あんなにたれ漬けちゃあ、せっかくのうなぎの風味がなくなっちまう。風味を楽しむんで、中国産なんてもちろんダメです。二本の四万十産、天然ものじゃないと、俺の口には入らないねえ。もうひとつはあんきも。酢醤油でくいっと食べます。これはあまり食べたことないんで詳しいことは知らないです。まあ、今言いました三つならどんなたくさんでも大歓迎です。さあ、俺腹ぺこです。腹ぺこで死んでしまいそうです。山ほど食べさせてください。それ以外は食いません。それ以外を食うぐらいなら死んでもいいと思ってます、いいんですか?俺が何も食べずに死んでも?いいんですか?いけませんよね?よーく考えてください」
生まれつき捨てられたこの犬は、演じるところがありますのでね、実際はなんでも喜んで食べます。安心してひきとってください。さあ誰かいませんか?引き取り手は。
「犬です。腹へってます。かなり減ってます。減って減って、俺はもう動けなくなってます。誰か食べさせてください。腹一杯食べてみたいです。アンチョビです。大好物はアンチョビです。というかアンチョビしか食べたくないんです。ほら、俺って上流階級の出じゃないですかあ、アンチョビじゃないと食べた気にならないの。あの塩っけがないと食べた気にならないの。アンチョビをください。わかっています、そんなに安くないし、缶詰でたくさん食べるものではないし、栄養面もかなり問題があるってことは。だから俺、アンチョビ以外にも食べるものを言っておこうと思います。アンチョビは好きだけど、それだけで生きているってのはさすがにまずい。だから色々食べることができるんですよ。ひとつは、うなぎの白焼き。蒲焼きはダメです。あんなにたれ漬けちゃあ、せっかくのうなぎの風味がなくなっちまう。風味を楽しむんで、中国産なんてもちろんダメです。二本の四万十産、天然ものじゃないと、俺の口には入らないねえ。もうひとつはあんきも。酢醤油でくいっと食べます。これはあまり食べたことないんで詳しいことは知らないです。まあ、今言いました三つならどんなたくさんでも大歓迎です。さあ、俺腹ぺこです。腹ぺこで死んでしまいそうです。山ほど食べさせてください。それ以外は食いません。それ以外を食うぐらいなら死んでもいいと思ってます、いいんですか?俺が何も食べずに死んでも?いいんですか?いけませんよね?よーく考えてください」
生まれつき捨てられたこの犬は、演じるところがありますのでね、実際はなんでも喜んで食べます。安心してひきとってください。さあ誰かいませんか?引き取り手は。
「次はジャルジャルね」
「びっくりした!」
「どうした?」
「だって急にまんまじゃないですか」
「メリハリよメリハリこれが会話」
「そうか、そういうことか」
「はいここ試験出るからメモしといて」
「はい、で、ジャルジャルはどうなんですか?」
「ジャルジャルはメリハリ」
「メリハリ?」
「それがすべて」
「そうなんですか?」
「メリハリ、はい、じゃあ、一緒に」
「メリハリ」
「もっと大きな声で、はい」
「メリハリ」
「もっと」
「メリハリ」
「はい、いいです、次はドランクドラゴンね」
「あれ、でてましたっけ?敗退したんじゃ」
「ドラドラだよ」
「略した」
「ドラドラドラえもんか」
「ドラえもんではないです」
「子どもだったね」
「そうですね、お年玉ねだる子ども」
「ここは、髪が長いね」
「ここもですか」
「もう長すぎてそれどころじゃない」
「そんなに?」
「あれが俺のくびに巻き付いてくることを考えるといてもたってもいられない」
「貞子みたいな能力があるんですか」
「次ね、次は、えーと、なんちゃらボーイ」
「なんちゃらボーイ?」
「もしくはボーイなんちゃら」
「なんですか?」
「BOØWYだ!」
「そうそう」
「布袋と氷室と田中と山田の」
「4人組ではなかったし、田中と山田って誰ですか」
「BOØWYはカフェのネタだったね」
「はい」
「薬缶カフェね」
「ろくでもないカフェでしたね」
「入って朝まで薬缶に水を注いで過ごす」
「何が楽しいんですかね」
「哲学的だね」
「哲学的」
「それが過ぎたということだろうね」
「敗因は」
「哲学的すぎた」
「そうか、難しいな」
「最後だ」
「まだ前半ですよ」
「最後にでてくるのは、日本語のコンビだね」
「そうです」
「魑魅魍魎か」
「違う気がします」
「百鬼夜行か」
「それも違うような」
「じゃあなに魍魎なの?」
「魍魎じゃないですよ」
「じゃ、なんなの?」
「たしか、痴女」
「まじで?」
「ええ、たしか痴女です」
「ネタはコントシナリオ」
「見事でしたよ」
「途中から服脱いでいくんだよね」
「脱ぎませんよ」
「服脱いで、すぐ着るんでしょ」
「古典的な」
「そういうコンビでしょ」
「痴女がすべてね」
「なんなんですか」
「痴女よ」
「キャー」
「びっくりした!」
「どうした?」
「だって急にまんまじゃないですか」
「メリハリよメリハリこれが会話」
「そうか、そういうことか」
「はいここ試験出るからメモしといて」
「はい、で、ジャルジャルはどうなんですか?」
「ジャルジャルはメリハリ」
「メリハリ?」
「それがすべて」
「そうなんですか?」
「メリハリ、はい、じゃあ、一緒に」
「メリハリ」
「もっと大きな声で、はい」
「メリハリ」
「もっと」
「メリハリ」
「はい、いいです、次はドランクドラゴンね」
「あれ、でてましたっけ?敗退したんじゃ」
「ドラドラだよ」
「略した」
「ドラドラドラえもんか」
「ドラえもんではないです」
「子どもだったね」
「そうですね、お年玉ねだる子ども」
「ここは、髪が長いね」
「ここもですか」
「もう長すぎてそれどころじゃない」
「そんなに?」
「あれが俺のくびに巻き付いてくることを考えるといてもたってもいられない」
「貞子みたいな能力があるんですか」
「次ね、次は、えーと、なんちゃらボーイ」
「なんちゃらボーイ?」
「もしくはボーイなんちゃら」
「なんですか?」
「BOØWYだ!」
「そうそう」
「布袋と氷室と田中と山田の」
「4人組ではなかったし、田中と山田って誰ですか」
「BOØWYはカフェのネタだったね」
「はい」
「薬缶カフェね」
「ろくでもないカフェでしたね」
「入って朝まで薬缶に水を注いで過ごす」
「何が楽しいんですかね」
「哲学的だね」
「哲学的」
「それが過ぎたということだろうね」
「敗因は」
「哲学的すぎた」
「そうか、難しいな」
「最後だ」
「まだ前半ですよ」
「最後にでてくるのは、日本語のコンビだね」
「そうです」
「魑魅魍魎か」
「違う気がします」
「百鬼夜行か」
「それも違うような」
「じゃあなに魍魎なの?」
「魍魎じゃないですよ」
「じゃ、なんなの?」
「たしか、痴女」
「まじで?」
「ええ、たしか痴女です」
「ネタはコントシナリオ」
「見事でしたよ」
「途中から服脱いでいくんだよね」
「脱ぎませんよ」
「服脱いで、すぐ着るんでしょ」
「古典的な」
「そういうコンビでしょ」
「痴女がすべてね」
「なんなんですか」
「痴女よ」
「キャー」
「いやあ、見ましたよキングオブコント」
「どうでしたか?」
「なかなかのもんね」
「誰が?」
「みんなみんななかなかのモンよ」
「じゃあまず一組目から」
「一組目は、カンボジアチャイチャイね」
「そんな名前でしたっけ?」
「葬式のネタしてた」
「そうだそんなネタでしたね」
「カンボジアチャイチャイはくどいね」
「くどいですか?」
「くどい、工藤だけに」
「工藤?」
「カンボジアチャイチャイの、なりかけの工藤」
「なりかけの工藤?」
「そういう芸名」
「そうなんだ、その工藤がくどいんですか」
「それが致命傷になってあの順位」
「優勝できなかったと」
「そういうことね」
「なるほど、くどさは致命傷と」
「次は、なんだ、なんだっけ?」
「確か次は、ふきです」
「ふき?そんな名前だっけ?」
「そうですよ、催眠術師のネタでしょ」
「そうそう、ふき、だったけか。ふきはね、髪が長いね」
「髪が?」
「髪が長過ぎてね、もう、内容に入れないなにせ」
「そんな長かったですかふき?」
「長かったふき」
「それが致命傷ですかふき」
「致命傷ふき」
「語尾にふきつけるとどこかメルヘンですねふき」
「そうでもないふき」
「次行きましょうか、次は誰でしたっけ?ふき」
「次はあれじゃない、若手の綾部又吉ふき」
「違いますよ、又吉綾部ですよふき」
「そうか、反対だったか」
「ふきに飽きた!で?」
「回転寿司だった車エビが故郷に帰るネタは、斬新ではあるけれど」
「はい」
「ちょっと4分間では時間が足りなかったね」
「ああ」
「もっと車エビの心情を掘り下げてほしかった」
「うんうんうん」
「あれじゃ、車エビじゃなく伊勢エビじゃないか」
「僕のおもてたんとちゃう」
「車エビなら車エビらしくふるまわないと」
「はい」
「車エビから抗議くるよあれじゃ」
「そうですか」
「次は、誰だ、あ、あれだあれ、この大会の名前に似てる奴だ」
「はいはい、キングオブ境港か」
「そうそう境港のキングね、あれはね、どんなネタだったっけ?」
「生意気な子どもキャラクターのネタです」
「あんなに生意気なんじゃ、大変だよね」
「なにがですか」
「親御さんも」
「そうですね」
「学校も、塾も」
「そうですね」
「親戚一同も、トモダチも」
「そうですね」
「だから嫌い」
「嫌いですか」
「あんなさなぎじゃ、いい成虫になれない」
「成虫?」
「蝶々の一生の話でしょう?」
「多分違いますよ」
「じゃあなんでなんなに動かないの?」
「結構動いてましたよ」
「じゃあなんで最後に羽を大きく広げたの?」
「成虫になったからです」
「な?」
「あ」
「どうでしたか?」
「なかなかのもんね」
「誰が?」
「みんなみんななかなかのモンよ」
「じゃあまず一組目から」
「一組目は、カンボジアチャイチャイね」
「そんな名前でしたっけ?」
「葬式のネタしてた」
「そうだそんなネタでしたね」
「カンボジアチャイチャイはくどいね」
「くどいですか?」
「くどい、工藤だけに」
「工藤?」
「カンボジアチャイチャイの、なりかけの工藤」
「なりかけの工藤?」
「そういう芸名」
「そうなんだ、その工藤がくどいんですか」
「それが致命傷になってあの順位」
「優勝できなかったと」
「そういうことね」
「なるほど、くどさは致命傷と」
「次は、なんだ、なんだっけ?」
「確か次は、ふきです」
「ふき?そんな名前だっけ?」
「そうですよ、催眠術師のネタでしょ」
「そうそう、ふき、だったけか。ふきはね、髪が長いね」
「髪が?」
「髪が長過ぎてね、もう、内容に入れないなにせ」
「そんな長かったですかふき?」
「長かったふき」
「それが致命傷ですかふき」
「致命傷ふき」
「語尾にふきつけるとどこかメルヘンですねふき」
「そうでもないふき」
「次行きましょうか、次は誰でしたっけ?ふき」
「次はあれじゃない、若手の綾部又吉ふき」
「違いますよ、又吉綾部ですよふき」
「そうか、反対だったか」
「ふきに飽きた!で?」
「回転寿司だった車エビが故郷に帰るネタは、斬新ではあるけれど」
「はい」
「ちょっと4分間では時間が足りなかったね」
「ああ」
「もっと車エビの心情を掘り下げてほしかった」
「うんうんうん」
「あれじゃ、車エビじゃなく伊勢エビじゃないか」
「僕のおもてたんとちゃう」
「車エビなら車エビらしくふるまわないと」
「はい」
「車エビから抗議くるよあれじゃ」
「そうですか」
「次は、誰だ、あ、あれだあれ、この大会の名前に似てる奴だ」
「はいはい、キングオブ境港か」
「そうそう境港のキングね、あれはね、どんなネタだったっけ?」
「生意気な子どもキャラクターのネタです」
「あんなに生意気なんじゃ、大変だよね」
「なにがですか」
「親御さんも」
「そうですね」
「学校も、塾も」
「そうですね」
「親戚一同も、トモダチも」
「そうですね」
「だから嫌い」
「嫌いですか」
「あんなさなぎじゃ、いい成虫になれない」
「成虫?」
「蝶々の一生の話でしょう?」
「多分違いますよ」
「じゃあなんでなんなに動かないの?」
「結構動いてましたよ」
「じゃあなんで最後に羽を大きく広げたの?」
「成虫になったからです」
「な?」
「あ」
祭の佳境に入ったところだった。突然、積乱雲が空を覆い、強い雨が降り出した。非常に強い雨で、みこしをかつぐふんどし姿の男どもだけでなく、大勢の見物人を濡らした。みなが濡れているのならそれでいいか、と思えるほど、完全に濡らした。ものの10分ほどで雨があがったが、まだ雲はもうもうと頭上にあり、不気味な音をたてていた、ところどころ光り、落雷は時間の問題であった。みこしは非常に立派なもので、そのみこしのシンボルとして、天高くまである一本の細い柱がついていた。まつり実行委員の人々は、その柱に雷が落ちないか、気が気でなかった。けが人が出たらどうしよう、そうなったら責任問題だ、やめさせようか、みこし中止させようか、別に少しの間中断するだけだから、荒々しい男どもも別に不満に思わないんじゃ、とこそこそと話し合われた。その間もみこしは商店街をうねりながら進んでいた。かけ声をあげ、雨なのか汗なのか唾液なのかわからない液体を振りまきながら進んだ。促された実行委員長が、まつり男どもに声をかけようとした。男どもは予想通り、俺たちを止めることのできる奴はいねえ、と突っぱねた。まつりハイになっていたのである。男どもはみこしをさらに高く担ぎ上げた。最後の力を振り絞って、わっしょい、わっしょい。雷が落ちたのはその時である。みこしを直撃し、男どもはすごくしびれた。まつりは中断された。後に男どもの代表は語ってくれた。雷もまつりを見に来たんじゃねえのか、だったら歓迎じゃい。
「夏なのに」
「サマーズ」
「いやいや、しかし草食系男子ばっかりだな」
「なんだよ急に」
「そこら中草食系男子ばっかりだ」
「そうでもねえよ、肉食もいるよ」
「いや、もうみんな、よもぎしか食ってないからね」
「よもぎってなんだよ!草食系ってそういう意味じゃねえよ、軟弱だって意味だよ」
「軟弱なの?」
「なんかおどおどしてんだよ、自信がない感じ?」
「よもぎしか食ってねえから?」
「肉も食ってるよ!ちゃんとハンバーグもパンも食ってるよ!」
「そういうのを草食系って言うのね?」
「わかった?ほんとにわかった?」
「いや、わかんねえし、もう知りたくもねえ、知りたくもねえ」
「何があったの?この短い間に何があったの?」
「こないだもね、道歩いてたらね、寄ってくんの、ひょろっひょろのやつが」
「まさに草食系男子だね」
「そんで、俺に、握手?して?ください?て言うのね」
「腹立つ言い方だなそいつ」
「ああ、はい、って手出すじゃん」
「うん」
「そいつ、ものすごい力で握ってくんの」
「なんだよそいつ、何が目的なんだよ?」
「俺、いてえじゃん」
「そらいたい」
「だから、痛いって言ったの」
「そのまんまかよ!」
「そしたらそいつが、痛いでしょう、て」
「何が言いたいの?この件必要あんの?」
「俺が、いてえよ!て叫ぶわな」
「叫ぶね」
「もっとしてあげましょうか?、もっともっともっとしてあげましょうかあ?とか聞いてくんの」
「なんだよそいつ、変なキャラになってるし」
「で、いやいいです、て断ったんだけどそいつがやめなくてさ」
「うん」
「意気投合しちゃって」
「そうなの?」
「そいつが後のオバマ」
「草食男子関係なくなっちゃったよ!」
「サマーズ」
「いやいや、しかし草食系男子ばっかりだな」
「なんだよ急に」
「そこら中草食系男子ばっかりだ」
「そうでもねえよ、肉食もいるよ」
「いや、もうみんな、よもぎしか食ってないからね」
「よもぎってなんだよ!草食系ってそういう意味じゃねえよ、軟弱だって意味だよ」
「軟弱なの?」
「なんかおどおどしてんだよ、自信がない感じ?」
「よもぎしか食ってねえから?」
「肉も食ってるよ!ちゃんとハンバーグもパンも食ってるよ!」
「そういうのを草食系って言うのね?」
「わかった?ほんとにわかった?」
「いや、わかんねえし、もう知りたくもねえ、知りたくもねえ」
「何があったの?この短い間に何があったの?」
「こないだもね、道歩いてたらね、寄ってくんの、ひょろっひょろのやつが」
「まさに草食系男子だね」
「そんで、俺に、握手?して?ください?て言うのね」
「腹立つ言い方だなそいつ」
「ああ、はい、って手出すじゃん」
「うん」
「そいつ、ものすごい力で握ってくんの」
「なんだよそいつ、何が目的なんだよ?」
「俺、いてえじゃん」
「そらいたい」
「だから、痛いって言ったの」
「そのまんまかよ!」
「そしたらそいつが、痛いでしょう、て」
「何が言いたいの?この件必要あんの?」
「俺が、いてえよ!て叫ぶわな」
「叫ぶね」
「もっとしてあげましょうか?、もっともっともっとしてあげましょうかあ?とか聞いてくんの」
「なんだよそいつ、変なキャラになってるし」
「で、いやいいです、て断ったんだけどそいつがやめなくてさ」
「うん」
「意気投合しちゃって」
「そうなの?」
「そいつが後のオバマ」
「草食男子関係なくなっちゃったよ!」
どうもどうも、お待たせしました。どれぐらい待ちましたか、え、3日間、またまた、ご冗談を。あはは。まあ冗談はさておき、早速対談始めましょうか、その前に飲み物いただけますか?はい、なんでもいいです、のどを潤すことができたら何でもいいです。はい、はい、じゃあ、ウォッカで。ありがとうございます。ぐいっと、うわあ、ききますねえ。のど全然潤わねえ。焼ける焼ける。のどがんがん焼けてく。ふらふらです。ウォッカ飲んだせいだな、これはもう対談どころではないぞ、どうしようか、もう、支離滅裂だ、変なこと言い出してしまう。自分の意志とは無関係に卑猥なことも言うかもしれない。それはウォッカのせいだから大目に見てくださいおっぱいおっぱい、ほら!もうでてきた。ウォッカ恐るべし。じゃあ、対談しましょうか、何について対談するんですか、え、BLOGOS?よくわからないんですが、それなんですか。グローブですか、グローブについて語ると、うん、語ってやろうじゃない、語りの達人よ俺、語れないものは何もないが売りよ。よし、じゃあ、グローブね、柔らかいのがいいグローブよね。いいグローブはウールのように柔らかいよね。
「深田です」
「椎名です」
「深田椎名ですけど何か?」
「ああ、涙を流したい」
「なんだよ急に椎名よ」
「俺はね、涙を流したいの」
「なんで?」
「涙を流す男ってカッコいいでしょ」
「そうでもないけど、ギャップは感じるわな」
「流したいよ、なんとか俺は流したいよ」
「わかった流していいよ」
「いいの?」
「まあ、俺は椎名が望むことはできるだけかなえてやりたいから」
「ごめんね、なんか」
「いいよいいよ」
「じゃ流すよ」
「ちょっと待って、椎名さ、なにもなくても流せるの?」
「流せるよ」
「お前、すげーな、俺、お前のことだけは尊敬できる」
「おおおおおおおおお、おおおおおおおお、ふってこーい、ふってこーい」
「ちょ、待って待って、何を降らせようとしてるの?」
「涙でしょ」
「降らすもんなの?」
「降らそうとしないと降るもんも降らないでしょうが!」
「俺、怒られるとは思ってもみなかった、椎名に怒られるとは思っても見なかった」
「おおおおおおおお」
「いや、待って待って」
「なに?」
「それ怖いから待って」
「いま降ってきそうだったのに」
「だからなにか召還されそうじゃない」
「じゃあどうするの?俺泣けないよ、いいの?」
「よくない」
「じゃあどうするの?」
「わかったじゃあ俺が感動する話してみるから」
「それを聞いて俺が泣くわけね、オッケー」
「あれは、俺が小学生の頃でした」
「おおおおおおおお」
「待って、さっきのじゃん、それさっきのじゃん」
「ダメなの?」
「ダメだって言ったじゃん、ちゃんと話最後まで聞いて」
「わかった」
「このスポンジのような吸収力」
「話して」
「俺が小学生の頃ね」
「うん」
「犬を飼ってたのね」
「お、犬、感動しそうじゃない」
「でしょ?でね、その犬がある日必死でどこかに行こうとするのね」
「どこに?」
「まあ聞いてって」
「いつもはおとなしい犬なのに、その日は必死でさ」
「じゃあ高倉健似なのかな」
「高倉健にはにてないわ」
「じゃあ誰似なの?」
「誰似でもいいじゃん」
「イメージできないから教えてよ」
「ええと、しいて言うなら西郷隆盛かな」
「オッケー西郷隆盛ね」
「で、その犬が俺たちをどこかにつれていこうとするのね」
「西郷隆盛が」
「犬ね」
「西郷隆盛の犬が」
「西郷隆盛の犬じゃないわ、それだったら話変わってくるから」
「西郷隆盛の犬じゃない、じゃあ高杉晋作の?」
「でもない、犬が西郷隆盛なの」
「生まれ変わりの?」
「そうかもしれないね、そうかも」
「西郷どーん、死んじゃやだー!」
「なにがはまったのか今ひとつわからないけど結果的に椎名が泣いたんでオッケーだ」
「椎名です」
「深田椎名ですけど何か?」
「ああ、涙を流したい」
「なんだよ急に椎名よ」
「俺はね、涙を流したいの」
「なんで?」
「涙を流す男ってカッコいいでしょ」
「そうでもないけど、ギャップは感じるわな」
「流したいよ、なんとか俺は流したいよ」
「わかった流していいよ」
「いいの?」
「まあ、俺は椎名が望むことはできるだけかなえてやりたいから」
「ごめんね、なんか」
「いいよいいよ」
「じゃ流すよ」
「ちょっと待って、椎名さ、なにもなくても流せるの?」
「流せるよ」
「お前、すげーな、俺、お前のことだけは尊敬できる」
「おおおおおおおおお、おおおおおおおお、ふってこーい、ふってこーい」
「ちょ、待って待って、何を降らせようとしてるの?」
「涙でしょ」
「降らすもんなの?」
「降らそうとしないと降るもんも降らないでしょうが!」
「俺、怒られるとは思ってもみなかった、椎名に怒られるとは思っても見なかった」
「おおおおおおおお」
「いや、待って待って」
「なに?」
「それ怖いから待って」
「いま降ってきそうだったのに」
「だからなにか召還されそうじゃない」
「じゃあどうするの?俺泣けないよ、いいの?」
「よくない」
「じゃあどうするの?」
「わかったじゃあ俺が感動する話してみるから」
「それを聞いて俺が泣くわけね、オッケー」
「あれは、俺が小学生の頃でした」
「おおおおおおおお」
「待って、さっきのじゃん、それさっきのじゃん」
「ダメなの?」
「ダメだって言ったじゃん、ちゃんと話最後まで聞いて」
「わかった」
「このスポンジのような吸収力」
「話して」
「俺が小学生の頃ね」
「うん」
「犬を飼ってたのね」
「お、犬、感動しそうじゃない」
「でしょ?でね、その犬がある日必死でどこかに行こうとするのね」
「どこに?」
「まあ聞いてって」
「いつもはおとなしい犬なのに、その日は必死でさ」
「じゃあ高倉健似なのかな」
「高倉健にはにてないわ」
「じゃあ誰似なの?」
「誰似でもいいじゃん」
「イメージできないから教えてよ」
「ええと、しいて言うなら西郷隆盛かな」
「オッケー西郷隆盛ね」
「で、その犬が俺たちをどこかにつれていこうとするのね」
「西郷隆盛が」
「犬ね」
「西郷隆盛の犬が」
「西郷隆盛の犬じゃないわ、それだったら話変わってくるから」
「西郷隆盛の犬じゃない、じゃあ高杉晋作の?」
「でもない、犬が西郷隆盛なの」
「生まれ変わりの?」
「そうかもしれないね、そうかも」
「西郷どーん、死んじゃやだー!」
「なにがはまったのか今ひとつわからないけど結果的に椎名が泣いたんでオッケーだ」