夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

思い込みが大きな誤解を生む

2012年06月14日 | 暮らし
 これは恥ずかしながら私の体験談である。毎朝のように顔を合わせるマンションの管理人が居る。名前を「夏目」さんと言う。三年以上も、私は夏目さんと世間話をしたり、冗談を言い合ったりする間柄である。
 先日、夏目さんの居る所で、私の仲間の女性が、そう言えば、駅のそばに夏目と言う料理屋があるけど、と言った.私はその料理屋を知らないが、夏目さんは、知っているらしく、違うよ、あれは夏見だよ、と言った。話はそれで終わったが、その後が私の失敗談になる。

 翌日だったか、もう一人その場に居合わせた女性が、あの人夏見さんだったんだね、と言う。えっ? そうじゃないでしょう。料理屋が夏見で、あの人は夏目さんでしょう。あなたもずっと夏目さんと言っていたじゃありませんか。
 でも、あの人がそう言った、と彼女は言う。でも、料理屋の名前を出した女性も夏目さんだと思っているからこそ、この話を出したのだ。
 私は、なるほど、このようにして人は勘違いをするのか、と思った。そして翌日、夏目さんに合った時に、その話をした。それが私にとっては思い掛けない結果だったのだ。

 違うよ。俺が夏見だよ。料理屋の事は知らないよ。
 えっ? だって今までずっと夏目さんって呼べば、返事をしていたじゃないか。
 面倒くさいからね。いちいち訂正するのは。
 だって、自分の名前だよ.そんないい加減な……。
 夏目漱石が居て、その方が有名じゃないか。俺はこだわらない人間なの。

 まあ、人それぞれだから、自分の名前を間違えられて平気な人も居ておかしくはない。そして私は勘違いの原因を考えた。
 「違うよ、あれは夏見だよ」ではなく、「違うよ、おれは夏見だよ」と言ったのを、そばに居て聞いていただけの私が聞き間違いをしたのである。だってそうでしょう。ずっと夏目さんだと思い、夏目さんと呼ぶと返事をするその人の名前が夏見だなんて思える訳が無い。
 これはちょっと特殊なケースだとは思うが、こうした間違いはざらにあるだろう。東京電力と政府筋の「全面撤退」問題にしても、そうした部分が多分にあると思う。
 私の失敗談だが、どう考えても御本人が間違った名前で納得して来たのが大きな原因だと思う。何かの時に、困る事になるだろうなどとは思いもしないらしい。