夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

成田空港での事故でテレビの対応

2009年03月23日 | Weblog
 今朝成田空港で貨物機が着陸に失敗して炎上した。テレビ各局が報道していたが、その報道に大きな食い違いがある。民放各局の映像は火を吹く直前からの物だが、NHKのは違う。私はその時NHKのニュースを見ていた。そこでの定点カメラの映像は最初に滑走路に着いた時からの物で、三度ほどバウンドを繰り返している。その後に大きく左に横転して火が出ている。何度も繰り返して流していて、何度見ても私にはそう見えた。
 だが、民放は炎上直前が着陸だ、と言っているし、その映像しか無い。TBSでみのもんた氏が「もっと左側(進行方向に向かって、画面の左側)の映像は無いの? と聞くと、ええ、これは定点カメラの映像ですからありません、と答えている。
 えっ? それじゃあ、NHKの映像は定点カメラの物じゃないのか? そんな事は無いだろう。どちらもほとんど同じ場所からの視点に見える。
 まあ、その真偽はともかくとして、テレビは本当に限られた情報しか手に入れていないのだ、と分かる。そしてそのわずかばかりの映像を基にして、コメンテーターがそれぞれに勝手な事を言っている。見ているこちらはあーあ、かわいそうにと思ってしまう。
 この時点では、我々視聴者の方がずっと有利な場に置かれている事になる。もっとも、それはNHKも民放もどちらも見ている場合での話になるが。
 ある局のアナウンサーは、飛行機は滑走路を逸脱して、と言っておきながら、滑走路上で炎上している、などと馬鹿な事を言っている。
 別の局の司会者は、今、操縦士のコメントが入っています、などと素っ頓狂な事を口走り、隣の司会者に、元操縦士のコメントです、と訂正されている。誰もが機体が逆さまになって、ほとんど全体が真っ黒に焼け焦げ、わずかに機首の部分のみが残っている姿を見ている。そこから無事生還してコメントを述べる事など想像も付かない。
 事故は現に目の前で起こっている。放送に筋書きなどあるはずも無い。気が動転しているだろう事も想像が付く。だが、司会者はそれが仕事である。咄嗟の事に対応出来なくて、何が司会者か。この女性は、以前、東京の高速道路で空の観光バスが暴走して、壁にぶつかって止まった事故が起きた時、被害者が一人も居なかったのが幸いです、と言い、歩行者にもけが人が居なかった、と言った。
 馬鹿言っちゃ困る。高速道路に歩行者が居るか? その番組では、空からの映像を流していた。それが高架の高速道路である事は誰の目にも明らかである。バスが転落して、地上の歩行者に危険が及ぶ、と言う事故ではなかった。歩行者の全く居ない高架の高速道路で、しかも単独事故。それで歩行者がどうのこうの、と言うその考え方が分からない。
 多分、この時も実況中継で気が動転していたのだろう。それにしても、お粗末な司会者である。

 みなさん、もっと謙虚であるべきだと私は思う。そう言う私だって、限られた映像しか見ていない。だが、その映像は飛行機が降りて来て、地上に着いた瞬間からの物で、それで判断したって間違いとは言えないだろう。
 それに対して、民放各局の映像はそれしか無いのかも知れないが、火を吹く直前からの映像しか無いのである。と言うか、それしか見せてくれないのである。そんなわずかな映像で、よくも色々な事が言えるもんだ、と感心してしまう。我々は勝手な妄言を聞きたいのではない。本当に進入角度はどうだったのかとか、スピードは、とか様々な疑問があるはずだ。そうした疑問を全く無しに、限られた映像だけで想像するその魂胆の何と勇ましい事か。