夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

北朝鮮の人工衛星打ち上げで北朝鮮に付けが回る?

2009年03月14日 | Weblog
 北朝鮮の人工衛星打ち上げの予告が問題になっている。一番の問題が乗せる物を核弾頭にも出来ると言う事だ。次には同国が危険空域としている所だ。そこを飛ぶ航空機に危険が及ぶし、日本だって、途中で何かが落ちて来るかも知れない。北朝鮮の技術に大幅な信頼は置けない。
 こうした事は各紙でも採り上げているだろうが、東京新聞のコラム「筆洗」(今日14日)の結論に疑問がある。
 現在宇宙には直径10センチ以上の物だけでも1万数千個の宇宙ごみがあると言う。運用を停止した人工衛星やロケットの一部、衛星が衝突して飛び散った破片などだ。それが時速3万キロと言う速さで飛んでいると言う。
 後の事を考えずに無闇に人工衛星打ち上げて来た付けだ、と、私は読み損なったが、物理学者の池内了んが書いていると言う。有人宇宙船に衝突する危険が最近あったそうだが、こうしたごみは地球の引力に引かれて落ちて来て、大気圏内で燃え尽きるなどと言う事はないのだろうか。「宇宙清掃公社」の機能を果たす衛星を、との提案もあるそうだから、やはりごみとして障害になるのだろう。
 こうした前提の下に、先のコラムの結論について考える。その結論は次のようになっている。

 折しも、北朝鮮が自称「人工衛星」の打ち上げを予告した。日本列島を飛び越すといい、宇宙ごみを増やす以前に、危険極まりない話だ。周辺国の制止や国連決議を無視して強行すれば、自国につけが回ってくるだけだろう。

 この「自国に回ってくるつけ」がどのような事なのか、私には具体的に分からない。各国が後先構わず打ち上げたその付けが宇宙ごみである事は分かる。その付けは打ち上げた国に限らず、全世界に付けとして回って来る。付けが、打ち上げた衛星にごみが衝突する事なのであれば、これからは衛星の打ち上げも活発になるだろうから、まさに「付け」である。先に打ち上げた国々とこれから打ち上げる国々はほぼ同じだろうから、そう言えるはずだ。
 だが今回の北朝鮮の打ち上げは、そうした世界中への付けにはなるが、北朝鮮への付けとは必ずしもならない。この付けは、「周辺国の制止や国連決議を無視して強行すれば」との前提で成り立っている話である。つまり、単なる打ち上げではない。世界中の反対を押し切って、と言うのだから、その付けは北朝鮮への制裁でしかあり得ないのではないか。
 多分、コラムはそう言いたいのだと思う。付けが回るとは、報いがあるとの意味である。世界を敵に回したのだから、自分が今度は敵になる、それが報いである。各国が勝手に衛星を打ち上げたから、その各国に衛星が徒(あだ)となる、それが報いであり、付けである。自分に回って来なければ、付けとは言えない。
 だから北朝鮮が世界中から敵と見なされる事を具体的に示さないと、この話はおかしくなる。それにはまずは制裁処置があり得ると言う事を明確に言うべきである。北朝鮮への制裁はなぜかいつもトーンダウンしてしまう。最初は景気がいいが、必ず尻つぼみになる。日本は北朝鮮に拉致被害者が居ると言う事情がある。それは韓国にしたって同じなのだが、なぜか韓国は太陽政策などと言うのを掲げて、北と仲良くしようとした。同じ民族なんだから、拉致されてもそれほどの不幸とは思わないのか。だとすれば、ひどく鈍感な国だ。
 小泉は北朝鮮に行って、中途半端なそれこそ後に悔いを残すような取引をして、自分の政権の底入れに使った。なんで日本は腰が引けているんだ。アメリカに気兼ねして、多分、中国にも気を遣っているに違いない。自分の国の事なんだから、正々堂々と主張すべきではないか。
 政権担当者にとっては、拉致被害者は赤の他人なのだ。だから一向に身を入れて考えようとはしないのである。そんな事よりも、自分の身の方が大事なのである。

 今回の打ち上げは、日本にとってはまさに危機である。北朝鮮が危険区域としたのは、日本海と日本からそう遠くはない太平洋上なのである。日本が衛星の打ち上げで、どこどこが危険区域になりますよ、などと言った事があるだろうか。
 衛星の打ち上げについて私は詳しくは知らない。だが、新聞のコラムであれば、こうした数々の疑問が出ないような書き方をすべきである。北朝鮮に回って来る付けが何であるかを明確にすべきだ。
 私の考え過ぎですか?