夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

AIGの大赤字が世界を席巻するのはおかしい

2009年03月03日 | Weblog
 アメリカの大手保険会社AIGが9兆円もの大赤字だと言う。とうてい立ち行かないからアメリカ政府が援助だとか何とか言っている。そうした経済への不安がニューヨーク株式を続落させ、それが東京の株式市場にも影響を与えている。それなのになぜか日本では相変わらずアリコ、アリコと大連呼のテレビコマーシャルが続いている。事業が立ち行かないで、保障が出来るのかとても不思議だ。
 私は以前から保険業務に大きな疑問がある。大きな保障に対して小さな掛け金。掛けている人間は助かるが、保険会社はどうやってやって行けているのか。それは保障を受けなくて済む人間が大勢居るからだろう。互いに助け合うと言う保険の精神が生きていると考えれば合点が行く。
 だが現代の企業が助け合いなどを目的にしているはずが無い。目的は金儲けしか無いはずである。生命保険などではなかなか死にそうもない人間に保険を掛けさせ、掛け金を集めておいて、歳を取れば資格が無くなる。これではやらずぶったくりである。現に私は掛け捨ての生命保険でこうした目に遭っている。特に期間の長い保険では当初の約束事などは忘れている事が多い。うっかりしていた私も悪いが、生命保険の基本とはそうした物だろう。

 ただ、アリコなどは普通なら入れないような人をも保険の対象にしている。そこが多くの保険とは違う。日本とアメリカとでは違うのかも知れないが、そうした点が赤字の原因なのか。あまりにも大き過ぎる赤字だから考えようも無いが。
 良い商品は宣伝などしなくても売れる。宣伝をしなくても売れている商品を我々は幾つも知っている。だからばんばんCMを打っている商品は、よほど売れないのか、もっともっと売りたいか、のどちらかだろう。CM料金の高さを考えればそうなる。
 それとこうした保険では自転車操業の疑いがあると私は勘ぐっている。多くの人々が助かるような保障をしていれば、幾ら掛け金を集めても足りなくなる。そこで、掛け金を払う人を更に集める。そのためには有利に思えるCMをばんばん打つ。だから本体が大赤字でもCMを打つのだろう。いや、打たなければやって行けないのだろう。

 今日はひな祭りだと言うのに、夕刊は「世界株安の不安再燃」などと大見出しを掲げている。そもそもは投資会社の破綻に始まり、そして今度は保険会社の大赤字で経済不安の後押しをしている。保険は言うならば、不安をあおって商売をする。実際に保険のお世話になっている人も居るが、本来は保険が役立っては困るのである。若かった私に生命保険を勧めた勧誘員は「保険は厄除けですから」と言った。
 投資と言い、保険と言い、実質を伴わない金の動きが世界を制している。こんなおかしくて人を馬鹿にした話は無いではないか。保険会社が潰れたらなぜ困るのだろうか。保険を掛けていた人が困る、と言う事にはなりそうも無い。掛け金が将来の年金のようになる積み立てなら別だが、万一の保障のための保険なら、今まで何事も無かった事で十分ではないか。障害保険金とか、入院保険金とか、死亡保険金とか、保険金を貰わなくて済む方が絶対に良いのである。
 アリコのCMで「死亡保障は付けられます?」と年配の女性が聞くのがあるが、そのお歳で何で死亡保障が要るんですか、と聞きたくなる。死亡保障とは一家の大黒柱が万一の時に備えて掛ける保険ではないのか。残された家族が困らないようにと。働いてもいない、家事をやっているのでもなさそうな年配のご婦人が死んだ時に必要なのは、葬祭費用なのではないのか。
 要らぬ憎まれ口を叩いてしまったが、不安と隣り合わせの保険を商売にしている会社を助けなければならないと言う経済の仕組みが私にはまるで分からない。