霧島家日誌

もう何が何だかわからないよろず日誌だ。

AC4世界の歴史6 アナトリア粛清

2011年07月13日 22時45分35秒 | アーマード・コア
ごきげんよう諸君、いかがお過ごしかな。今日は時間がないので、AC4ストーリー解説最後の一回を貼り付けただけで終わりである。



前回のアスピナの考察を経て、ようやくアナトリア粛清に戻ってこれる。まずもう一度、アナトリア粛清が発生した流れを見てみよう。

1:リンクス戦争が終結
2:フィオナ(4主人公のオペレータ)が主人公に休息を求め、エミールが了承する
3:突如としてプロトタイプ・ネクストに乗ったジョシュアがアナトリアを強襲。
4:迎撃が間に合わず、アナトリアは破壊、汚染される
5:迎撃に出た主人公がジョシュアを撃破
6:No06セロが現れ、主人公はこれも撃破する(難易度ハードのみ)
7:二人は汚染されたアナトリアを後にし、アナトリアは滅亡する。

考察開始時に言った通り、誰が何の目的でどうやってアナトリアを滅ぼしたかが今回解き明かしたいところである。この内、動機については資料集にて明言されているし、作中でも示唆されているし、よしんばヒントとかがなかったとしても考えてみればすぐに判る。まぁ考えてみれば判るからと言ってAC4ストーリーモードは全く擁護できないが、それは置いといて。

「かろうじて生き残った企業は、ライフラインと秩序の回復に尽力しながら、コントロール下にないアナトリアの傭兵に恐怖し、今度はそれを排除しようとしたのだ」(61p)

まぁ、何だ。エミールの頭が悪すぎたのである。アナトリアの傭兵は非オーメル陣営の依頼も受けた事のある、金さえ用意すれば誰の味方でもする傭兵。しかもその傭兵が、単独で最精鋭ネクスト部隊から巨大兵器、六大企業まで撃破できる。そうなれば、オーメル陣営にとって当面の敵であるレイレナード陣営が潰れたら、その時一番怖いのはアナトリアの傭兵ってぐらい簡単に理解できる事である。

アナトリアはオーメル陣営に貢献したし、アクアビットの報復攻撃を受けるなど明らかにオーメル陣営として扱われていた。しかし、オーメル陣営に忠誠を誓った家臣ではなかった。むしろ、さっきも言ったとおり非オーメル陣営の依頼を受けたりする信用ならない存在だったのだ。極端な話、そこらの武装勢力が金を用意して「○○社のコロニーを襲って壊滅させてくれ」って言ったら本当にやりかねないのである。

故に、レイレナード陣営壊滅後、不要どころか危険分子となったアナトリアの粛清は当然の流れであった。故に「生き残り企業の総意」という発想も出てくるのである。この場合、まぁ何処か主導した企業があったのかもしれんが、全ての企業がアナトリアを危険分子と考えていた訳である。だから排除しましょうそうしましょうという至極判りやすい流れな訳である。よって、考えるべきは何故オーメルが実行したかのみである。

又、アナトリア粛清についてはもう一つ仮説がある。「オーメルの策謀」だ。何故オーメルの策謀という可能性があるかと言えば、勿論、粛清を実行したのがオーメルだから(アスピナもだがこの当時既にオーメルの手先)だが、私はそれを戦力評価という形で説明したい。どちらにしても、↑で言った何故オーメルが実行したか、についても戦力評価で説明するので、取り敢えず、リンクス戦争終戦時の各企業の戦力評価から。


ローゼンタール=オーメル所属リンクス
生存確実
・No06:セロ
・非オリ:ジョシュア・オブライエン
生死不明
・No13:パルメット
ハード準拠戦死済
・No04:レオハルト
・非オリ:ミド・アウリエル
※レオハルトはfAでアーキテクトとして名が残る
※生死不明は「戦力として残ってるか不明」なのでミヒャエルは除外


GAグループ所属リンクス
生存確実
・非オリ:ローディー
・非オリ:エンリケ・エルカーノ
生死不明
・No24:ワカ
ハード準拠戦死済
・No10:メノ・ルー


イクバールグループ所属リンクス
生存確実
・No17:K.K
生死不明
・No26:ナジェーダ・ドロワ
・非オリ:シブ・アニル・アンバニ
ハード準拠戦死済
・No02:サーダナ
・No25:ボリスビッチ
※fAにてサーダナは既に死んでいる事が示唆されている


インテリオルグループ所属リンクス
生存確実
・No16:霞スミカ
・No18:スティレット
・非オリ:エイ=プール
・非オリ:ヤン
生死不明
・非オリ:セーラ・アンジェリック・スメラギ
ハード準拠戦死済
・No09:サー・マウロスク
・No14:シェリング


基本的には、生存確実と生死不明を戦力として数える事にする。まずは、「企業の総意」で粛清が行われた場合、何故実行部隊がオーメルだったのかについて考えてみたい。取り敢えずざっと見渡してみると、インテリオルが圧倒的な戦力を持っており、早期に戦争から離脱したのがいかに賢かったかというのがよく判る状況である。故におめーがやれよとも思える状況である。

とは言え、インテリオルが元はと言えばレイレナード陣営というのは変わる訳ではない。故に上三企業の輪に入っていくのは難しく、又、この場合入っていく必要もない。何故なら、アナトリアの傭兵は現行最強クラスのネクストであり実行を担当する企業は貧乏籤でもあるのである。又、一見しただけだと確かにインテリオルは圧倒的な戦力を持っているが、よく見ると問題がある。

と言うのもこの時点でのインテリオルは、一企業としてはネクストの数が豊富というだけなのだ。相手は、難易度ハードであればNo01を含むレイレナード陣営最精鋭ネクスト部隊を一人で撃破した化物であり、インテリオルの最上位ナンバーオリジナルの霞スミカですら、例の最精鋭ネクスト部隊で下から二番目のナンバーだったアンシール(No15)より低ランクなのだ。

故に、数で押せば押しつぶせるかもしれないがそれ以上にインテリオルが受ける被害は半端ではないであろう事ぐらい容易に想像がつく。そしてこのアナトリア粛清は、あくまでオーメル陣営内部のものであり内部粛清とみる事もできる。

一応、GAE粛清以来アナトリアはずっとオーメル陣営一本で来てた訳だからな。だから、「あ、うちんとこは部外者なんで、まぁ中立って事で」と逃げておく事が可能なのである。それでアナトリアの傭兵とオーメル陣営の精鋭ネクストが潰しあってくれればインテリオルにとりこれほど嬉しい事はない。よって、企業の総意で粛清が行われたとして、インテリオルが粛清を実行しないのは不自然ではないと言うか、実行したら逆に不自然と言えるのである。

となると、オーメル陣営から戦力を出してアナトリア粛清を行う事になる。そのオーメル陣営を眺める前に、インテリオルについて語った時、アナトリア粛清を実行する事のデメリットを語った。では、アナトリア粛清の実行者になる事によるメリットはあるのだろうか? 結論からいうと、ある。それは、オーメル陣営勝利の原動力になったアナトリアの傭兵をも倒す実力が我が企業にはあるんだぞ、と強さをアッピルする事により、リンクス戦争後の企業間の政治的主導権を握りやすくなる、というものである。

勿論、アナトリアの傭兵を倒すまでにこちらの戦力もズタボロにされてしまったら共倒れという事になってしまい、何の意味もない。故に、実行役は美味しい役目であると同時に貧乏籤でもある訳であり、だからこそ共倒れになる可能性の高いインテリオルは実行役になるメリットが無いのだ。まぁそれはともかくとして、リンクス戦争はアナトリアの傭兵とジョシュアによって勝てたと言っていい戦争だ。その内の片方はオーメルの掌中にあり、もう片方を誰が倒すかによって戦後国際(?)政治の流れは大きく変わるのである。

さて、ではここでざっとオーメル陣営のリンクス戦争直後の戦力を見てみよう。取り敢えず酷い事になってるイクバール、オーメル陣営では一番戦力を残したローゼンタール=オーメル、ローディーが覚醒済でもローゼンタール=オーメルには見劣りするGA、という図式が見えてくる。

まぁイクバールは問題外として、問題はGAとローゼンタール=オーメルである。と言うかローディーだ。彼は4の設定でこそ粗製リンクズ扱いされていたが、フロムお得意の適当難易度調整によりCPU機体としては異様に強かった為ファンの間で「先生」と祭り上げられ、気を良くしたフロムが続編のfAで「かつて粗製と称された男は、低いAMS適性を経験で補い今やGA最高クラスのネクスト戦力となった」とかやってNo4にまで上り詰めるのである。

しかし問題は、ローディーがいつNo4相当の実力を手に入れたかである。リンクス戦争中にそこまでになった可能性も勿論あるが、同時に、終戦後、ゆっくりとランクを上げていった可能性もある。これについては資料が無い為完全に謎であり、両方の可能性を考えながら考察を続ける必要がある。

ローディーが粗製のままであったら、話は簡単である。GAは粗製三人衆生き残り二人と、No24。イクバールはNo17、No26、実力不明非オリジナルの三人。一方、ローゼンタール=オーメルはNo06のセロにジョシュア、更にNo13。そして良く見るとこの三人全員がオーメル所属である。どの企業が実行役をやるべきかは一目瞭然だ。と言うか、やれる企業がオーメルしかない

そしてこれは、仮にローディーが覚醒していたとしても変わらない。オーメルが単独でアナトリア粛清を実行できるというのは、アナトリアの傭兵と同等かそれ以上のリンクスを擁している(ジョシュア)からであり、それに加えて最上位クラスのオリジナル(セロ)で駄目押しができるからである。更に言えば、レイレナードから接収したプロトタイプ・ネクストにジョシュアを乗せる事で、ジョシュアは片道出撃になるが確実な勝利を期待できるのだ。

一方GAは、ローディーが覚醒していたとしてもそのローディーがfAでNo1に設定されてるとかそういう訳ではない。ただの最高クラスのネクストというだけでは、アナトリアの傭兵の対抗馬としては弱いのだ。何せ、相手はNo01を含むレイレナード最精鋭ネクスト部隊を撃滅しているのである。よしんば、覚醒ローディーがアナトリアの傭兵やジョシュアと同レベルだったとして、駄目押しの後詰に出せるネクストがいない。粗製三人衆筆頭やNo24ではいかにも頼りないのだ。

故に、「企業の総意」によってアナトリア粛清が行われる場合、オーメルが実行役となったのは自然な流れであったろうし、これを見事全うする事でリンクス戦争後の国際政治の舞台で優位に立とうと、むしろ積極的に引き受けたと考えるべきだ。オーメルが、本当は引き受けたくなかった(戦力すり減らす事になるし)が無理矢理引き受けさせられた、という事はあるまい。何故なら、オーメルだけが、唯一確実な勝利を期待できる企業だったのだ。当然ながら当時オーメル陣営で一番戦力の充実した企業こそがオーメルだった訳である。

アナトリア粛清実行役の担当を嫌がるオーメルに無理矢理やらせるとしたら、オーメル以上の武力で押さえつける必要がある。そんな企業は存在しないという事である。ならばオーメルが自主的に引き受けたと考えるべきであり、先程言ったメリット、戦争後の政治的主導権を握れる事を視野に入れていたと考えるのが自然だ。

尚、ここまで読んできた読者は、こう考える事もあろう。「オーメルがアナトリアの傭兵に勝てる算段を立てたなら、他の企業も勝ち馬乗りを狙ってネクストの一機ぐらい派遣してくるのでは」と。オーメルが勝ちを確信してアナトリア粛清に名乗りをあげ、そのまま成功した場合、当然オーメルは戦後政治の主導権を握る訳である。GAもイクバールもはたまたインテリオルも、自分らでやろうとするとリスクがリターンに見合わないが、オーメルが成功を確約してくれるなら勝ち馬に乗りたいのが正直なところだろう。

では何故、オーメル以外の部隊がアナトリアに攻めてこなかったのか。まぁこれも簡単な話で、そんな虫のいい話をオーメルが許さなかったというところだろう。先程確認した通り、インテリオルを除けば、オーメルはこの時点で一番強い企業だ。故にオーメル陣営の他の企業に有無を言わさぬ事は可能であるし、インテリオルはなんだかんだで部外者だから、自分の意思を強引に通したかったらオーメル陣営全てを相手取る覚悟が必要だからな。


「企業の総意」によってアナトリア粛清が行われた場合の考察はこんなところだろう。一方、「オーメルの策謀」はどう解釈すべきか考えてみよう。まず第一に考えるべきは、当時の企業の力関係である。結論から言えば、リンクス戦争終戦当時は、オーメルが天下を取ったといってもあながち誇張ではない状況であった。

まず、リンクス戦争を生き残った勢力を大きく二つに分けると、オーメル陣営とインテリオルに分かれる。さっき言った通り、インテリオルは曲がりなりにも元レイレナード陣営であり、リンクス戦争には中立だったので参戦していない。故にリンクス戦争終戦直後のこの時期、独特な存在だった考えるべきだろう。戦力も充実している。

では、オーメル陣営とインテリオルはどちらが強いか。一概には言えないが、インテリオルが勝つとは思えない。先程も言った通り、この時点でのインテリオルは、一企業としてはネクストの数が豊富というだけであり、例えばオーメルとガチンコでやりあうとすると相手は規格外の戦闘力を持つジョシュアとNo一桁最後の生き残りセロ、更にはインテリオル最強の霞スミカ以上のナンバーを持つパルメット。オーメルの数的不利は明らかだが、どう転ぶか判らない勝負ではある。

オーメル単独とのガチンコでこれだから、とてもではないがインテリオルがオーメル陣営全体に対して優勢だったとは言えないのである。では、オーメル陣営内ではどうか。これも先程分析した時出てきた結論、アナトリア粛清を実行できる戦力があるのはオーメルだけという一点だけを見ても、オーメル陣営内でオーメルが最も戦力を充実させているという事がわかる。

勿論、オーメルは基本的に小さい企業である。いやデカいけど、GAとかに比べれば小さい。故に通常戦力の数や兵站、軍需生産工場の数などでは当然劣る。しかしながらそういう時の為のローゼンタールである。資料集にはfA時代のオーメルグループ(オーメル、ローゼンタール、旧イクバール現アルゼブラが所属)の軍事についてのインタビューが載っているが、そこにはこんなんがある。

――スタイルというと? オーメルグループの軍を考えると、まずローゼンタールのノーマルとアルゼブラのアームズフォートのイメージがあり、オーメル自体の戦力はネクスト以外ぱっと思い浮かびません。
ネイサン:適材適所ですよ。GAと違い、我々の本分はテクノロジーです。グループとしてのバランスが取れていれば、オーメルが最強の軍を持つ必要はないでしょう?


これはfAの時のオーメルグループなので完全にあてはまる訳ではないとは思うが、同時に、リンクス戦争後グループのトップに立ったオーメルが急激に小さくなるというのは考えにくいので、当時からこういう関係だったと考えられる。私がこの二社をしてローゼンタール=オーメルと呼ぶ所以である。

まぁ、通常戦力とかに関してはリンクス戦争でボロボロになっていた様ではあるがな。ただ、これは恐らくどの企業も同じだろう。元々オーメル陣営は生活圏とか中枢機構をボコボコにやられたのであり、それでも何とか生き残ったという状態なのである。

エミールもChapter6の回想で「最悪の戦争は終わり、汚染された世界が残った。企業は、崩壊した秩序の回復に追われ、戦争をする余裕など、ないように思えた」と述べておる。こうなると、デカい企業ほどダメージは大きい。しかしそう考えると、ローゼンタールに通常戦力とかを任せている分オーメルの被害はまだ軽微だったと考える事もできるのであり、オーメル有利の傍証となる。

そして傍証ならまだある。それは例えばコジマ技術だ。戦前はコジマ技術の基幹技術をアクアビット、レイレナード、オーメルが独占していたという話をしたと思うが、前者二社が滅んでオーメルが残った、つまりオーメルがコジマ基幹技術を独占という形になったのである。しかもオーメルは、第二次世界大戦後アメリカがドイツの科学者を吸収したのと同様、崩壊したレイレナードの技術者を積極的に取り入れている。当然、技術力にも磨きがかかっておる。

更に、オーメルもうひとつの得意分野、金融分野もオーメルの独壇場となった。ローゼンタールをオーメルが金で操っているところから判るとおり、オーメルは金融に強い。元々BFFとローゼンタール=オーメルの対立には民族主義的なものに加え、オーメルと同様に金融に強いBFFの間にあった利害の対立もあったのである。しかし、BFFが崩壊した今、金融市場におけるオーメルの勢力拡大を止め得る者はいないのだ。

斯様に、当時のオーメルはまさに無敵であった。それを踏まえた上で、アナトリアが各企業の目にどう映っていたか、考えてみよう。リンクス戦争後、オーメルとの同盟を継続してオーメルグループの一員となったイクバールは置いておくとして、ローゼンタール=オーメル、GA、インテリオルはいずれも自分が一番になりたいと考えているのは疑う余地がない。そこまででなくとも、他の企業の後塵を拝したり、支配されたりするのはたまらない筈である。

しかしながらリンクス戦争終戦直後のこの時期、各企業はオーメルに頭が上がらない状態だったのは間違いない。そんなGAやインテリオルの目に、アナトリアの傭兵はどう映ったか。かつてのオーメル陣営の切り札にして、金さえ積めば誰の味方でもする傭兵である彼は巻き返しの切り札として映るという可能性もある訳である。これを皆が皆危険因子とみなして排除しようとした場合が「企業の総意」だな。

では逆にオーメルにしてみればアナトリアの傭兵は何か。それは当然、唯一世界で意のままにならない存在である。アスピナは既にオーメルの掌中にあり、GAやインテリオルは力と外交で押さえつける事が可能だ。しかしながら、レイレナード陣営を壊滅させうる力を持ったアナトリアの傭兵だけがオーメルから自由であり、それだけにオーメルに牙を剥く可能性を持っていたのである。

リンクス戦争で天下を取ったオーメルだが、その天下は割と薄氷のものである。時間が経てば他企業も戦力を回復させるのは必定。アクアビットの技術陣はインテリオル系に流れたし、レイレナードの技術者の全てをオーメルが吸収できた訳でもない。結果、様々な企業にコジマ基幹技術が流出した事になり、時間が経てば流出技術の解析が終わったりトーラスが出来たりして今まで通り技術独占とはいかなくなるのは間違いない。

それに金融にしたって、BFFは中央集権だったから蛇の頭を潰されたのであって、身体は残っている。いつか蘇ってくるのは確実だ。実際、戦後GAはBFF残党を支援し、BFFを復興させている。そしてBFFは管理経済戦争での恨みがある以上、復興後はこれまで以上に激しくオーメルと敵対するだろう。

又、現在インテリオルを押さえつけられる要因になっているオーメル陣営という同盟関係も、レイレナード陣営という敵がいなくなった以上遠からず霧消する筈である。こう考えると、オーメルにはあまり時間がない。ただ、一時的にせよオーメルが天下を取ったこの時期は、オーメルが雄飛する為の貴重な機会である。故に、アナトリアの傭兵に邪魔される訳にはいかないのだ。

まぁ、「オーメルの策謀」の場合のアナトリア粛清というのはこんなところだろう。又、「一部の企業は粛清に賛成で一部の企業は反対」という折衷型であった可能性もある。それでもま、大体今まで述べてきた感じであろうと考えている。そして、fAの時代に繋がっていくのだ。


レイレナード残党は地下に潜り、ORCA旅団としてかつての理想の実現を目指す。

アクアビットとGAEの残党は合流してインテリオルに保護され、トーラスを設立。

インテリオルはトーラスによってコジマ技術力を高め、単独でグループを構成。

BFFはGAの支援で復興。GAはBFFを配下につけ、世界最大のGAグループを作る。

オーメルはネクスト戦力を失ったものの政治力を発揮、企業間政治の主導権を握る。

イクバールはアルゼブラと名を変え、オーメルとの同盟を継続。

アナトリアの傭兵は第二の故郷を去り、非企業勢力の聖地ラインアークの英雄になる。


そして全てはforAnswerへと繋がるのである。


最後に、ツイッターでの私のツイートを廃品利用しよう。DQNは言う事が結構ころころ変わったのだが(まぁ変わるからこそDQNなんだが)、私がここまで色々と記事を書く発端になった発言だけは私が引用しており、残っておった。

オーメルはアナトリアと友好がないので攻撃しても自然ですが、GAは散々役立てて手の平返しましたからね。少なくとも勝戦陣営のトップとして止め得る立場だったのにアナトリアの攻撃に異は唱えなかった。でfAではBRFと建前の良い優良企業アピール。うさんくさいなと。

突っ込みどころ満載である。例えばGAはオーメル陣営(GA陣営)のトップかと言えば、オーメル陣営で一番デカい企業ってだけでそこまで重要な存在ではなかった、というのは既に述べた通りである。大体、GA陣営なんて言葉は4作中には出てこない。設定資料集とかに出てくる言葉である。作中では全部「オーメル陣営」だ。

あと、「オーメルはアナトリアとの友好がない」というのも酷いな。既に見てきた通り、リンクス戦争でアナトリアの傭兵が救ったのはGAという企業ではなくオーメル陣営全体であり、GAもオーメルもはたまたイクバールも、等しく彼に救われたのだ。だから、アナトリア粛清で裏切ったと言うならGAもオーメルもイクバールも裏切ったのであり、同様に糾弾されねばならん。

GAは基本的に、最初アナトリアを支援して傭兵業を開業できる様にしたというのと、お得意様(下請けと元請けの関係)というだけである。それを言うならローゼンタール=オーメルだって、傭兵業開始当初からネクスト戦のシミュレーションデータの収集をアナトリアに依頼していたり(シミュレータ)、BFF攻撃ではアナトリアの傭兵を存分に使ったりと関係は深い。

まぁそれは置いておこう。かのDQNが出してきた意見について、私が論点をまとめたものが残っており、彼は特に「そんな事は言ってない」とか言わなかったので概ね正しくまとめられていたのだと思う。ので、まずそれを紹介しよう。

まず彼が言うには「GAはアナトリアの傭兵から大きな貢献を受けた上でアナトリアの攻撃を看過しました」。何故看過したと言えるかと言うと「GAにはやめようと言うことも出来たのです。身体を張って止めることと諫言するのでは意味も背景も異なります」(身体を張ってまでアナトリア粛清を止めずとも、諫言すれば良い)。にも関わらずアナトリア粛清に文句も言わなかった。ならば「理由に関係なくGAは理論上アナトリア攻撃を支援したサイドになります」こんなところである。

では私の反論。まず、当時オーメルが事実上天下を取っていた事を思い出す必要がある。以前説明した通り、リンクス戦争が終わった頃のオーメルは、トーラス勃興と新しい世代のリンクスが育つまでの僅かな期間とは言え敵なしの最強勢力だった。既にコジマ技術独占企業となっており、各社の戦力がズタボロな中切り札セロとジョシュア・オブライエンを抱えていたのだからな。

次に、「身体を張って止めることと諫言するのでは意味も背景も異なります」を見てみよう。諫言って元々、それで気分を害した主君に遠ざけられたり、酷いと手討ちにされたりするのを覚悟しながらやるもんなんですが、それは置いておいて。

これは、強いて言うなら平和な国の理屈だ。GAは時代遅れの巨人で且つリンクス戦争でズタボロになったとは言えいまだ五大企業の一員。仮にアナトリア粛清がオーメル主導だったとして、粛清しようとしているオーメルにGAが「それはいかん」と言ったらどうなる? 「ちょっと痛い目見てみるか?」とオーメルに言われる可能性は考えられないだろうか?

ましてや「企業の総意」だった場合、生き残り企業の総意としてアナトリアを排除しようとする他四大企業の目の前で、かつての六大企業筆頭が「それはやめるべきだ」とか言ったらどうなるだろうか。名誉毀損とかでない限り何を言っても逮捕されない現代日本とは根本的に違うのである。

それともこのDQNは、GAが「俺はやめた方がいいって言ったからね」ってんで出した反対意見をすぐ引っ込めて、後は知らん振りを決め込むだけで満足なのだろうか。そうではあるまい。ならば、この状況において「諫言する」というのは「身体を張って止める」のとイコールではなくともニアリーイコールである。

実際のところ、この時GAがアナトリア粛清に賛成に回ったか反対に回ったか、それは不明である。何故ならその辺の事が一切発表されていないからだ。ただ確かな事は、GAの意思がどうであれ、GAが反対に回る事は不可能だったという事である。

この時のGAとオーメルのパワーバランス(オーメルが粛清発案ではなくとも実行部隊はオーメル、そして当時のオーメルに無理矢理いう事を聞かせられる企業はないのでオーメルは最低限賛同者と見られる)考えれば、もし万が一GAが身体を張ってオーメルを止めようとしたらどうなるか、判るでだろう。本社や生活圏を残らず破壊される事はなくとも、多くの社員、コロニーの住人が路頭に迷い、死ぬだろう。

それでも止めろとは、私には言えん。GAが出来る事と言えば、実行部隊は出さないとかその程度の消極的な非協力ぐらいだ。それもしないだろうけどな、オーメルを刺激する。実行部隊がオーメルだけだったのは、むしろ前述の通りの政治的配慮からだろう。

無論、オーメルとて自分が無敵なのは短い一定期間のみでやがて他の企業が復活してくるだろう事ぐらい判っているだろう。だから迂闊に無茶な事はしないだろうが、前述の通り、オーメルが雄飛するチャンスでもあるのがこの時期だ。だから、逆に言えば、他の企業も藪を突付いて蛇を出す訳にもいかないのです。何か変な事をしてオーメルを刺激するのは、GAとしては避けたい筈です。

無論これらは全てGAが反対したかったと仮定した話で、最初から賛成だったという話かもしれない。しかしながら、それについては謎としか言えないのである。最後に、「理由に関係なくGAは理論上アナトリア攻撃を支援したサイドになります。だから不信なのです」と述べているが、私には理解できない考え方である。

確かにGAは、最初からアナトリア粛清に賛成でも、心の底で反対と思いながら賛成に回らざるを得なかったとしても、攻撃したサイドだ。しかしながら、アナトリアは、自らが傭兵業をやって生き残る為に、マグリブの希望を潰し、各地の反体制テロリストを潰し、GAEを潰し、BFFを潰し、レイレナードを潰したのである。そして、GAも又、生き残ろうとしているのだ。よっぽど明確であくどい証拠が出てこない限り、この件に関してGAを責めるつもりも、賞賛するつもりも無い。

やはりむしろ、エミールの頭が悪すぎるのが問題だったのではないかと思う。アナトリアの傭兵はあくまで傭兵であって作戦の最終的な責任は企業にあるとは言え、アナトリアは余りにアレな作戦にばかり関わってしまっている。GAの内部粛清を引き受け、BFF本社を破壊し…自業自得と言うかエミール業アナトリア得である。もうちょっとまともな奴がアナトリアの指導者なら、話はまた変わったかもしれん。


以上で、AC4ストーリー解説は終わりである。読者諸兄、お疲れ様でした。




その1:国家解体戦争とネクスト
その2:六大企業とアナトリア
その3:管理経済戦争
その4:リンクス戦争
その5:アスピナの興亡
その6:アナトリア粛清