霧島家日誌

もう何が何だかわからないよろず日誌だ。

模型製作の手引き01 素組みに必要な工具とキットの選定

2014年11月23日 08時57分03秒 | 模型
ごきげんよう諸君、いかがお過ごしかな。ニコニコのブログで書いてたオラザク製作記の連載がいつもどおり富樫状態になっておった霧島である。まぁ寛大な心で許してほしい。

というのは、製作中、事情があって京都に帰省しなければならなくなってな…それも一ヵ月半の長期間。いくら何でも、作ってる途中のザクを新幹線で持っていく訳にもいかんかったから、作れなかったのだ。

で、一ヵ月半も触ってないと作る気力がどこかへ行ってしまうという訳で…最近は製作依頼されてたプラモを作ってたりしてた。〆鯖鯖男という人に「素組みでイイから」と頼まれてた奴が結構あったのだ。


さて、ニコニコのブログでやっておった、ザクを使っての「初めてのガンプラ改造」だが、流石に無茶振りが過ぎた。いきなり全面改造+全塗装は、解説記事として作るにはハードルが高すぎる。とは言え、最近プラモ製作が趣味として復活したのは事実だし、えりち似のクッソ可愛い部長に萌えるアニメビルドファイターズトライがちょうどよく始まってるし、やはりプラモ作りネタをやりたい。

そこで、オーソドックスに段階を踏む形にしようと思う。読者諸君を、最初はガンプラの素組みから始まって、最終的には艦船模型や全面改造ガンプラも作れる立派なモデラーへ華麗にステッポアップさせる、そんな模型製作手引きを連載するのである。

まぁぶっちゃけ、私も初心者の枠を脱せられるかどうか微妙なラインであり、どちらかと言うとそれ故の備忘録的な記事になるのだが、そこはご愛嬌という事で。


ま、そんな訳で、まずは素組み&簡単フィニッシュ製作法からいこうと思う。まぁ簡単フィニッシュと言っても、かつてホビージャパンで紹介され一般に普及したものとは違い、私のオリジナル的な部分がかなり入っておるがな。


で。実際にやり方を紹介する前に、工具を揃えねばならない。というのはだな、プラモの箱をあけると、各パーツがランナーに繋がれておるのだ。



プラモというのは、このランナーからパーツを切り出し、そのパーツを組み合わせて作るのだ。この作業をすっ飛ばすのは不可能、というか、それは塗装済み完成品フィギュアという物体である。であれば、ハサミ的な何かであるとか、カッター的な何かであるとか、そういう工具が必要になってくる訳だ。



●最低限必要なモノ
※全て画像クリックで商品ページに飛ぶ。アフィ厨と言われようが、ワンボタンで画像と商品紹介ページへのリンクを作ってくれるamazonのこれは便利なのだ。よって許してほしい。





プラスチックを切るのに使う、ニッパーである。ガンプラの取扱説明書にも、パーツの切り離しにはニッパーを使ってくださいと書いてある。切り離すだけならわざわざこんなもん買わんでも、最悪手でねじりきったりすればいいと思うかもしれんが、まぁ、その、やめとけ

模型製作という趣味は、高い専用品を使わず安い代替品でなんとか安くあげていくのが基本だが、こと刃物(と塗料)に関してはその限りではない。ちゃんとした刃物を使うかどうかは作業効率に直結する。よって、ちゃんとしたニッパーを買うことをお勧めする。

ここに挙げたのはタミヤの薄刃ニッパーで、おそらくもっとも一般的なプラモデル用ニッパーである。とりあえずこれか、姉妹品の精密ニッパーを買っておけばまず問題はないだろう。

ニッパーについて考えておかねばならないのは、包丁と違って砥げないということである。構造的にはハサミと似たようなもんだからな。ゆえに、切れ味は落ちいてく一方であり、買った時の切れ味は二度と戻ってこない

よって、使い分けなどを考えるべきである。私はプラモ製作用にみっつ持っており、それぞれ精密作業用(買ったばかりの切れ味抜群のもの)、普段使い用(買ってからしばらく使い倒したもの)、太いプラを切断したり細い真鍮線を切断したりする奴(なまくら)、と使い分けている。

私の模型製作の師匠であるコラセ氏にいたっては、こういった使い分けの他、切る場所の使い分けもしている。出来るだけ同じ場所で切らない――即ち、先っぽの刃で切ったら次は根元で切る、といった具合に使っているそうだ。こうすることで負荷が分散し、切れ味の劣化が遅くなるのである。

まぁ、最初は薄刃ニッパーひとつで十分であろう。切れ味が悪くなってきたらふたつめを購入し、使い分けを始めればよい。ある程度消耗品だと割り切ることも重要だがな。





デザインナイフ…要するに切れ味のよいカッターである。色んなメーカーから色んなタイプが出ておるが、上に挙げたタミヤのモデラーズナイフがオーソドックスであろう。どれにしても、刃を簡単に交換可能で、その刃が薄くよく切れる、というのが共通した特徴である。

こういった切れ味鋭い小型ナイフは、模型製作のあらゆる場面で必要不可欠である。それこそ素組みから塗装、全面改造まで、ありとあらゆる状況で使うことになる。間違っても、使い古しのカッターを使わないように。私の小学生の時みたいに

何でって、全然切れなくて発狂するのが落ちだからである。腐っても合成樹脂、プラスチックだからな。

また、刃は積極的に交換することをお勧めする。↑のは標準で替刃が30枚ついているが、そこから分かるとおり、デザインナイフの刃は消耗品である。人によって寿命や交換時期は異なるが、私の場合、最低限プラモ一個作ったら次作る時は新しいのに交換する。また、長期間使用しなかった場合も交換する。錆びてしまうからな。

ぶっちゃけ、切れ味の悪いデザインナイフなんざ100均のカッターと50歩50歩なので、どんどん交換してしまっていい。替刃もそんなに高いもんじゃないしな。ただし、鋭利な刃物である分取扱にはある程度の注意を。実際私も、プラモ一個完成させるまでに平均5回ぐらい手を切っておる。






誰も正式な商品名を言わないが、とりあえずコロコロと言えば通じるアレ。これは最早工具と呼んでも差し支えないほどに活躍するアイテムで、絶対に用意しておくべきアイテムである。

では何に使うかって、プラスチックの小さな屑が散乱した机の掃除…は当然としてだな。最近はガンプラも精密化してきて、非常に小さいパーツが混じる事も増えた。それこそ爪楊枝より小さいのがな。これを問題なく処理できた時はいいのだが、こういうの、力の入れすぎとかで何処かに飛んでいく場合があるのである。

そういう時、手当たり次第にコロコロを使うのである。すると、目当てのパーツが付着していた…こういう風に使うのだな。パーツを紛失してしまうと、クッソ面倒な部品通販をする羽目になるので、コロコロは必需品である。

ちなみに部品通販がどれぐらい面倒かって、通販がめんどくさいという理由でもう一個プラモを買っちゃうぐらいである。諸君もそういう目に遭わないように、コロコロでパーツ紛失を抑止しよう。


以上三点の工具があれば、最低限ガンプラを完成させることはできる。これらだけで作る事を、『素組み』とか『パチ組み』とかいう。



●あった方がいいモノ




特に事務系の職場によくあるモノだから、模型に関わった事がなくても見たことのある人は多いだろう。例えばカッターで紙を切る時、机の上で普通にやると机が傷ついてしまう。そういう時敷いておけば、机を保護してくれる…そういうモノが、カッティングマットとかカッティングシートとか呼ばれるアイテムだ。

勿論なくてもなんとかはなる訳だが、机に当たればデザインナイフの刃は容赦なく磨耗するし、机だって傷つく。それに、下の素材によって切りやすさは全然変わってくる。

…まぁ、そうは言っても、本当に素組みするだけなら必要はないと思う。部分塗装、簡単フィニッシュ、全面塗装、部分改造、全面改造…と、模型に手を加える度合いが増えるほど重要性が増してくるタイプの道具だからな、これは。

例えば改造。改造の定番として、純正パーツを精密改造パーツへ交換するというのがある。そういうパーツは非常に小さいから、両面テープやらで机に貼り付けて作業する場合がある。カッティングマットには方眼や目盛りがついている場合も多いから、それでパーツの大きさを測ることもできる。

塗装の際にも活躍する。部分塗装ならともかく、ある程度以上の範囲を塗装するとなると、どうしてもマスキングという作業が必要になってくる。これは『塗りたくない場所にテープとかを張り、色がつかないようにする』という作業だ。その為にマスキング用のテープを適当な大きさに切るのだが、その作業効率は、カッティングマットがあるとないとでは雲泥の差となる。

まぁ、読者の八割は頭の上に?マークが浮いてるだろうが、最初はなくてもいいだろう。それか、100均で売ってる奴か。ただ、模型製作を趣味にするなら、タミヤとかが出してるちゃんとした奴を是非購入してほしい。作業効率が変わってくるぞ。

それと、実際に買うとして、サイズの問題がある。模型を趣味とする人にも二種類いて、カッティングマットを『作業スペース』として捉える人と『切断作業に使う工具』と捉える人がいる。

作業スペースと考える場合、作業机の大きさに合わせて大きいのを買えばいい。A2とかA3とか。私はA3だな。逆に工具と捉える場合は、小さめのを買って、デザインナイフとかを使う時のみ引っ張りだす、という形になる。これはその人しだいだろうな。↑には、私も使ってるA3を挙げておいた。






先ほどちょろっと触れた、マスキングに使うテープである。ひとつの部品に『塗りたくない場所』と『塗りたい場所』どちらも存在する場合、こいつを塗りたくない場所に貼る。すると、塗料のはみ出しとか考えず、気楽に塗ることが出来る訳だ。

そんなんなら、塗装しない限りいらないじゃないかと思うだろうが、さもありなん。これは『粘着力の弱い』『やわらかいテープ』という側面があるので、結構色々使えるのである。

例えばピンセット。細かいパーツをつまむのに重宝するので、模型製作でも結構使う。が、金属であるから、プラスチックを強く持てば傷がついてしまう事もある。プラモ向けメタルパーツはアルミが多いから、こちらもピンセットに力を入れすぎると傷がいく。そこで、ピンセットの先端にこいつを貼れば保護できる訳だ。

そういう使い方にとどまらず、パーツの仮止めなど、テープとして使う場面は意外とある。セロハンテープなどは粘着力が強く、特に塗装済みパーツに貼ると剥がす時塗料も一緒にべりっといってしまうが、マスキングテープならそれはない。

意外と重宝するので、一個買っておいて損はない。安いしな。10mmと6mmを挙げておいたが、一応、これより太いのも細いのもある。が、その辺は塗装に手を出さない限り使いづらいだろうから挙げていない。





マスキングテープと同じぐらい活躍するのがコレである。小さいパーツをコレに押し付けておけば紛失しないし、作業する場合も下手に手で持つよりテープで固定したままやった方がいい場合は多い。

マスキングテープと同様パーツの仮止めにも力を発揮するし、塗装の際にも便利だ。割り箸とかに小物をくっつけて、その上で塗装したりするのだな。安いし、こちらも買っておいて損はない。ただ買うなら、はがす事を前提にした弱粘着力タイプを購入するように。






いわゆるひとつのピンセット。これもいわゆる『なくてもいいがあると便利』タイプの工具である。こいつが力を発揮するのはシール・デカールといった類のものを貼る時、および細かいパーツを扱う時である。

シールについては、ぶっちゃけ手で剥がして手で貼ってもよい。というか、諸君も普段の生活ではシールを手で貼ってるだろう。しかし、シールを指で触ると容赦なく人脂がつく。それによって粘着力が下がってしまうのだ。だから、できればピンセットを使うのが望ましい。プラスチックってモノ自体、くっつきにくい素材だしな。

一方、デカールというのは高級シールみたいなもので、こちらを貼るならピンセットはマストと言える。最近のMGなんかは水転写デカールが標準でついてたりするので、そういうのを買って作る場合は用意しておいた方がいい。わざわざ買わずとも、デカール貼り程度の用途なら救急箱内にある奴でも事足りる

で、最後に細かい部品の扱いだが…ぶっちゃけてしまうと、バンダイのプラモデル!(迫真)で使うことは少ない。艦船模型や航空機模型では必須になるのだが、ガンプラは細かいパーツが少ないのだ。ピンセットでないと扱えないような奴は、な。

艦船とかはな…もう…想像したまえよ。お船は1/700が基本だが、いくら大和型戦艦の主砲が直径46cmだと言っても、1/700にすれば0.7mm以下である。砲塔部分含めても、1/144ガンダムのコブシよりちっちゃいのだ。ましてや1/700の7.7mm機銃がどれだけ小さいか…手だけで艦船模型作ろうとしたら、まず発狂する

まぁ、ガンプラを作る上では、大規模な改造に着手しない限りほぼシール・デカール貼り専用ツールである。必要に迫られたら救急箱から取り出せばよいだろう。




以上、必須工具とあった方がいい工具の紹介であった。

さて、では実際のプラモ製作、素組みに入る訳だが…その前に、やっておかねばならない事がある。当たり前だが、プラモ製作と言うからにはプラモデルを購入しなければならない。なのだが、これの選択が意外と難しいのである。

というのは、私には諸君の好きなMSがわからないのであって、人によってはそもそもガンダムに興味がない場合すらある。模型製作の入口として取り敢えずガンプラを選択し、艦船模型や航空機模型にステップアップしていこう、という人だな。本来、出来不出来に関わらずその人の好きなMSを買って作るのがいいのだが、それではアドバイスにもならん。

なので、敢えてお勧めするとしたら、というのを考えてみた。

・最近出たキット(AGE以降、できればHGAWウィング以降)であること
・1/144のHGシリーズであること

この二点を抑えておけば、おそらく問題ない。


まず一点目、『最近出たキットであること』について。

他の模型と違い、ガンプラは年単位で技術革新が起きる世界である。ここが他の模型とは決定的に違うのだ。例えば艦船模型や航空機模型では、昭和に出たキットが最新版という話もザラである。例えば島風(大日本帝国海軍)は1972年、つまり昭和47年に出たタミヤ版1/700キットが唯一にして最新版だ。

1972年て、私生まれてないぞ。ちなみに艦これキット版島風の中身もこのタミヤ版で、キャラクタープレートなどが追加されているだけである。なお、最近の艦これ特需によってピットロードから新作がようやく出るらしい。2014年12月31日発売なんだそうな。

逆にいうと、艦これ特需がなければ昭和47年版が原点にして頂点状態だった訳で、いかに艦船模型がヤバい世界かわかる。結局これは、新作を出しても利益が見込めない(
どころか赤字覚悟)になってしまう業界だからなのだ。

その点、ガンダムは余程のことがない限りどんな新作キットでも売れる。まぁAGEとか大コケしたのもあるがアレはアニメからしてコケてたしな。だからまぁ、模型とは思えないぐらいの短いサイクルで新作が出るし、新技術がどんどん開発され、惜しみなく注がれていく。

他のスケールモデルキットなら、10年前のキットと今のキットでは大して差がないというのもザラだ。だが、ガンプラは新作開発のサイクルが早い上、多少金をかけて新技術を開発しても元が取れる為、10年でもまるで別物のキットが出来上がるのである。

よって、最近出たものの方が断然よい。ビルドファイターズ・Gのレコンギスタを除けば一番最近放映されたガンダムアニメはAGEなのだが、特にAGEのプラモは技術革新が著しかった。AGE以降、具体的には2011年冬以降に出たプラモはその技術革新の恩恵に浴しており、最低限これ以降に出たものを選ぶとよい。

また、2013年9月、オールガンダムプロジェクトというのが始まった。『すべてのガンダムを現代の技術でキット化しよう』という計画である。この企画については賛否両論があるものの、これが始まって以降のキットは作りやすさにも重点を置いたものが多い。少なくとも私はそういう印象を持っている。

なので、オールガンダムプロジェクト第一弾である、HGAWウィングガンダム以降のMSを選ぶのは賢い選択だろうと思う。


二点目、1/144HGというのは、割と私の主観も入っている。

ガンダムのプラモデルは、サイズとグレードによっていくつかに分けられる。一般的なのは1/60PG、1/100MG、1/144HGだ。PGは高い上にパーツ数が多いから論外として、入門に向いているのはMGとHGである。

ただ、私は敢えてHGを推したい。MGはサイズが大きい分値段が高い。のみならずパーツ数が多く、それ故、素組みでも結構手間がかかる。値段が高く大きい分、素組みでも見栄えが良い…そう考えれば入門向きな面はある為、勿論こちらを選んでもいいのだが…やっぱり値段と手間がな。特に手間の多さは、新人を途中で挫折させかねん。

HGは値段が安く(だいたい1000円前後)、言うほど手間がかからない。特にオールガンダム以降の奴は、だいたい、半日~一日で一機を素組みできる。勿論キットによって個体差はあるがな。特にユニコーン系列のデストロイモードはちょっとしたMG並の手間がかかるし。

まぁそれでも、やはり私はHGを推したい。安く手間がかからないのは魅力だ。機体の種類もMGより豊富だしな。ただ、HGと書いてあるのに一万とか二万とかする箱がでっかい奴、あれはやめておけ。アレは、本来キット化されないような大型機を敢えてやってみました系の奴であり、飾る場所を用意するだけで一苦労だ。


取り敢えず、バンダイのサイト(こことかここ)を参考に探すといい。あと、最近は色んなサイトでレビューをやってくれてる。そこを参考にするのもいいだろう。私はガンプラの山を崩せをよく参考にしている。




さて、前置きが長くなってしまったな。次回は、素組みをやっていこうと思う。もしかすると、そのまま簡単フィニッシュに行くかもしれんが。