さて、いい加減P90について語ろうと思う。の前に、らぷすけさんが先日、P90を「拠点防衛用」と言ったのを聞いて
「バカジャネーノ プークスクス」とか言ってしまったんだが…P90はベルギーのファブリック・ナショナル社の開発で同社から販売されているのだが、PDWという売り文句で出たものである。これはPersonal Defence Weaponの略であり、防御用兵器と出したものなのだな。
いやまぁ、
この種類分けは全く広まらなかったと言うか、
私自身完っ璧に忘れてた。google様で要目見ようと検索したらwikipediaに
プークスクスって言われた。これから述べる通り、P90は拠点防衛用の武器ではないんだが、正直スマンカッタorz
さて、前回は短機関銃が登場するまでの歴史について書いたが、もうちょっと書いておこう。この短機関銃を最初に開発したのはドイツ第二帝国である。ドイツの科k(ryと
ガイルみたいな髪型してる誰かが言っていた通り、あの当時は軍事力でもドイツが圧倒的だったのである。このベルクマンMP18
マシーネンピストーレ(キリッは、
カイザーシュラハト(キリッに向けて開発、製造され、
シュトゥルムトr(ryに配備されて大戦果をあげた。
まぁ翻訳すると、このMP18という短機関銃は第一次世界大戦最後にして第二帝国最後の大攻勢(これがいわゆるカイザーシュラハトって奴だ)に間に合わせる様に開発と製造が進められ、最精鋭部隊、と言うか、
時代を三十年ぐらい先取りした突撃兵に持たせたのである。実際、カイザーシュラハトでドイツ軍は
六十五キロにわたって英仏両軍の戦線を突破したからな。相当である。
ところで、さっきマシーネンピストーレって言ったが、これは翻訳すると機関拳銃になる。マシーネンが機関、ピストーレが拳銃だ。そして、実を言うと、
機関拳銃もサブマシンガンに含まれるのである。サブマシンガンってのは色々種類があって、本格的で突撃銃の小型化みたいな奴から拳銃をちょろっと弄っただけのまで多種多様なのである。
本気で拳銃クラスの奴だと、例えばウージーピストルがあるな。
横に置いてあるのは拳銃である。デザートイーグルだ。僅かに大きいって程度だな、ウージーピストルの名は伊達ではない。逆にトンプソンとかシュマイザーなんかはそこそこ大きい。しかし、第二次世界大戦では
またしてもドイツがやらかした。突撃銃、アサルトライフルの開発である。以前話した(と思う)StG44だな。これ以降、短機関銃は特化装備になっていった。この辺については後で述べる。
短機関銃が開発された後も、一般兵の装備は変わらなかった。前回の記事でいう旧来の銃って奴だな、歩兵銃だ。一応短くしようという流れはあり、例えば日本は長らく三八式歩兵銃を使っていたが、九九式歩兵銃(短小)という奴に変更しようとしておった。ドイツも、既存のgew98からkar98、特にkar98kに変わっていった。有名だがkはクルツ(短いって意味)を表しておる。
これらは当然、旧式装備より性能は上がってはいるんだが
基本的には短くなっただけである。一発一発撃つたびに
ガシャコンがちゃこんカチッ、ドーンとやらねばならない。
こんなん。
第二次世界大戦でも、歩兵の一般装備はこういった銃だったのだが、ここで異色なのは、M1ガーランドである。九九式だろうがKar98kだろうがモシン・ナガンだろうが、全部↑にあるような槓桿式である。しかしガーランドは
自動式なのである。つまり、一回引き金を引いてしまえば、何もせずまたもう一回引けば弾が出るのだ。まぁ、
だからと言ってM1こそ最高傑作と思ってはならん。名作なのは変わらんがな。
それはさておき、歩兵銃もこうして徐々に小さくなっていき、その成果はドイツのStG44として結実する。突撃銃、アサルトライフルだな。ライフル弾、つまり歩兵銃の弾を連射できる銃である。基本的に歩兵銃弾のが威力はあるし、突撃銃の弾は(今までのよりは)反動が少ない。つまり、
短機関銃のアップグレード版みたいなもんと言える(本当は言えないけどそうしておく)。
んで、じゃあ短機関銃の価値はなくなったかと言えば、そうでもない。やはり突撃銃は大きく重いのだ。歩兵銃は突撃銃によって小さく反動も軽くなったとは言うが、歩兵銃弾と拳銃弾では、威力も反動も雲泥の差がある。
素人は誤解しがちだが、
銃が大きければ大きいほど反動は少ない。考えてみたまえ。重いものを動かすには強い力が必要である。逆に、軽いものを動かすなら小さい力で充分である。これを射撃の反動に当てはめれば、まぁそういうことだな。私は撃ったことはないが、例のS&WM500もそこそこ扱いやすいと聞いておる。
まぁ、正しい撃ち方をすればの話だがな。ちゃんと握ってないと
吹き飛んでくる可能性がある。
まぁまた話がそれたが、大きい銃ほど反動が少ないというのは、つまり威力の高い弾を使いやすいという事である。
ここで、弾の解説をせねばならんな。
銃の弾には色々あるが、規格は大体決まっておる。パソコンの部品と同じで、銃を買おうとしたら箱に『9mmルガー弾仕様
9mmルガー弾以外の銃弾使用による事故は弊社では責任を負いかねます』とか書いてある感じだ。拳銃なら9mmルガー、.45ACPが主流であり、歩兵銃弾は5.56mmNATOが主流だ。一昔前なら7.62mmNATO。
ここで考えてもらいたい。今9mmとか5.56mmとか言ったが、例えば9mmルガーなら、この「9mm」というのは銃弾の直径である。.45というのは
0.45in.、つまり
0.45インチという事である。
考えてみてくれ。
普通、弾が大きいほど威力は高い。当たり前である。ところが、
歩兵銃弾の5.56mmや7.72mmは、9mmルガーより小さいのである。これはどういうことか。まぁ、つまり、
小さい弾の方が高威力である場合があるのである。何で? って話になるが、これは見た方が早い。
写真は拾いものだが、左から9mmルガー、5.56mmNATO、7.62x51(AK47とかに使う奴)、7.62mmNATOとなっている。しかしまぁ、大変な事になっとるな。
特に一番右。
まぁこんな訳で、口径が小さいからと言ってショボいとは限らん。火薬の量や弾頭の形状によって全く違ってくる。拳銃は廃給方式とかが色々あって、あんまり大きい弾は使えないのだ。
縦に大きいって意味でな。だから、拳銃弾は縦にではなく横に大きくならざるを得ないのだ。そんな訳で、拳銃弾は大きい
(横に大きいって意味で)のである。
そもそも威力って意味すら曖昧だからな。拳銃弾で、よくフルメタルジャケットだとかホローポイントだかって話が出て来ることがあるが、規格は同じだ。どの企業が作った.45ACPでも、.45ACP仕様の拳銃なら入るし撃てる。弾の大きさとか、そういうのを変える事はできん。しかしながら、
弾頭の形とか火薬の量を変えることはできる。
↑の図で示したのはいわゆるフルメタルジャケット。よく小説なんかで「鉛弾ぶち込んでやる」とか言うが、鉛という単語が示すとおり、
実は、弾頭はほぼ全体が鉛でできている。だから弾頭を鋼鉄で覆い、貫通力を得るのである。鉛はやわらかいから、
泥団子投げた感じにベチャってなる可能性がある訳だ。
しかし、そこに眼をつけたのがホローポイントである。防弾装備をしているならともかく、普通の人間に銃撃する場合、貫通力はあまり必要ない。むしろ、フルメタルジャケットの場合
極端な話、身体に穴が開いただけで終わってしまう場合があるのだ。生命維持が不可能になる心臓とかならともかく、胃腸に当たっても大したダメージにならん。
そこで、鋼鉄で覆わず鉛などの柔らかい弾頭で撃とう、そういう発想が出てきたのである。どうせ大した貫通力なんて必要ないんだから、人間の身体に当たって
鉛がベチョっとなる事で威力を増強しよう、そういうのを志向したのである。ダムダム弾とかホローポイントはこの発想を更に発展させ、
可能な限り人体内をぐじぐじベチョベチョにするような形になるよう弾頭を改造したものだ。
では、フルメタルジャケットとホローポイント、どっちが威力が高いのか。これは大変難しい話であり、
と言うかその発想がナンセンスである。戦争で使うなら敵兵が防弾装備している場合もあり、断然フルメタルジャケットが有利だ。しかし、銀行強盗の制圧なら、どうせ大した防弾装備をしてないだろうからホローポイントのが有利である。
昔ROをガチでやってた頃よく言ったが、
世の中にベターはあってもベストは無いって事である。生身相手ならホローポイントが有利って言っても、某ウィンチェスター社が作ってるシルバーチップって弾(ホローポイント)なんかは
柔らかすぎて厚手の服に阻まれるという事件が発生していたりする。しかしフルメタルジャケットはフルメタルジャケットで、致命的な箇所を撃たれなかったから十発以上食らってもピンピンしてる奴もいる。
斯様に、同じ9mmルガー規格の弾を撃つにしても、弾頭の形状及び素材で話は全く変わるのである。まぁ弾頭だけならいいんだが、それ以外にも装薬する火薬の量(が多いのをマグナムという)でも変わるし、どの銃で撃つかでも変わってしまう。だから、口径はあくまで参考にしておいた方がいい。
まぁそんな訳で、
全然違う話になったが、拳銃弾を使う短機関銃と歩兵銃弾を使う突撃銃では、設計思想が似ているものの
似てるっぽいってだけである。拳銃弾と歩兵銃弾じゃ全然違うからな。
んで、えーと。短機関銃だとかサブマシンガンだとかそういう銃は、呼び方には色々種類がある。さっき言ったウージーピストルなんかは、マシーネンピストーレ(機関拳銃)と言える。拳銃強化版って感じだしな。逆に、
このMP5とか
ロリアーカード愛用のトンプソン(100連ドラムマガジン)とか
こんなんはやっぱりサブマシンガンとか短機関銃って感じだな。このように色々な種類がある為一概には言えない。で、
ようやくP90に戻ってくる訳だが、P90は既に言ったようにPDWとして開発されたものである。個人防御火器だな。これはどういう用途のものなのか。
それは、要は、『普段は非武装』だが『戦争等でドンパチする事もある』人の為の銃だ。輸送車輌を運転する兵隊であるとか、戦車とか飛行機の調整を行う整備兵であるとか、陣地とかを設営する工兵だとか、その辺の連中である。
まず、旧来の銃ってのは重い。さっきから言ってるM1ガーランドだと4.3kgあるし、M16も3.5キロある。それにデカい。A4のアタッシュケースよりも大きく、
ギターケースに入れたりできる程度の形な訳で、嵩張る(かさばる)のだ。故に常時携帯するには適しておらんのである。本体以外にも、弾とか色んな補助装備つけると更に重くなるしな。
しかし一方、拳銃を持たせるだけというのはそれはそれできつい。拳銃は火力に問題がある。最近のはダブルカラムっつって特殊な技術も導入され、十五発ぐらいは入る様になったものの威力に不安がある。まぁ、
弾のせいでもあるんだがな。今の世界標準規格は9mmルガー弾なんだが、.45ACPとかに比べると威力が低い。とは言えこの規格が西側社会の基準である以上、個人はともかく軍隊とかではそうもいかん。
実際、某ドイツ軍は一時期、独自(でもないが)規格をずっと採用し続けた為、同盟国との軍事演習などでは
フランスから銃を借りたりしてた。同盟国と一緒に戦争する場合、補給はドイツ軍だけではなく同盟国から行われる場合もあるからな。同じ規格が原則である。しかしながら9mmルガーは
比較的弱々しい。実際、傭兵なんかは.357か.44のマグナムのリボルバーを好む様である。M500はどうだか知らんが。
某
黒い潟では「こんなもんはな、撃てて当たりゃいいんだよ」と言っておったが、まぁ
心臓とかに確実に当てられるなら真理であるからいいんだが、そうではない場合はやはり威力というのは関係してくるのである。.22ロングコルトっていう
子犬が殺せる程度の能力の弾を使う銃だって、頭蓋骨を貫通させれば殺せるのである。本場アメリカの殺し屋は.22でとどめを差すってこだわりのある奴もいるそうだ。
まぁしかし軍隊ではそうもいかんというのが前述したとおりである。故に、何年か前までは拳銃不要論といって
軍隊に拳銃はいらんという説が台頭した時期もあったが、これは所詮、
爆撃機は戦闘機より速く飛べるから戦闘機なんぞいらんとか攻撃ヘリに負けるから戦車は要らんとか言ってた阿呆の戯言である。
まぁそんな訳で、拳銃にも期待が持てぬ。ならば拳銃と歩兵銃の合の子である短機関銃はそういう銃として最適ではないか、という主張が出てきて当然である。実際それは正しい。しかし旧来の短機関銃も問題が多い。
さっき言い忘れたが、所詮は拳銃弾であるから射程が短い。元々狭い場所で使う為に造られた銃であるから当たり前なんだが、中~長距離だと威力に問題がある。さっき言った通り、時によっては厚手の服でどうにかなるというのに、特に戦争では向こうも防弾装備を施している可能性が高い。
射程距離って言っても、別にそこまで弾が届かないって事ではないんだがな。ただ、当たったところで
BB弾ぐらいの威力になってたりする。遠距離だと。また、元が拳銃弾である為、貫通力に乏しい。歩兵銃弾みたいな、ああいうとがった形が望ましい。すると従来とは全く違う弾を新規開発せねばならん。
そんな訳で、その辺の事を勘案に入れて作られたのがP90である。
作ったのは、
ベルギーの老舗ファブリック・ナショナル社。新規に5.7mmx26の専用弾も同時に開発し、中距離(300mぐらいまで)の威力を確保し、2.8kgと比較的に軽く、弾倉に50発も入れる事が出来る上、嵩張らない。更に人間工学に基づいて設計されており、取り回しも大変良い。まさに夢の銃だ。
ところが、
まるで売れてない。
さっき言ったな。軍隊では規格の同一化が重要であると。つまり、
軍隊向けに作ったのに軍隊に売れない仕様なのである。FN社にしてみれば、顧客としては軍隊の人数が多い大国が望ましい。しかし大きい軍隊であれば、旧来(と言うか現行)の突撃銃とか短機関銃が大量にある訳で、相当の予算が必要になる。そして、
そんなに金をかけるほど重要かと言われると
そうでもない為である。
まぁ逆に言えば、小規模な軍隊なら需要はあるという話でもある。
金があればな。しかし、流石に製造停止にはなっておらず、最近はそこそこ売れるようにはなったらしい。らしいが、
PDWとしてはあまり売れてない様子である。
P90は、PDWであるとか銘打ってるが
要するに短機関銃であり、且つ優秀な短機関銃である。だから、軍隊のPDWとしての標準装備としては
却下というか大却下なんだが、例えばSWAT(アメリカ警察の特殊部隊)みたいな組織は人数も少ないし、少々規格が違っても構わない。そういうのが買ってるらしい。
PDWとしてでなく。
又、最近はどっかの国の軍隊であるとか警察であるとかいった公的機関ではないものにも売れてるそうである。どんなのかって、
傭兵派遣会社とか総合戦争請負業者とかその辺である。いわゆるPMC。組織としては小さいが、全ての兵士に一線級の戦闘力を要求せねばならんこういった軍事業者には最適なのである。だから、MGS4のカエル部隊はP90装備だった訳だ。
以前もちょろっと話したが、最近の軍隊は縮小傾向があり傭兵派遣会社みたいな会社が台頭してきておる。よくニュースなんかで「民間人含む○○人が死亡」とか流れるが、この民間人ってのは大抵、傭兵とか戦争請負会社の社員である。ここんところガチの戦争が起きる気配もなく、大きい軍隊を維持するのが不要になりつつあるのである。
日本海周辺はヤバそうだがな。それに中東は相変わらずなんだけども。
まぁ、P90ってのはそういう武器なのである。
まる。