霧島家日誌

もう何が何だかわからないよろず日誌だ。

AC4世界の歴史5 アスピナの興亡

2011年07月10日 23時01分41秒 | アーマード・コア
ごきげんよう諸君、いかがお過ごしかな。家族会議で大変無駄な時間を過ごした霧島である。ほんとこの家いたくない。私の精神衛生上よろしくない事甚だしい上、こっちには出かける先が無いから外にも出ない、所詮仮住まいだと思ってるから掃除もしない、買物不便だからコンビニ以外全部通販とこの家にいるメリットが全くない。どうせ会社のバイトしても大した金にならん(月一万)だから働く気も起きんしな。

しかしま、久しぶりに社長がマジギレしてたな。俺は地獄を見てきたがそれを他人のせいにはしなかったとかどーとかこーとか。知らんがな。まぁ社長が子供の頃親にいじめられたのは大変だったとして、本当に大変だったのは社会人になってからだ。家を出て会社員になり、結婚して子供と三人で幸せに暮らしていたところ、実家から会社を継いで欲しいと要請が。で、説得されて会社を継ぎ地獄を見た訳である。

おめーが自分で選んだんだろうが。これがまだ、例えば「普通に評判のいい会社に入ってみたら超絶ブラックだった!」とかならまだ話はわかる。又、「ブラック企業でもいいから何処かに就職しない事には生きていけん!」という状況だったならそれもわかる。

しかし、彼は子供の頃から(当時の)現社長たる親や会社の風土をよく知っており、又、会社員として普通の生活を送っていたので生活にも困っていなかった。言ってみれば、自分から地獄に突っ込んだ訳である。勝手に地獄見とりゃええがな。後、彼は一人で突っ込んだのではなく嫁と子供を道連れ(社長の親からいじめられたり仕事手伝わされたりそれはもう色々と大変だったらしい)にした訳である。それで自分は地獄を見てきたとか啖呵切れるんだから大変良いご身分と言わざるを得ない。

まぁ、辛い辛くないというのは本人の主観次第というのが私の持論なので、彼にとっては自分で見てきた地獄の方が辛いんだろう。例えどんなに自業自得でも辛いんだろう。降って湧いた病気で、一度損傷したら二度と再生しない脳細胞(末梢神経なら再結合するが)が傷ついて、二度と常人並みの暮らしはできませんとか言われるよりも辛いのだろう。中長期目標が同じ時間に起きて同じ時間に寝る事と医者に言われる私より大変だったんだろう。

きっと。

多分。

辛いんだろう。

うん。

ま、常識的に考えれば、「あの時実家に戻ると決断しなければ」というのは社長の人生そのものを否定する行為なので本能が拒むんだろうな。どちらかと言えば被害者な子供や嫁(私は殆ど感知しない年頃だった)があれだけ擁護してるのもそうなんだろう。本人達も地獄を見てきた、と言うか見させられてきた訳だし。しかしそこを理性で乗り越えなければならんとも思うんだが、まぁ他人の人生である。私にゃ関係ない。

しかし私は何でこんな家にいるんだろうな。私は、普通に考えれば比較的裕福な家の生まれだし、両親ともにクズ野郎という訳ではないから不幸な方ではない筈である。しかしながら、横浜の我が家という天国が大変近くにありながら、精神衛生上滅茶苦茶悪い京都の家にずっといるので物凄い勢いで不幸感が増幅されるのだ。天国が見えなければそう辛くないんだが。

ちなみに社長をネタにはしているが、ネタにしやすかったというだけで一番イラッときたのはうちの姉である。アレが感情的になると話進まなくなるから困る。気が強い女は嫌いではないが他人の話を聞かんヒステリー女は大っ嫌いだ。


さて、そんな無駄な時間を過ごしていた為、キャプチャ関連の記事を最後まで書けなかった。だまして悪いがAC4解説記事を載せる事にする。ほんと舐めた話である。クズが…空気にもなれんか。



では本題。

リンクス戦争終結後、AC4最後のどんでん返しであり同時に初見にはイミフなイベントである事件が発生する。アナトリア粛清である。国家解体戦争以前からリンクス戦争までの流れを長々と解説したのも、そうしなければこの粛清事件を説明できないからである。元はと言えばDQNと私の論争が発端なんだからな。

まずは、アナトリア粛清で起こった事実だけを言おう。

1:リンクス戦争が終結
2:フィオナ(4主人公のオペレータ)が主人公に休息を求め、エミールが了承する
3:突如としてプロトタイプ・ネクストに乗ったジョシュアがアナトリアを強襲。
4:迎撃が間に合わず、アナトリアは破壊、汚染される
5:迎撃に出た主人公がジョシュアを撃破
6:No06セロが現れ、主人公はこれも撃破する(難易度ハードのみ)
7:二人は汚染されたアナトリアを後にし、アナトリアは滅亡する。

尚、アナトリア滅亡に関しては、粛清でそのまま滅んだのか、それともしばらくしてから滅んだのかは不明。資料集には「アナトリアの傭兵が出撃するも、間に合わず大半を破壊され、重度のコジマ汚染を受けてしまうアナトリア」「アナトリアは滅び」としか書いてないからな。しかしまぁ、アナトリアがいつ滅んだのかなどはどうでもいい。問題は、誰が何の目的でどうやってアナトリアを滅ぼしたかという事である。

一般的に、このアナトリア粛清は「オーメルの策謀」「企業の総意をオーメルらが実行」のどちらかだと言われている。少なくとも私が調べた限りでは、ファンの間ではそういう認識だった様だ。そして設定資料集でも、「背後にいたのは、アスピナと関係の深いオーメルだろうか? ただし、一社の独断ではなく、戦争の勝者であるGA陣営の総意が働いたと見ることもできる」(61p)と述べられており、多分どっちかだろうという事になっている。

取り敢えず実行犯にアスピナのジョシュア・オブライエン、オーメルのセロがいる(後者はハード限定だが)ので、アスピナ、オーメルが関わっているのは間違いない。特にセロは企業専属のリンクスであり、「オーメルの切り札」(4作中セロ説明文)であるから、独断での行動と考えるのは流石に無理があるだろう。

ここでまず、アスピナの立ち位置について検証しておきたい。fA時代のアスピナについての記述は多いのだが、4時代のアスピナについての記述が少ない…と言うか、いつ頃からそうだったのかという記述が無いので、当時のアスピナについてが非常にわかりにくいのである。尚、年代についてだが、資料集によれば国家解体戦争終結から16~19年後頃。fAゲームOPだと国家解体戦争から数十年と言ってるが、一十年だと思えば辻褄が合わない訳でもない。年表が凄く見づらいので、無理矢理な見方をすれば20年後にも見えるし。リンクス戦争は国家解体戦争から4~6年後頃。

まずfA時代のアスピナについて、資料集では「アスピナ機関は、厳密にはオーメルグループではなく独立した研究機関だが、その運営資金のほとんどはオーメルによって提供されており、実質的にオーメルの研究機関として扱われている」(27p)と書かれている。もしこれが4時代でも同様であれば、実行犯は実質オーメル単独という事になる。問題は、いつからオーメルとここまで深くつながっていたか、な訳だ。

これについては、明確に述べられたものはない。よって、作中と資料集から丁寧に読み解いていくしかない。アナトリア粛清の実行が実質オーメル単独によるものなのか、それともオーメルとアスピナの初めてじゃない共同作業によるものなのか、どちらか次第で話は大きく変わってきてしまうからな、ここは深く考えておかなければならない。

まず、元々アスピナはネクスト制御技術AMSの先端研究機関である。ARMORED CORE @ wikiやRAVENWOODなどでは、アナトリアのAMS技術がアスピナに持ち去られたと述べられているが、少なくとも設定資料集では「AMS技術はアスピナ機関で、IRS/FRS技術はアナトリア研究所によって研究、開発された」(79p)と記述されており、これは間違いないと思われる。

そして、続きで「アスピナ機関とアナトリア研究所は、どちらも経済基盤を技術情報取引に依拠しており、AMS/FRS/IRS技術も商品として販売されている」(同)と述べられている。国家解体戦争後もアナトリアが研究所の技術研究で繁栄していた事とあわせて考えるなら、アスピナも相当繁栄していた筈、言い換えればわざわざ傭兵をやる必要がないほど儲けていた筈である。

特にアスピナは、アナトリアの研究者が亡命した事により、ネクスト制御技術の最先端を一手に担う一大研究機関に成長している。傭兵をやらなければならない経済的理由は微塵も無い。確かに、「AMS技術も販売しました。これは機関に利益をもたらしましたが、一度普及するともう売れません」(50p)とも述べられている。だから売る技術がなくて困窮していたとみる事もできなくはない。

が、アナトリア研究所の研究員が技術を持ってきたのである。そして、少なくともアナトリアは、技術盗難までは繁栄していた。ならば、アスピナは充分それでやっていける筈である。だから、アスピナが傭兵をやり始めた件については別の理由を模索しなければならない。

アスピナは、fAでも傭兵を続けている。これについてfA作中のロード画面解説では、

「リンクス戦争では、テスト個体、ジョシュア・オブライエンを実戦投入、高い戦果を上げた。以来アスピナは、テスト個体を正規リンクスとして登録し、機会があれば実戦投入する方針を採っている。これは、主に実戦データ収集の意味合いが強い。

と述べられており、リンクス戦争以後の傭兵業はデータ収集がメインとされている。但し、ジョシュアの投入がデータ収集の為だったかどうかは定かでないのである。確かに、「データ収集の意味~」が「以来アスピナは~」にかかっているのは間違いない。しかし、「リンクス戦争では~」にまでかかっているかどうかは、この文章を読む限りでは判らない。

他の理由でジョシュアを投入する事になり、その結果データ収集が捗って傭兵業を継続したかもしれないのだ。色々調べてみたが、残念な事にアスピナが傭兵業を始めた具体的な理由を記述した作中の台詞や資料集の文章は無かった。故に理由については一旦放り出し、むしろそこで注目すべきは、アスピナが傭兵業を始めた時の記述を注目したい。「コロニー・アスピナがオーメルの秘密裏の支援を受けて、世界で2番目のネクストを駆る傭兵を所有した事だ」(58p)。

ここから判る事は二つ。第一に、この当時からアスピナはオーメルと一定以上の関係にあった事。第二に、アスピナの傭兵業はオーメルの意を受けているという事である。又、fA時代のオーメルについて、「アスピナ機関の存在と、レイレナードの技術者を取り込んだことで、ネクスト製造技術の面でもオーメルは急成長している」(27p)というのもある。技術者を取り込んだというのは、レイレナード崩壊後、オーメルはレイレナードの技術者を積極的に受け入れた(のか拉致ったのかは知らんが)のである。

まぁ正直判りにくい文章だが、「以前からあるアスピナという研究機関の存在と、新規参入した旧レイレナードの技術者の相乗効果で大躍進した」と読むべき文章であろう。もし「アスピナ機関と旧レイレナードの技術者を吸収して大躍進した」と読むのであれば、引用文の「アスピナ機関の存在と」の「存在」の部分が邪魔になるからな。ここから、当時からして既に、アスピナは事実上オーメルの(と言うかローゼンタール=オーメルの)研究機関だった、と結論付けたくもなる。

しかしそれはそれで早計だ。

と言うのも、このアスピナのジョシュア・オブライエン、レイレナード陣営の依頼も受けているのである。ハード限定ではあるものの、彼は管理経済戦争開戦後もレイレナード陣営に回っている。ジョシュアがレイレナード陣営に参加しなくなるのはリンクス戦争開戦後の話で、それまでに敵の刺客としてアナトリアの傭兵に襲い掛かった事は一度や二度ではない。

正確に言うと、ミッションで出てくるジョシュアは、難易度によって陣営がころころ変わる。アマジーグ撃破戦(マグリブ解放戦線と戦ってた頃のアレ)で出てくる時は、ノーマルだと味方(GA側)、ハードだと敵(マグリブ≒BFF、イクバール側)といった具合だ。管理経済戦争開戦後はインテリオルのNo14シェリングと戦う時、ノーマルだと登場せずハードだとインテリオル側で参戦。逆にBFFのNo05メアリー・シェリーと戦う時はノーマルだとオーメル陣営で参戦、ハードだと登場しない。

こうしてみると、金さえ積まれれば誰の依頼でも受けるという実に傭兵らしいスタイルで傭兵業をやっているアスピナとジョシュアの姿が見えてくる。しかしながらその一方で、アスピナはリンクス戦争でオーメル陣営反撃の要となる。エミールも、CHAPTER5の回想で「最初期の奇襲により壊滅的な打撃を被り、一方的な防戦に追い込まれた、オーメル陣営の切り札となったのがアスピナの傭兵、ジュシュア=オブライエンと、あの男だった」と述べている。

又、リンクス戦争後はアナトリア粛清を実行し、fA時代には完全に、オーメルの一研究機関に収まってしまっている。特にアナトリア粛清は不可解で、ジョシュアはプロトタイプ・ネクストに乗って出撃している。これはその名の通り試作型ネクストで、「リンクスの限界を超えた精神負荷と、汚染制御不能高出力コジマ機構」(61p)を備えているとされる。

実際、これで出撃したジョシュアは、アナトリアの傭兵に勝ったとしても吐血ボイスの後「私もすぐ逝く…責めはそこで聞こう」と言ってくる。故にこの出撃は、まぁ神風とまでは言わんが甲標的ぐらいの片道出撃だったのである。アスピナは、自らの最大の戦力を失う事を承知でジョシュアを送り出した事になる。

尚、このプロトタイプ・ネクストはレイレナードが所有していたものである事が資料集に述べられている(61p)。又、fAで登場するジュリアス・エメリーはアスピナ機関出身であり、ジョシュアの再来と呼ばれた逸材だが、何とリンクス戦争末期にレイレナードに合流している。アナトリアとアスピナがオーメル陣営の戦力基盤になっていた時期に、まるで内部分裂である。

このアスピナの動向は、どう説明すべきなのであろうか。

まず第一に判っている事は、アスピナは管理経済戦争以前からオーメルと一定以上の関係があった事である。これはアスピナが傭兵業を始める時オーメルが支援していた事から判る。又、「アスピナ機関の存在と、レイレナードの技術者を取り込んだことで、ネクスト製造技術の面でもオーメルは急成長している」の一文からも、リンクス戦争以前からオーメルとアスピナがある程度の関係にあった(オーメルの為の研究をアスピナがしたりしてた)のは間違いないと読み取れる。

にも関わらず、アスピナが非オーメル陣営からの依頼も受けているのは当時のアスピナがある程度独自性を持っていた、言い換えれば、確かにアスピナはオーメルの強い影響下にあったが決して傀儡政権でも衛星国家でもなかったという事であろう。と言うかそれ以外に解釈の仕様が無い。いくら私がMMRが大好きでユダヤ陰謀論にも一定の浪漫を感じる人間だと言っても、流石に、配下に命じて自陣営を攻撃させるというのはちょっと理解しがたい。

4主人公が邪魔で消そうとしていたならノーマルで援軍に来る道理が無いし、何よりリンクスの質がおいて大きく劣るオーメル陣営が自らのネクスト戦力を磨り潰すのは大変な愚策である。まぁGAはそれっぽい事やってるけど内部分裂とか内部粛清とかやってるアホでもあるからな、あいつら。政治力に優れたオーメルでそれは考え難い。

故に、傭兵業開業からリンクス戦争開幕までのアスピナはオーメルと関係は深いが、ちゃんと独立した勢力と見るべきだろう。傭兵業開業以前から独立性が強かったかどうかは判らない(判断材料がない)ので置いておくが、開業~リンクス戦争開幕までは独立勢力と見るべきだ。で、そのアスピナがリンクス戦争ではオーメル陣営についた。その中で、ジュリアス・エメリーが離脱するという事態が発生した。これをどう解釈するかである。

後者のジュリアス離脱については、二種類の解釈が可能である。第一は、アスピナの内部分裂による離脱。要するにオーメル陣営につくのを良しとしないグループによるものである。この場合、恐らくジュリアス自身もオーメル陣営を嫌っていたろう。一方、第二の見方として生き残り戦略がある。これは、オーメル陣営とレイレナード陣営、どちらにも戦力を提供してどっちが戦争に勝っても戦後アスピナが生き残れる様にするというものだ。

歴史上、こういう例は結構ある。有名なのは関ヶ原の戦いで、真田昌幸と信繁(幸村)は西軍(石田方)に、真田信之は東軍(徳川方)についている。結果、信之は元々持っていた領地に加えて昌幸の領地を獲得、真田家は見事に生き残り、松代藩は明治まで存続したのだ。アスピナも同じ事を考えていたとしても不思議は無い。

ただ、この解釈には無理がある。というのも、もしそういう戦略でいくのならもっと早い段階で両陣営に戦力を提供する必要があるのである。リンクス戦争末期というと、アスピナはもう既にオーメル陣営の一員として立場を明確にしている時期とみて間違いない。

何せ末期だからな、アナトリアの傭兵がエーレンベルク折ったり、アンジェと一騎討ちしたり、最精鋭ネクスト部隊と交戦したり、便器の蓋を閉じる作業レイレナード本社を襲撃したりしてる頃だ。ジョシュアもソルディオス壊したり頑張ってる。こんな時期にもなってレイレナード陣営にジュリアスを渡すというのは、どちらかというと裏切りに属する話である。真田と言うより小早川である。

大体だな、リンクス戦争の流れは、まず最初期にはレイレナード陣営が非常に優勢。それがアナトリアの傭兵とジョシュアのお陰で時間が経つにつれて段々とトントンになっていき、最終的にレイレナード陣営最精鋭ネクスト部隊の壊滅で勝負が決する、という流れである。故に、生き残りの為にレイレナード陣営にも戦力を送る、というのであればレイレナードが開幕の奇襲攻撃をやった直後でなければ意味が無い。

しかし実際には、ジュリアス・エメリーがレイレナードに合流したのはリンクス戦争末期である。ならば、政治的配慮という可能性は極端に薄くなる。又、政治的配慮でレイレナードに合流したのなら戦後アスピナに帰還、あるいはオーメルに吸収されても良い筈である。しかし彼女は、むしろレイレナードの亡霊であるORCA旅団に合流した。

ならば、このジュリアス離脱は内部分裂とみるのが自然である。ならば、何故内部分裂が起こったのか。そもそも内部分裂という事自体私の憶測に過ぎぬから確たる証拠はないのだが、考察を続ける上で次の台詞が役に立った。

「守るべきものの為には全てを捨てる…ジョシュアと貴方、似ているのかもしれない」

これはソルディオス撃破ミッションSOLDIOSの、ミッション成功後のフィオナ(オペレーター、主人公の恋人)の台詞である。このミッションではジョシュアのホワイト・グリントと協働でソルディオスを破壊するのだが、そのジョシュアと主人公が似ているというのである。

主人公の場合、「守るべきもの」はフィオナ、ひいてはアナトリア。「全てを捨てる」というのは、リンクスやって戦うという事である。前にも言ったとおりリンクスやってると精神負荷はかかるわコジマ汚染はされるわ(リンクスは暗闇の中だと緑に光るという設定もある)で身体はガタガタになるからな。

ジョシュアの場合も、いくらAMS適性が高いとは言え最初期のAMS被験体。同じ時期からネクスト開発に携わっていたと思われるNo07テペス=Vの解説文が「最初期リンクスの生き残り(中略)深刻なコジマ汚染が噂されており、恐らく先は短い」とか書かれてるし、やはりネクストに乗り続けるのは危険だろう。だから「全てを捨てる」ってのは判る。

ならば「守るべきもの」とは何か?公式HP(資料集と矛盾する内容もあるのであんまり引用したくないんだが)のキャラ設定には、ジョシュアは「小さな故郷を守るために戦い続けている」と書いてある。まぁこれが無かったとしても、ジョシュアの恋人とか出てこない以上それしか理由はあるまい。要するにアスピナを守る為に戦っている訳である。

しかしだ。ジョシュアがアスピナを守る為に戦っているという事は、逆に言えばジョシュアが戦わないとアスピナが滅ぶという事である。まぁ滅びはしないかもしれないが、酷い事になるのだろう。そうでなければ「守るために戦い続けている」なんて出ない筈だし、「守るべきもののためには全てを捨てる」という事にもならない筈である。

ここで、さっき放り出したアスピナが傭兵業を始めた理由で考察したものが役立つ。あの時、アスピナが傭兵業を始めた理由として経済的理由はありえず、fA時代にはデータ収集の為に傭兵をやっているという事を述べた。ジョシュアがデータとらなきゃアスピナ滅ぶって事はあるまい。

ここで、今まで明らかになっている事実を並べてみよう。

1:アスピナは古くからオーメルと深い関係にある
2:傭兵業を始める時、オーメルの秘密裏の支援があった
3:管理経済戦争まではどちらの陣営の依頼も受けていた
4:リンクス戦争ではオーメル陣営一本に絞り、主戦力となった
5:リンクス戦争末期、内部分裂があった
6:アナトリア粛清を実行し、ジョシュアを捨て駒にした

やはり、3と4の間に大きな隔たりがあるのは否定できない。1、2の頃はわからないが、少なくとも3の頃のアスピナは独立性が強かった。しかし4になるといきなりオーメル陣営べったりになる。そして6ではジョシュアを見殺しにしてしまうのである。アスピナ最高のリンクスであるジョシュアを、アスピナ自身が暗殺したかったとは思えない以上何者かにプロトタイプ・ネクストでの出撃を強制されたとみるのが自然である。

そう考えると、5の内部分裂の原因、4でオーメル陣営一本槍になった原因も見えてくる。要するに、3の頃の独立性が4になって失われた、噛み砕いて言えばオーメル陣営のどれかの企業に、無理矢理オーメル陣営に参加させられたのではなかろうか。ジョシュアの片道出撃もその流れで無理矢理やらされたもの、という次第だ。そうでもなければ「守るべきもののために全てを捨てる」なんて話にならないし。

そして、「オーメル陣営のどれかの企業」はずばりオーメルだろう。fA時代にオーメルグループの事実上の一員としてアスピナが名を連ねているところからして、オーメル以外の選択肢が無い。そしてだからこそ、オーメルの犬に成り下がる事を良しとしない者による内部分裂が起こったのではなかろうか。

尚、オーメル陣営の切り札となったジョシュアを擁するアスピナをオーメルが力でねじ伏せられるかという点については、可能だと考える。なんとなればだな、ネクスト一機送り込めばそれでいいのである。何もジョシュアを倒す必要は無い。ネクストがコジマ粒子撒き散らしながら戦闘するだけで市街は壊滅するからである。

コジマ粒子は「広範かつ長期にわたり生体活動に悪影響をもたらす重度の環境汚染源」であり、しかもネクストはコジマバリアを張るとえらい勢いでコジマ粒子を垂れ流す。と言うのも、コジマバリアはコジマ粒子をバリア状に整えたものなのだが、そのコジマ粒子はネクストのジェネレータから機体外に放出される。で、ネクストの整波装置がコジマバリアにできるコジマ粒子の量は限りがある。つまり、整波装置の機能上限を超えたコジマ粒子は周囲にだだ漏れなのである。

その上OBを使えばプラズマ化したコジマ粒子が機体外に放出され続けるし、QBしてもごく微量ながらコジマ粒子が放出される。こんな物体、市街に放り込まれたらジョシュアが撃破してくれたとしても大惨事である。ましてやジョシュアは、アスピナ市街での戦闘ともなれば汚染を避ける為コジマバリア封印状態で戦闘、なんて事もありえる。

まぁ、アスピナとしては「ネクスト送り込んでやろうか」とか言われたら屈するしかなかっただろう。本当に送り込む必要はない。送り込んでやろうかと脅せばそれでいいのだ。アスピナの研究員ならコジマに触れてる可能性もあるからちょっとぐらい汚染されても平気かもしれんが、アスピナの一般市民はそうはいくまい。コジマ汚染された地域に住めなんてのは今の福島に住めって事であり、そんな事ができるのはアクアビットとトーラスの社員だけである。

リンクス戦争中に何やってるんだという向きもあろうが、無理矢理にでもアスピナを引き込まなければ到底勝てないのはオーメルとて判っていた筈である。まぁそういう訳で、少なくとも傭兵業開業から管理経済戦争まではかなりの独立性を維持していたアスピナは、リンクス戦争開幕と共にオーメルによってその独立を奪われた、と私はみておる。

間も悪かった。管理経済戦争中ならまだ、そんな事言うならあっちの企業に行っちゃうぞ、こっちの陣営に行っちゃうぞ、と色々な企業、陣営の間を立ち回る事もできた筈である。しかしながら、この時期はリンクス戦争。どの企業も生き残りに必死であり、オーメル陣営はオーメルの行動を黙認するだろうし、レイレナード陣営はアスピナに手を出す余裕などない。

そもそもBFFが壊滅してインテリオルが離脱している以上、レイレナード陣営の戦力と言うと各地で散発的に活動するしかないBFF残党と防衛用ノーマル、あとは全部ネクストな訳で、仮にレイレナード陣営がアスピナの救援要請に応じてくれたとして、オーメルとレイレナード陣営のアスピナ争奪戦になったら確実にネクスト戦になる訳で結局アスピナは滅ぶんじゃねーのかという話になるし。

あと、今まで説明してきた「アスピナの独立性をオーメルが奪って内部分裂」説以外のシナリオも色々と考えた。が、ジュリアスがリンクス戦争末期に離脱する理由が見当たらなかった。ジュリアスの離脱時期がアナトリア粛清の後であれば、ジョシュアを捨て駒にされた事で内部分裂があったと見れる。しかしアナトリア粛清はリンクス戦争終結後であって末期ではない為、こういう風に考えない限り内部分裂が発生する理由が無いのである。生き残りの為の政治的配慮という可能性は、随分前に排除してしまったしな。




その1:国家解体戦争とネクスト
その2:六大企業とアナトリア
その3:管理経済戦争
その4:リンクス戦争
その5:アスピナの興亡
その6:アナトリア粛清