※本日16時以前に見た人、ちょっと追記がなされておるから注意してくれ
ごきげんよう諸君。いかがお過ごしかな。私はデスクトップPCがお亡くなりになられた為、パソコン環境再構築に四苦八苦しておる。自鯖も立てねばならんし、ゴールデンウィークは土曜日を含めて中日全て授業アリ、京都に行ったら行ったで会社の用事がある上、どこぞの書蔵に潜り込んで論文に必要な史料も集めねばならん、といった具合で全く余裕がない。
そろそろ会社の仕事も真面目にやらんといかんしな。
さて、連続でバイオの話をしてもいいんだが食傷になるといかんから別の話題にしようと思う。あとここんとこゲームの話ばっかりだからゲーム以外にしよう。
そう言えば、一昔前の面接では「尊敬してる人は誰ですか」とか普通に聞いてきたのはこれを読んでる人なら判るだろうが、最近この手の質問は禁じ手になりつつあるらしい。んまぁ会社の面接はどうだか知らんが、少なくとも受験の面接ではやらない事になってきた様だ。日本は思想の自由が認められていることになっておるから、思想信条で落とすとは差別だ、という訳である。
まぁ、実際、私が試験官なら「池田大作先生です」とか言ってきたら問答無用で落とすが、まぁそういうのを後から差別だ何だとか批難されないように予防線を張っているそうだ。基本的には、どういう理由で尊敬しているか聞いて理論構築力とかを見る訳だが、極端な人を挙げる奴もおるからな。
私とか。
私は今行っておる大学の附属校に受験して合格したのだが、受かる受からない以前に願書を出した事さえ忘れてたぐらいであった。既に第一志望の学校に受かっており、入学金も払ってからようやく受験の日が来る、という具合であった為、まぁ卒業旅行ついでに行くか、ってんで行ったら卒業旅行ついでに受かってしまった訳である。
まぁ受かったと言っても一次試験、つまり筆記試験に受かっただけでまだ入学できると決まった訳ではない。二次試験で面接がある訳だ。それを踏まえた上で、「よし、気持ちよく合格したから帰るか」とかいう話になっておったのだが、流石にそれを止める勢力があり(構成人数一人)、二次試験も受けようという話になった。
一応、面接の練習をした事は何度かあったが、第一~第三志望全てに面接が無かった為、ちゃんとした予行演習はやってなかった。好きな本は何ですか、と聞かれたらどう答えるか、という対策を何もやってなかった訳だな。で、その夜の私(と言うか七矢)の会話
私「面接か、何かネタを投下したいな」
父「マッハで蜂の巣にしてやんよいい考えがある」
父「尊敬する人は誰かって聞かれたら
田中角栄と答えるんだ」
まぁ、しかも本当に聞かれて本当に答えちゃった訳だが、教官の頭脳がフリーズしてたな。理由については、列島改造論とロッキード事件のアメリカの陰謀について講釈をたれさせてもらった。ちなみに、好きな本は安能務版三国演義とか最近読んだ本は戦艦武蔵だとか、特に田中角栄だけがネタ投下じゃなかった訳だが、しかしまぁ、なんというか、
何で受かったんだろうな。
で、いつも通り話が逸れたが、私にも尊敬する人はいる。んまぁトマス・アクィナスとかも好きだが、やはり一番になるのはアドルフ・ヒトラーである。理由はいくつかあるが、まず歴史の敗者である事が重要である。尊敬する人と聞かれて答えるのは現在生きている人ではなく歴史上の人物だからな。
歴史の勝者というのは、とかく尾ひれはひれが物凄い勢いでついてしまう。賛美の対象になるし、その人をもって時代や思想を代表させる事も多い。太陽王の時代、とかな。しかしそうであるが故に長所は誇張され短所は隠される傾向がある。ナポレオンだって見事なまでのハゲであり、ナポレオン嫌いのロシア以外では、ナポレオンにはとにかく帽子をかぶせてハゲを誤魔化している。
まぁ、ハゲぐらいなら短所と言っても大したことは無い。女性ホルモンが少なければハゲるのは誰であろうと逆らえないことだからな。しかし、これが森鴎外とかになると深刻になってくる。
森鴎外は文学界に足跡を残した、いわば日本文化の英雄である。しかしながら、こいつがロクでもないDQNである事は疑いない事実である。私がもし閻魔大王だったら、出所不可の無期懲役、懲役はトヨタのライン工の計に処するところである。勿論休日なし、睡眠時間以外は働きっぱなしだ。早晩魂が消滅するだろうな。
まずこいつが犯した罪ってのは、日清日露戦争におけるものである。諸君は脚気という病気を知らんかもしれんが。これは長期間ビタミンなどの栄養素が不足する食事を続けてると発病するもので、まぁ栄養失調の一種と言うのが判りやすい。ただこれ、かかると本気で動けなくなるし場合によっては死ぬ。しかも原因が判るのはかなり後の話だ。
これは日本だけでなく外国でも一時期問題になった。特に各国海軍で。海軍では一ヶ月二ヶ月ぐらいの長期航海など普通のことで、勿論食料だって積める量は限られておる。んでパンみたいなもんばっかり食べてて脚気になる訳だ。特に海軍が強かったイギリス(以前触れたが、日清日露戦争あたりでは世界で二番目と三番目に強い国が連合しても勝てなかった)では頭痛の種であった。
ところが、この解決法をある士官が発見する。何故か、食事の時などにレモンティーを飲んでる奴だけ発病しない事に気付いたのである。んで、統計を取って集計してみたところ、飲んでない奴が発病しないというのは確認できなかったが、飲んでる奴は確かに発病していなかった。これは勿論レモンによる栄養素供給のお陰なのだが、当時は知る由も無い。とにかく何がどうなって脚気になるかは判らんが、脚気根絶こそ急務であり目的だから、全員にレモンティーを飲ませる様になったのだ。
これは、日露戦争の帝国陸軍でも悩むところになった。米ばっかり食べてるから、すぐ脚気になるのである。一方海軍は、まぁイギリス式を採用したからというのもあるが、なるほど確かに発病せんという事で実施しており、故に脚気による戦闘能力の低下、傷病兵の発生はなかった。
ところが、陸軍は何の措置も取らなかった。まぁ完全に何もしなかったという訳ではないのだが、森鴎外は最後に軍医総監になった人で、当時も陸軍の医者の偉い人だった。なんだが、こいつはドイツ留学組である。当時ドイツ医学界では、全ての病気は細菌だとかウィルスだとかが原因だと考えておった。
んで戦地の兵隊が脚気に苦しんでおる訳で、もう理由はどうでもいいから脚気対策こそ急務であるという事になり海軍式脚気対策を導入しようという話になった。実際、独自開発の麦飯導入を準備し、戦地への供給一歩手前までいった。いったのだが、森鴎外はウィルスがレモンティーにやられるのはありえないと猛反対し、この話は立ち消えになった。結果、直接的には脚気によって日本人を苦しめ殺したのである。今ぐぐってみたところによると
ここでも森鴎外は、頑固に麦飯の効果を否定し続け、現場からの要求に応じず、麦を供給しませんでした。その結果、海軍では脚気による死亡患者はほとんどなかったのに対して、陸軍では、日清戦争では 3944人(戦死者は293人)、日露戦争では27800人(戦死者は47000人(この中にも多くの脚気患者がいた))という非常に多くの兵士の命を脚気によって奪う結果となったのです。
だそうである。
また、間接的にみても、脚気で動けなくなった兵隊の分余計に働く事になって戦死した日本人、脚気傷病兵の代わり戦う事になって戦死した日本人、と何人の日本人を殺したか数え切れぬのである。
問題なのは現実に脚気になって苦しんでおる日本人がいるという事であり、それをどうにかするのが医者の仕事である。要は、森鴎外は自らの学説にしがみついて死ねと宣告したということだ。人によって価値観は違うから一般化しては言えないが、私にしてみれば職務を放棄した最低最悪の害悪である。他にも、いわゆるDQNネーム(騎士と書いてナイト君とかな)日本で最初にやったのはこいつだったり、色々と腐ってる事をやっておる。
故に私は森鴎外が大嫌いなのだが、ともかく、こいつは歴史の勝者であり、こういった暗い側面というのは世に出回る事は殆どない。こんな事を知ってるのはごく少数であろう。我が家は竹中半兵衛とか島津義弘だとか言ってパッと判る様な歴史オタ家族だが、知らんかったらしい。
この様に、偉人の悪事や欠点は徹底的に秘匿され隠匿されるのである。
逆に、歴史の敗者は欠点が強調され長所は秘匿される。まぁ、新選組とか例外もあるが、むしろある意味勝者だから別といえよう。戦前は明治政府によって悪人の烙印を押され、その後敗戦で明治政府的思想が歴史の敗者になったから、その逆だった新撰組は勝者になったとも言えなくはないが、何にしてもあんだけちやほやされてりゃ勝ち組であろう。
さて、ヒトラーなどは、その代表である。最近の欧州ではヒトラーの再評価も進んでいると聞くが、やはり、世界征服の野望を抱きドイツを崩壊させた狂人、というイメージが強い。んまぁあの第一次大戦後のスーパーインフレから一流国、欧米列強の一員まで生き返らせた時点でヒトラーが有能なのは確定的に明らかなのだが、私は彼の能力を尊敬している訳ではない。
ヒトラーは政権掌握後、第二次大戦への準備を強化する国防軍の掌握に腐心した。説明すると長くなるから簡単に言うが、ドイツは日本と同じく自分の「なわばり」で自給自足の生活ができない国であった。特に石油が出ないからな。この為、どうにかして自給自足で生きていける様にするには領土拡張戦争するしかない。だから軍事政策は大事なのだ。
しかし、国防軍は新参者兼元伍長のヒトラーの意向を無視しようとする。正直、国防軍に戦争やらせたら一ヶ月で負けてもおかしくないという有様であった。第三帝国がまともに戦争できたのはマンシュタインやらグデーリアンやらのお陰なのだが、国防軍はこいつらに冷や飯食わせておった。ヒトラーがこれら優秀な人材を登用したから戦えたのである。
しかし人材を登用するにしても、実際に職を与えて働かせるのは国防軍である。で、マンシュタインやらに冷や飯食わせてたのは当の国防軍だから、登用したところで結果は見えておる。そんな訳で、ヒトラーは仕方なく、日本風に言えば内閣総理大臣と陸海空軍大臣を兼務することになった。新聞で首相の日誌読んだ事のある奴なら判るだろうが、超絶激務である。日本の海軍の聯合艦隊司令長官も三年やると身体壊すと言われておったが、それ以上に大変である。
んまぁそんな訳で、ヒトラーは軍事全般を指導しなきゃならなくなった。んで、話は下って、StG44という新型の銃が開発された。これは画期的な銃なのだが、弾丸の規格が今までのものとは異なるとかの理由で、ヒトラーは採用を見送っている。
で、しばらくしてから東部戦線で頑張った将軍達に勲章を与える事になり、忙しい中ヒトラーは授与式に出る。んで、ヒトラーが将軍に何か欲しい褒章があるかね、と聞いたら全員口を揃えてStG44を量産しろって言うという事態になった。流石にヒトラーもプッツンきた訳だが、ここからが凄い。彼は頭を冷やした後、StG44の仕様表や製造工程表、試作品の実物などを全部取り寄せて検討した結果、自分の誤りを認めてStG44の量産を指示したのである。
ヒトラーは独裁者である。スターリンよろしくこの将軍どもをシベリア送りみたいな事にする事だってできるし、独裁者である以上、自分の過ちを認めるのは名誉の失墜に繋がる。勿論それは個人的な権威の失墜だが、それを素直に認めたところが素晴らしい。
ヒトラーは、ドイツという国家を代表する者として、認めてはいけないものは絶対に認めなかった。ヒトラーが「駄目だ、この戦争はあかんな」とか言ったら将軍や兵隊から一般人まで全員の心が折れるからな、言わなかった。まぁ春の目覚めはどうかとは思うが、他にもユダヤ人の功績も一切認めなかったし、アーリア人の優性を否定する話も絶対にしなかった。どんなに説得されてもな。
しかし、彼はアドルフ・ヒトラーという個人が認めなければならないものは認めた。それは彼自身の過ちである。確かに、この件は例外のひとつではあるかもしれん。東部戦線も後半に入ると流石のヒトラーも疲れてきて、「こんな馬鹿な命令誰が出したんだ!」と言ったら「お前が出したんじゃボケ」と言われたりもしておる。
しかしこの話において、ヒトラーはドイツという国家の代表者としての自分と、いちドイツ国民としての自分を明確に区別しておる。国民として、ヒトラーという個人として、彼は自らの過ちを率直に認めたのだ。そこが偉いと私は考えておるのである。
公私区別について、一例としてフェーゲラインの件がある。フェーゲラインというのは剣付柏葉受勲の武装親衛隊の勇士である。主に東部戦線で活躍し、ソ連の某師団を司令部ごと捕虜にするというドイツ人らしい変態であると言えよう。んでヒトラーにはエヴァという妻(籍入れてないから愛人だが、事実上の嫁)がいるのだが、その妹とこのフェーゲラインは結婚する。
つまり、ヒトラーにとっての義理の弟という事になる。
第二次大戦末期、首都ベルリンは包囲され総統地下壕の陥落も時間の問題となった時、フェーゲランは無断で外出。出頭命令にも応じず、RSD(特高警察の凄い版みたいなの)が発見したのは愛人の部屋で泥酔する馬鹿で、しかも愛人からはイギリスとハンガリーのパスポートが、彼のスーツケースからは多額の外貨が出てきて、どうみても国外逃亡ですとなって死刑になった。
この時、ヒトラーの妻エヴァは必死になって翻意させようと試みている。もうこの国は終わるのだから、わざわざ死刑にしなくてもいいではないか、とな。しかし、ヒトラーはこういう時だからこそ、法治国家の首長として、国家権力の恣意的な利用は許されないとして、義理の弟の死刑を決定した。ヒトラーにとって苦渋の決断だったかは判らないが、彼の死まで連れ添ったエヴァの願いを拒否するというのは相当な決意だった事は間違いなかろう。
アドルフ・ヒトラーといういちドイツ国民に、ヒトラーという個人にとって大事な家族を、ドイツという国家の代表者として死刑を命じたのである。私はこれを高く評価しているのだ。
そんな訳で、私の尊敬する人はヒトラーである。パレスチナ問題ではイスラエル支持者だがな。
…しかし、ネタ記事が書けなくなったな、私。
ごきげんよう諸君。いかがお過ごしかな。私はデスクトップPCがお亡くなりになられた為、パソコン環境再構築に四苦八苦しておる。自鯖も立てねばならんし、ゴールデンウィークは土曜日を含めて中日全て授業アリ、京都に行ったら行ったで会社の用事がある上、どこぞの書蔵に潜り込んで論文に必要な史料も集めねばならん、といった具合で全く余裕がない。
そろそろ会社の仕事も真面目にやらんといかんしな。
さて、連続でバイオの話をしてもいいんだが食傷になるといかんから別の話題にしようと思う。あとここんとこゲームの話ばっかりだからゲーム以外にしよう。
そう言えば、一昔前の面接では「尊敬してる人は誰ですか」とか普通に聞いてきたのはこれを読んでる人なら判るだろうが、最近この手の質問は禁じ手になりつつあるらしい。んまぁ会社の面接はどうだか知らんが、少なくとも受験の面接ではやらない事になってきた様だ。日本は思想の自由が認められていることになっておるから、思想信条で落とすとは差別だ、という訳である。
まぁ、実際、私が試験官なら「池田大作先生です」とか言ってきたら問答無用で落とすが、まぁそういうのを後から差別だ何だとか批難されないように予防線を張っているそうだ。基本的には、どういう理由で尊敬しているか聞いて理論構築力とかを見る訳だが、極端な人を挙げる奴もおるからな。
私とか。
私は今行っておる大学の附属校に受験して合格したのだが、受かる受からない以前に願書を出した事さえ忘れてたぐらいであった。既に第一志望の学校に受かっており、入学金も払ってからようやく受験の日が来る、という具合であった為、まぁ卒業旅行ついでに行くか、ってんで行ったら卒業旅行ついでに受かってしまった訳である。
まぁ受かったと言っても一次試験、つまり筆記試験に受かっただけでまだ入学できると決まった訳ではない。二次試験で面接がある訳だ。それを踏まえた上で、「よし、気持ちよく合格したから帰るか」とかいう話になっておったのだが、流石にそれを止める勢力があり(構成人数一人)、二次試験も受けようという話になった。
一応、面接の練習をした事は何度かあったが、第一~第三志望全てに面接が無かった為、ちゃんとした予行演習はやってなかった。好きな本は何ですか、と聞かれたらどう答えるか、という対策を何もやってなかった訳だな。で、その夜の私(と言うか七矢)の会話
私「面接か、何かネタを投下したいな」
父「
父「尊敬する人は誰かって聞かれたら
田中角栄と答えるんだ」
まぁ、しかも本当に聞かれて本当に答えちゃった訳だが、教官の頭脳がフリーズしてたな。理由については、列島改造論とロッキード事件のアメリカの陰謀について講釈をたれさせてもらった。ちなみに、好きな本は安能務版三国演義とか最近読んだ本は戦艦武蔵だとか、特に田中角栄だけがネタ投下じゃなかった訳だが、しかしまぁ、なんというか、
何で受かったんだろうな。
で、いつも通り話が逸れたが、私にも尊敬する人はいる。んまぁトマス・アクィナスとかも好きだが、やはり一番になるのはアドルフ・ヒトラーである。理由はいくつかあるが、まず歴史の敗者である事が重要である。尊敬する人と聞かれて答えるのは現在生きている人ではなく歴史上の人物だからな。
歴史の勝者というのは、とかく尾ひれはひれが物凄い勢いでついてしまう。賛美の対象になるし、その人をもって時代や思想を代表させる事も多い。太陽王の時代、とかな。しかしそうであるが故に長所は誇張され短所は隠される傾向がある。ナポレオンだって見事なまでのハゲであり、ナポレオン嫌いのロシア以外では、ナポレオンにはとにかく帽子をかぶせてハゲを誤魔化している。
まぁ、ハゲぐらいなら短所と言っても大したことは無い。女性ホルモンが少なければハゲるのは誰であろうと逆らえないことだからな。しかし、これが森鴎外とかになると深刻になってくる。
森鴎外は文学界に足跡を残した、いわば日本文化の英雄である。しかしながら、こいつがロクでもないDQNである事は疑いない事実である。私がもし閻魔大王だったら、出所不可の無期懲役、懲役はトヨタのライン工の計に処するところである。勿論休日なし、睡眠時間以外は働きっぱなしだ。早晩魂が消滅するだろうな。
まずこいつが犯した罪ってのは、日清日露戦争におけるものである。諸君は脚気という病気を知らんかもしれんが。これは長期間ビタミンなどの栄養素が不足する食事を続けてると発病するもので、まぁ栄養失調の一種と言うのが判りやすい。ただこれ、かかると本気で動けなくなるし場合によっては死ぬ。しかも原因が判るのはかなり後の話だ。
これは日本だけでなく外国でも一時期問題になった。特に各国海軍で。海軍では一ヶ月二ヶ月ぐらいの長期航海など普通のことで、勿論食料だって積める量は限られておる。んでパンみたいなもんばっかり食べてて脚気になる訳だ。特に海軍が強かったイギリス(以前触れたが、日清日露戦争あたりでは世界で二番目と三番目に強い国が連合しても勝てなかった)では頭痛の種であった。
ところが、この解決法をある士官が発見する。何故か、食事の時などにレモンティーを飲んでる奴だけ発病しない事に気付いたのである。んで、統計を取って集計してみたところ、飲んでない奴が発病しないというのは確認できなかったが、飲んでる奴は確かに発病していなかった。これは勿論レモンによる栄養素供給のお陰なのだが、当時は知る由も無い。とにかく何がどうなって脚気になるかは判らんが、脚気根絶こそ急務であり目的だから、全員にレモンティーを飲ませる様になったのだ。
これは、日露戦争の帝国陸軍でも悩むところになった。米ばっかり食べてるから、すぐ脚気になるのである。一方海軍は、まぁイギリス式を採用したからというのもあるが、なるほど確かに発病せんという事で実施しており、故に脚気による戦闘能力の低下、傷病兵の発生はなかった。
ところが、陸軍は何の措置も取らなかった。まぁ完全に何もしなかったという訳ではないのだが、森鴎外は最後に軍医総監になった人で、当時も陸軍の医者の偉い人だった。なんだが、こいつはドイツ留学組である。当時ドイツ医学界では、全ての病気は細菌だとかウィルスだとかが原因だと考えておった。
んで戦地の兵隊が脚気に苦しんでおる訳で、もう理由はどうでもいいから脚気対策こそ急務であるという事になり海軍式脚気対策を導入しようという話になった。実際、独自開発の麦飯導入を準備し、戦地への供給一歩手前までいった。いったのだが、森鴎外はウィルスがレモンティーにやられるのはありえないと猛反対し、この話は立ち消えになった。結果、直接的には脚気によって日本人を苦しめ殺したのである。今ぐぐってみたところによると
ここでも森鴎外は、頑固に麦飯の効果を否定し続け、現場からの要求に応じず、麦を供給しませんでした。その結果、海軍では脚気による死亡患者はほとんどなかったのに対して、陸軍では、日清戦争では 3944人(戦死者は293人)、日露戦争では27800人(戦死者は47000人(この中にも多くの脚気患者がいた))という非常に多くの兵士の命を脚気によって奪う結果となったのです。
だそうである。
また、間接的にみても、脚気で動けなくなった兵隊の分余計に働く事になって戦死した日本人、脚気傷病兵の代わり戦う事になって戦死した日本人、と何人の日本人を殺したか数え切れぬのである。
問題なのは現実に脚気になって苦しんでおる日本人がいるという事であり、それをどうにかするのが医者の仕事である。要は、森鴎外は自らの学説にしがみついて死ねと宣告したということだ。人によって価値観は違うから一般化しては言えないが、私にしてみれば職務を放棄した最低最悪の害悪である。他にも、いわゆるDQNネーム(騎士と書いてナイト君とかな)日本で最初にやったのはこいつだったり、色々と腐ってる事をやっておる。
故に私は森鴎外が大嫌いなのだが、ともかく、こいつは歴史の勝者であり、こういった暗い側面というのは世に出回る事は殆どない。こんな事を知ってるのはごく少数であろう。我が家は竹中半兵衛とか島津義弘だとか言ってパッと判る様な歴史オタ家族だが、知らんかったらしい。
この様に、偉人の悪事や欠点は徹底的に秘匿され隠匿されるのである。
逆に、歴史の敗者は欠点が強調され長所は秘匿される。まぁ、新選組とか例外もあるが、むしろある意味勝者だから別といえよう。戦前は明治政府によって悪人の烙印を押され、その後敗戦で明治政府的思想が歴史の敗者になったから、その逆だった新撰組は勝者になったとも言えなくはないが、何にしてもあんだけちやほやされてりゃ勝ち組であろう。
さて、ヒトラーなどは、その代表である。最近の欧州ではヒトラーの再評価も進んでいると聞くが、やはり、世界征服の野望を抱きドイツを崩壊させた狂人、というイメージが強い。んまぁあの第一次大戦後のスーパーインフレから一流国、欧米列強の一員まで生き返らせた時点でヒトラーが有能なのは確定的に明らかなのだが、私は彼の能力を尊敬している訳ではない。
ヒトラーは政権掌握後、第二次大戦への準備を強化する国防軍の掌握に腐心した。説明すると長くなるから簡単に言うが、ドイツは日本と同じく自分の「なわばり」で自給自足の生活ができない国であった。特に石油が出ないからな。この為、どうにかして自給自足で生きていける様にするには領土拡張戦争するしかない。だから軍事政策は大事なのだ。
しかし、国防軍は新参者兼元伍長のヒトラーの意向を無視しようとする。正直、国防軍に戦争やらせたら一ヶ月で負けてもおかしくないという有様であった。第三帝国がまともに戦争できたのはマンシュタインやらグデーリアンやらのお陰なのだが、国防軍はこいつらに冷や飯食わせておった。ヒトラーがこれら優秀な人材を登用したから戦えたのである。
しかし人材を登用するにしても、実際に職を与えて働かせるのは国防軍である。で、マンシュタインやらに冷や飯食わせてたのは当の国防軍だから、登用したところで結果は見えておる。そんな訳で、ヒトラーは仕方なく、日本風に言えば内閣総理大臣と陸海空軍大臣を兼務することになった。新聞で首相の日誌読んだ事のある奴なら判るだろうが、超絶激務である。日本の海軍の聯合艦隊司令長官も三年やると身体壊すと言われておったが、それ以上に大変である。
んまぁそんな訳で、ヒトラーは軍事全般を指導しなきゃならなくなった。んで、話は下って、StG44という新型の銃が開発された。これは画期的な銃なのだが、弾丸の規格が今までのものとは異なるとかの理由で、ヒトラーは採用を見送っている。
で、しばらくしてから東部戦線で頑張った将軍達に勲章を与える事になり、忙しい中ヒトラーは授与式に出る。んで、ヒトラーが将軍に何か欲しい褒章があるかね、と聞いたら全員口を揃えてStG44を量産しろって言うという事態になった。流石にヒトラーもプッツンきた訳だが、ここからが凄い。彼は頭を冷やした後、StG44の仕様表や製造工程表、試作品の実物などを全部取り寄せて検討した結果、自分の誤りを認めてStG44の量産を指示したのである。
ヒトラーは独裁者である。スターリンよろしくこの将軍どもをシベリア送りみたいな事にする事だってできるし、独裁者である以上、自分の過ちを認めるのは名誉の失墜に繋がる。勿論それは個人的な権威の失墜だが、それを素直に認めたところが素晴らしい。
ヒトラーは、ドイツという国家を代表する者として、認めてはいけないものは絶対に認めなかった。ヒトラーが「駄目だ、この戦争はあかんな」とか言ったら将軍や兵隊から一般人まで全員の心が折れるからな、言わなかった。まぁ春の目覚めはどうかとは思うが、他にもユダヤ人の功績も一切認めなかったし、アーリア人の優性を否定する話も絶対にしなかった。どんなに説得されてもな。
しかし、彼はアドルフ・ヒトラーという個人が認めなければならないものは認めた。それは彼自身の過ちである。確かに、この件は例外のひとつではあるかもしれん。東部戦線も後半に入ると流石のヒトラーも疲れてきて、「こんな馬鹿な命令誰が出したんだ!」と言ったら「お前が出したんじゃボケ」と言われたりもしておる。
しかしこの話において、ヒトラーはドイツという国家の代表者としての自分と、いちドイツ国民としての自分を明確に区別しておる。国民として、ヒトラーという個人として、彼は自らの過ちを率直に認めたのだ。そこが偉いと私は考えておるのである。
公私区別について、一例としてフェーゲラインの件がある。フェーゲラインというのは剣付柏葉受勲の武装親衛隊の勇士である。主に東部戦線で活躍し、ソ連の某師団を司令部ごと捕虜にするというドイツ人らしい変態であると言えよう。んでヒトラーにはエヴァという妻(籍入れてないから愛人だが、事実上の嫁)がいるのだが、その妹とこのフェーゲラインは結婚する。
つまり、ヒトラーにとっての義理の弟という事になる。
第二次大戦末期、首都ベルリンは包囲され総統地下壕の陥落も時間の問題となった時、フェーゲランは無断で外出。出頭命令にも応じず、RSD(特高警察の凄い版みたいなの)が発見したのは愛人の部屋で泥酔する馬鹿で、しかも愛人からはイギリスとハンガリーのパスポートが、彼のスーツケースからは多額の外貨が出てきて、どうみても国外逃亡ですとなって死刑になった。
この時、ヒトラーの妻エヴァは必死になって翻意させようと試みている。もうこの国は終わるのだから、わざわざ死刑にしなくてもいいではないか、とな。しかし、ヒトラーはこういう時だからこそ、法治国家の首長として、国家権力の恣意的な利用は許されないとして、義理の弟の死刑を決定した。ヒトラーにとって苦渋の決断だったかは判らないが、彼の死まで連れ添ったエヴァの願いを拒否するというのは相当な決意だった事は間違いなかろう。
アドルフ・ヒトラーといういちドイツ国民に、ヒトラーという個人にとって大事な家族を、ドイツという国家の代表者として死刑を命じたのである。私はこれを高く評価しているのだ。
そんな訳で、私の尊敬する人はヒトラーである。パレスチナ問題ではイスラエル支持者だがな。
…しかし、ネタ記事が書けなくなったな、私。