壁際椿事の「あるくみるきく」

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『日本テレビとCIA』(有馬哲夫著)を読んだ

2014年01月22日 | よむ

日本テレビは、正式には、日本テレビ放送網株式会社という。

なぜ、放送「網」か。

『日本テレビとCIA』(有馬哲夫著)を読みました。副題は「発掘された正力ファイル」

なぜか。それは、テレビ創設当時、日本を反共の防波堤にするべく、アメリカが宣伝によって日本国民を洗脳する方策として、テレビを利用しようとしたからです。テレビだけでなく通信を含め、広く電波を扱う組織を作ろうとした。だから「放送網」なのだそうです。

日テレは、公共放送のNHKに続いて、日本の民間放送局で初めてテレビ放送を始めた局です。設立に当たっては、陰に日に、アメリカ政府(CIAとか大物議員とか)の支援があったようです。当時のアメリカには、日本の電波放送に関して、HNKはラジオ専門局にし、テレビは民放だけに任せようという考えもあったそうです。

著者は序章で、「これは特定の関係者や企業、機関を責めれば済むという問題ではないことだ。(中略)企業、機関についていえばそこに働く人々や体制も多くの場合、変わってしまっている。」としています。いまの日テレがどうか?という問題ではないのです。

が、それにしても、昭和史の暗部が示された好著でした。

著者の有馬氏は早稲田大の先生。アメリカの公文書を調べ「正力ファイル」を発掘し、本書を著されました。

なお蛇足ですが(日米の違いはありますが)特定秘密保護法によって公文書が表に出ることがなくなれば、このような力作が生まれることがなくなるかもしれません。残念なことです。


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