春日大社、東大寺、興福寺の三社寺を幻想的な「光の回廊」で繋いで、美しく神秘的な
瑠璃絵の世界に誘うという。
それぞれの社寺で参加者一人ひとりの合掌が、数々の祈りとなってどんどん膨らんで
大きな平和の祈りになって世界に届きますように・・・いつまでも瑠璃色の星が美しく輝く
ようにとの願いを込めて 2月8日~14日の間開催されているのが
~しあわせ回廊~ なら瑠璃絵
連休に入る前、大和盆地が大雪に見舞われる前の10日に行ってきました。
奈良公園内の浮き御堂のすぐ上の浅茅が原にある片岡梅林の梅は、翌日に積る雪を
知ってか知らずか「まだ早いよね?」と言っているようだった。
国立美術館の裏を通る春日大社の参道の雪洞に灯かりが燈りだした頃、空気は凛と
冷えてきた。
やがて訪れる帳を目前にした薄暮の参道で、ボランティアの人たちによる石灯籠の
点灯が始まった。
17時で一度閉門した春日大社が18時には再び開門し、巫女の案内で境内の
特別拝観と万灯篭へ。
一つ一つに願いが籠められていた。
春日大社で手をあわせた後、浮雲園地会場方面へと歩みを進めた頃には既に
空は闇と化し、明日の夜明けに一歩ずつ近づく暗示となる。
新公会堂へ近づくにつれてチラチラと青い灯かりが煌めいているのに気付く。
CO2を排出しない電動シャトルバスがすぐ横を音も静かに通り過ぎた。
新公会堂の正面は人々を吸い寄せる如く進路を照らしている。
裏手に山焼きを先月に終えて新芽を育もうとする若草山を控えた
雄大な日本庭園では冬七夕ツリー(願いの花たんざく)が迎えてくれた。
1枚100円の訪問者の願いが書き込まれた花短冊が次々と付けられて行く。
園内を巡ると様々な色と形のイルミネーションに魅せられて行く。
気が付けば興福寺をスタートしてからほぼ2時間が過ぎようとしている19時。
日本各地にある万葉植物園で最古の春日大社春日大社 萬葉植物園(神苑)の
無料開放(通常500円)時間だ。
冬と言うことで花開く草木もほとんど無いにしろ、万葉集に歌われているものが
収められている道を進んだ。
奥にある池の浮き舞台に刻々と色の変わる瑠璃色の照明が当たり、古式縁しい
装束を身に纏った三人の演奏者が照らし出され、優雅な雅楽が奏でられ始めた。
寒さを忘れて聞き入ってしまったが、身体の奥底から湧き上がってくる感動は
熱かった。
この瑠璃舞台は9日10日限定の演奏だったと後から聞いた。
寄り道をしてこんなに良かったと思ったことがそんなにあっただろうか。
若草山の山焼き(1月第三土曜・雨天の場合は第四土曜に順延)から、平城に
春を告げるお水取りの間の新たなイベントとなりそうだ。
もう一度興福寺へ戻り、登大路の駐車場に向かう足取りは軽かった。