日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

アサヒ傘下の和光堂、粉ミルクを増産 低価格攻勢

2009-03-24 | 中国経済関連
本日の日経のニュースですが、和光堂はこの少子化時代に粉ミルクの増産体制に入るとの事。日本の市場だけ見ているとある意味驚きですが、中国に居る身としては、凄いなあと思わされます。アサヒビールの経営陣って非常にアグレッシブで有能なのかと思わされます。

 日本も不況ですし、粉ミルクユーザーといえばおそらく20台後半から30台前半の親が対象になります。現在の環境では必需品であるミルクに対しても低価格志向が強まるのは有る意味論理的ではあります。

 一方、何度か当ブログでご紹介していますが、和光堂の粉ミルクは現在中国でも販売されています。明治乳業が日本およびオーストラリアで製造しながら、ミルクパウダーを中国に持ち込んだ後に中国市場向けにパッケージを製罐して販売しているのに対し、完全に日本市場向けの製品を中国市場に持ち込んでいるのですが、価格的には日本の倍の1缶300元(4500円)と、超高級品扱いになっています。参考までに明治の中国市場向け商品は170-210元です。

 この為、誰がこんな高いものを買うのかと正直思っていましたし、店頭(久光等の一流百貨店内や日系スーパーにおいてある)での売れ行きに関してはそれほど多いとは思えません。しかしながら、淘宝の上での販売量は急激に増加しているようで、我々のお客様からも和光堂のミルクの取り扱いを求められるようになってきています。

 中国国内では、広告表示価格は上記のとおり300元であり、おいてあるのは高めの一流百貨店に限られる為に、日本での評価を知らない中国人はてっきり高級品だと勘違いしているのです。

 そして、ネット(淘宝)の販売価格は日本での小売価格にスライドしていますので(多くの売り手が小売で購入して中国に送って販売している)、明治や森永等の同じ日本市場向けパッケージ製品より安く手に入る。その為にネットで買う時のお得感が競合製品より強いようなんです。

 実は和光堂は、ベビーフードも大連に有る代理店を経由して正規輸入販売していますが、店頭価格は日本で200円のものが30元(450円)、250円のものが50元(750円)とべらぼうな価格になっているのですが、こちらは実際に買うお客さんを見ることも有りますし、同じく淘宝の上でも相当数が販売されています。

 淘宝(タオバオ)に関して、並行輸入の為に市場を荒らされるという悩みを日系企業の方が漏らす事がよく有ります。一方一部の方が淘宝を逆に取り込んだマーケティングをしたらどうかという発言をされているのを見たことがありますが、アサヒ=和光堂はどうやらその選択をしたようですね。

 メーカーさんから見た場合、日本での卸価格が彼らの売上になりますので、輸出した場合も国内で販売した場合も実際の売上は変わりません。売上の発生地点が国内か海外かだけの問題にしかすぎません。コンプライアンスの関係で、食品を中国に販売する時に本来行うべき品質検査や関税に関しても、自社が直接タッチしておらず第三者が是を行うのであれば非難される事もあまりないでしょう。また、多くの粉ミルクが香港経由で中国国内に入っていますが、日本から香港までに関しては、香港では特に規制はありませんので、コンプラ上も問題なしと言えるでしょう。

 昨年9月の中国のメラミン事件以降、多くの中国人が日本で明治や森永の粉ミルクを買占めに入り、明治と森永の2メーカーはそれを阻止しようと躍起になっていました。小売価格も品不足の影響も有りあがっています。一方和光堂さんはその時期低価格攻勢を仕掛け、中国向けに卸している業者へも積極的に販売をしていました。

 我々自体は粉ミルク自体に関しては取扱量を減らそうとしているので、今後扱うかどうかは別にして、縮小する日本のベビー市場で増産体制を構築するという事は、おそらく中国を含めた海外にそのまま直接輸出する方法を積極的に取っていくのだと思われます。

 アサヒは牛乳も中国で製造販売を昨年11月に開始しており、その中国市場向けの姿勢は注目されますね。


以下記事:
アサヒ傘下の和光堂、粉ミルクを増産 低価格攻勢

 アサヒビール傘下の食品メーカー、和光堂は乳幼児用の粉ミルクの生産能力を3割拡大する。60億円を投じて栃木工場(栃木県さくら市)内に新棟を建設、 2011年初めにも稼働させる。他の大手に比べ割安な同社製品の販売が拡大していることに対応する。少子化で同市場は縮小傾向にあるが、増産投資によりシェアを拡大。節約志向を強める消費者向けに低価格品攻勢で訴える。

 新しい工場棟の床面積は約7000平方メートル。09年8月に着工、10年中の完成を目指す。無菌充てんラインなど最新の設備を導入する。栃木工場は和光堂唯一の粉ミルク工場で現在の生産能力は年間5600トン。完成と同時に粉ミルク生産を新棟に全面移管し、年産能力を33%増の7500トンに引き上げる。(07:00)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090324AT1D2307123032009.html
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