日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

のらくろという漫画をご存知ですか?

2017-06-28 | 中国経済関連
のらくろ上等兵 (1969年)

ある程度年配の方しか知らないと思うけど、のらくろ。

先日実家に帰った時に子供の頃かったのが7冊あり、息子が興味を示したので持ち帰ったうえに、かけていた3冊に続編5冊をアマゾンで買って眺めてみた。戦後書かれた続編の単行本が糞高いのですが。

僕が持っていたのは昭和44年刊なので、小学校の4-5年の頃に見たのかな?何がきっかけでこの漫画を読みだしたのかは記憶がないのですが、当時はて気に入ったので実家に残っている唯一の漫画だった。その頃の値段で680円していますので安くはない。小遣いをはたいて買っていたんだと思います。おっちょこちょいでかわいいキャラのの野良犬が軍隊でどんどん出世していく成功談ですね。

 

全10巻のうち、7巻くらいまでは結構純粋に子供向けの内容で,サルや河童、カエルとの戦いはあるけど、まぁかわいいかなという感じ。昔の言葉使いなので読みにくいけど、別に息子が見てもいいんじゃないのかな。8-9巻は原本の発売時期が昭和12年以降なので、明らかに日中戦争を背景にしている。

クマ(ロシアだろうな)にそそのかされた豚の国(中国)が羊の国(満州)を遅い、そこに犬が羊の保護から豚と戦ってかつという。古いなりにギャグが一杯で、トンカツ将軍って蒋介石の事なのかなと思いながら見ていたけど。豚京城とか3つ落とすけどそのあとのちょうちん行列とか南京陥落あたりでこうだったんだろうね。


戦後編は昭和33年から56年ころまで続いていたんだ。サルとの戦争で合意して軍隊は解散、色々転職しながら最後に結婚するまで。確かに子供の頃丸という雑誌で見たことはある。でも自分が生きてきた軍隊が無くなり、色々な職業に就くけれど失敗ばかりでなかなかうまくいかない。連隊長や中隊長は社長や議員になってそこそこの社会的地位を得ている。元部下が経団連の理事になったり、プロレスのスターになっている。のらくろ自体は無事に喫茶店のオ-ナ-になり、好きな雌犬と無事結婚するというところで大団円になるんですが、これも元軍人の戦後の苦労を表しているのでしょうね。作者の田河先生もいろいろ思う事がありながら書かれたのじゃないでしょうか、決して楽しい話とは言えないです。

 

 中国がらみの仕事をしていますと、どうしても旧日中戦争や太平洋戦争に関する話題が出てきます。日本が過去中国や韓国で何をしてきたのか、悪い事ばかりだったのか、それともよいこともしたのか。まぁよく見えないことも多いのが実態だと思います。こののらくろが少年画報に掲載されたのは昭和6年から16年。満州事変の起きた年から、太平洋戦争が始まる直前まで。子供向けの漫画ですので、どこまで政治的意図があったのかは疑問ですし、内容的に軍隊、特に帝国陸軍をほめたたえるような内容でありながら軍部からは反感を受けていたという。今なら十分に愛国教育とか軍事教育っていうカテゴリーに入っちゃうと思うのですけど。
 

 日中戦争開始後になると、やたら節約、ぜいたくは敵だ、お金は軍備に充てようとか、兵隊さんへ慰問袋を送ろうとか、後方支援色が強くなっている。既に日本は経済的に厳しい状態だったことがうかがわれる。一方で、動物に戯画されている他国に、アメリカとかイギリスは見当たらない。あくまでも本当の敵はクマ=ロシアというところが見えて、日清以来の日本の仮想敵国はロシアだったのにと思わされます。台湾が出てこないのに、朝鮮が同じ犬というのが少し興味深いところです。多分に二等国民扱いをしていたのだろうと思いますが。当時はアジアに対しては日本が保護しないと全部欧米の植民地にされてしまう、そういう意志が強かったのでしょうね。まぁ実態としてもそうだったと思いますが。

 最後の刊はのらくろが満州に行って鉱山開発をするんだけど、これまた若い子は大陸に行かなきゃって結構あおっている。で、豚、羊,ヤギ(モンゴルかな)、なんと朝鮮は同じ犬で完全な同胞として位置づけられている。5族協和をこういう風に描いていたんだね。その後の悲劇を考えると、こののらくろを見て満州に行った子がいたとしたら。。

 

 でまぁ、この漫画昭和16年の秋に軍部の指導で終わっているんだよね。今の感覚だとどう見たって戦争あおっている面もあり(言葉としては、平和を愛し戦争はすべきではないというところがでてくるが)、かなり軍国主義教育的な色彩が見られるんだけど。それですら甘いという時代に入ってしまったのか。

 

 戦前の日本がどういう国だったか、当時の子供漫画を見ても色々と見えるところがあります。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
講談社
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