日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

中国のアフィリエイト広告は宝の山

2010-06-29 | 中国EC事情・淘宝
ご紹介が遅くなりましたが、日系企業で唯一の在上海ネット広告代理店アドウェイズの清水総経理の、中国ネット広告事情の記事がダイヤモンドに掲載されています。今月からビジネス系は有料ブログに移管したのでそっちにと思ったのですが、面白くもありこちらでご紹介します。

・アドウェイズは、2003年12月にオフショア開発を目的に上海に進出。その翌年、2004年4月に清水氏が赴任したのをきっかけにネット広告事業を始めた。

・当時の中国のネット広告は純抗告主体でアフィリエートは無かった。そこで2005年からアフィリエートサービスを展開。当時はサービスの概念から顧客に説明する必要があったが、順調に業績を伸ばし、クライアントの7割が中国企業で、日系は2割しかない。

・ネット広告のトレンドは、当初は日本が2年は進んでいたが、今はアメリカから直接中国に入るために日本より早い場合もある。一例としてSNSゲームの「開心牧場」(日本のサンシャイン牧場。中国のサラリーマンの大半が参加しているといわれ、内のスタッフも昼休みに遊んでいます。)があり、中国から日本に進出した。

・中国のネット広告は、純広告、リスティング広告、アフィリエイト広告の3つが主流。「土豆網」「優酷網」など、中国のネットユーザーの8割以上が利用していると言われている動画広告が増えているのも特徴。

・ブログよりBBSが主流の中国では、BBS上で口コミを喚起するということも盛んに行なわれている。

・「人人網」「開心網」といったSNSや、地図検索と連動して広告を表示する丁丁网(www.ddmap.com)、やウィジット(ニュース、メールなどユーザーが必要な情報が常時更新されるウィンドウ)なども新しいネット広告メディアとして注目を集めている。

・ネット広告市場としては、日本の市場規模は約7000億円に対し、中国は約3000億円と言われている。但し、日本の7000億円の中には媒体費用だけでなく、広告制作費も含まれているので、実質的には中国はすでに日本の半分以上の市場規模があるだろう。また、モバイル広告が未成熟なために、今後は中国が日本を抜く日もそう遠くはないと思う

アフィリエイトは、広告を載せた時点ではなく、その後に発生する成果に応じて課金される成功報酬型の広告ですので、中国人の志向に合った広告だと思う。アフィリエイト広告事業では、顧客にいかに多くのメディアオプションを提供できるか、いかに顧客ニーズに合う効果的なメディアミックスを提供できるかが勝負となる。但し、日本以上にネットメディアが多く(約300万サイト以上と言われる)、アフィリエート先も法人、個人が混合しており、かつ新しいメディアが出てくるので、新しいメディアの開拓などはかなり大変。

 弊社では、顧客営業と同じ規模のリソースを、メディア営業にも投入しているが、この手間が参入障壁にもなっていると思う。

・顧客が広告を出す目的は、「ブランディング(ブランド認知)」と「販売促進」の2つに集約されます。実際に顧客の商売に直接つながるのは「販売促進」の方ですが、「ブランディング」を疎かにすると、世界の強豪がひしめく中国ではうまくいきません。

 広告単価が日本と同等以上となる中国の場合、ゼロからブランディングを行なうためには、(感覚的な数字だが)少なくとも毎月1000万円、年間1 億2000万円くらいカネを使わなければ、成功はおぼつかないでしょう。

 例として、アドウェイズ社の顧客である
・中国B2CNo1の「京東商城」: エレベーターの動画広告やバスラッピングなどのマスメディアを有効に使ってブランディングを行ない、それにプラスする形で弊社のアフィリエイト広告で売り上げを稼いでいます。

・日経に紹介された、洋服専業ネットNo1noVancl: ブランド認知のための純広告とアフィリエイト広告の両方に、おカネをかけています(確か年間60億円ですか)。

・中国のネット広告で、日本とは違う特色として、地域性がある。中国は広いので、ターゲットを上海だけ、北京だけというように一部の地域に絞るのが特徴。
もう1つは、日本と比べて、中国はまだまだネット接続のスピードが遅い為、開くのに30秒もかかってユーザーに見てもらえないフラッシュのカッコいいサイトよりも、テキストだけでもストレスなく見れるサイトの方が、今の中国には合っている。

・中国のモバイルネットユーザー比率は、20%程度と言われており、携帯広告はまだこれから。上海などの大都市では、日本と同じように地下鉄、バスで通勤する習慣がありますので、3Gモバイル通信が本格化する今後は、モバイルでネットを利用する人は増えてくるはずです。

・中国法人の運営ですが、現在社員は68名。半分が新卒。日本本社が社長の方針で家族主義な企業を作るという文化を持っており、中国でも同様に経営している。4半期に一度、全社員が参加する運動会などのイベントを開催したり、社員の誕生日のお祝いに自社デザイナーがデザインしたTシャツをプレゼントしたり、毎朝の朝礼で同僚のよいところを褒め合うなどの活動も行なっています。
http://diamond.jp/articles/-/8285

 清水さんはアドウェイズに入社してからかなり早い段階で上海に一人で放り込まれたと伺いました、まだ若いのですが謙虚な人で、でもしっかりとした方で、ネット関連とはいえ広告系に強くない私にとっては色々教えてもらう先生の一人でもあります。

 記事に記されていますが、
・5年前は日本の方が進んでいたネット広告も、今では中国の方が先行する場合がある(ネット広告だけに限らないです。特にサービス産業に関しては。この辺日本企業の勘違いがはなはだしい分野かな)。

・広告投資額が結構かかる。日本である程度認知されていても中国で認知度がゼロなら、ゼロからのブランディングがいる(中小企業には敷居が高いですが、これも勘違い企業が多い分野です)。
 広告費の概念ですが、付け加えるとリアル店舗での商品の露出も広告費の一環として考える必要がある。

・サイト構築の注意点やBBSの有効性は過去ブログでもコメントしていますが、専門家が見ても同じですね。これも実際に中国国内に拠点を置かないとその重要性が見えないのでしょう。日本から中国向けのサービスはいい加減な物も散見します。

・アフィリエートは実際にそのようなんですね。単にアフィリ広告として使うだけではないアフィリ先の使い方もあり、それで成功しているサイトもあります。僕らもタオバオ内で試行錯誤中ですが、手間はかかるけど重要な分野です。唯、サイトと商品のブランド次第ですが、結構とられるんですよね。しょうがないですが。。

・家族経営はよさげですね。会社に伺ったらボーリングやバトミントン大会のトーナメント表が掲げられていました。昔いたコンサル会社でも、一度そういう活動した事ありますが、結構社員旅行とか好きですしね(組織に対する考え方次第で態度は異なりますけど)。
 
・日本企業で中国ネット広告に進出した企業は結構、中国企業を買収するという形で入ったところがあるのですが苦戦しているみたいです。やっぱり日本人はこういう形でゼロから自分で立ち上げる方が良いのでしょうね。顧客の7割が中国系という企業は実は非常に少ないはずなんです。日系のサービス産業の多くは、日本企業からの課金だけをしているので、実は実際には中国の事何も知らない会社が多いんですね(法律や会計などの表面の制度はしっている。でも運用面で実はその辺をどう逃げているかとか、ちょっとやばいけど実戦的な方法)。そしてこういう会社のフィードバックを受けても、結局表面しか見えないからよく市場がわからないという事になるのですね。その点では、アドウェイズには強みがあり、実は私もネタを拾いに行かせてもらっている唯一の日系企業です(他にも元日本企業とかで面白いところがあります)。

 彼らの競合は百度と書いていますが、まぁ同業だと台湾系、今後は進歩する中国系とかになるのでしょうね。日本企業向け支援にとどまらず今後も頑張ってほしい企業です。

 アドウェイズさんを含む広告関連(ネットに限らず)に関しては、広告費が高いという声も実は聞いています。当然中小企業さんの意見なんですよね。年間1億というと敷居は高いですね。でもこれはネットだけじゃなくメデイァ広告を含めてと考えればこんな物は必要でしょう。こういう中小企業に対するブランディングやプロモーションをどうするかが今の上海では穴の分野かとも思います。でも。。お金が無ければブランディングができないというのは反面事実で、その場合。

・地方都市からはじめる。広告代は同じだが、実店舗を何件か構えて、クリック&モルタルで行く。当然時間はかかるが、気長に色々口コミを図りながら取り組む。だと思います。この場合、投資額が2千万円から3千万円で事業が立ち上がる可能性がある(贅沢はできませんよ)。地方なので競争が緩いからという期待を込めてです。出店コスト詳しくないので。でも日本人の人件費などは除いています。

・上海でも同じなんですが、店舗コストと人件費が結構高いので、かなり安めに言っても店舗と人件費(日本人除く)で最低年間1千万円、活動費やイベント、ネット運営でやっぱりもう1千万円は必要じゃないかな。となると2ー3年で5-6千万円程度は最低必要な気がします。日本人の人件費抜きですし、もし高級ブランド志向でいこうとしたらこれじゃ無理です。プラスが日本人の人件費や出張費+在庫(日本からの全ての物流コスト含む)。やっぱ1億円程度は立ち上げコストが最低必要じゃないかな。

・個人でやる場合??
 何をするか次第ですが、生活費は悲惨な生活を送らなくても年間150万円程度あれば十分です。東京の3分の1で住みますよね。その点ではハードルは低いですね。
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1 コメント

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中国はインターネット先進国になった (山本@五反田)
2010-06-29 09:48:31
ことインターネットに関して、日本は米国に2年、韓国・中国に1年遅れているという印象で、最近は米国発のサービスが韓国や日本で知られる前に中国で大量にコピペされるケースが目につくようになってきました。

特にソーシャル・メディア/ショッピングのように、アフィリエイトの概念と親和性の高い分野は日本より確実に進んでる印象です。
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