日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

不毛地帯

2010-05-24 | 中国関連書籍書評
不毛地帯 (1) (新潮文庫)
山崎 豊子
新潮社

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不毛地帯が昨年の秋からドラマ化されていましたが、上海でも当然海賊版DVDが販売され私も最近見終わったばかりです。山崎豊子さんの原作自体は、たぶん10年前かな?中国ビジネスをするなら大地の子を読めといわれて彼女の本にはまり、特に海外出張がおおかったものですから、飛行機の時間つぶしに不毛地帯を含むかなりのシリーズを読ませていただきました。

 伊藤忠の瀬島隆三氏をモデルにした書籍ということくらいは直ぐにわかりましたし、シベリアには叔父が抑留されていたと聞いていましたので、小説としては面白く読んだという記憶がある程度だったのが正直なところです。そして中国関連というわけでもないので、ブログでも紹介していませんでした。

 ところが、先日お会いした中国人から、「不毛地帯に描かれる日本の商売の仕方は、今の中国と全く同じなんです。中国の現状を非難するのは理解できますが、日本もかっては同じだったということを理解してもらうためにも、日本人にはぜひドラマを見、小説も読んでほしい」という発言を受けました。

 そして、親しくしている若いコンサルの子に之を話したら、ドラマを見て昔の日本はこんなにどろどろしているんだと驚いたという話を受けました。

 正直びっくりです。

 何に驚いたか?この二人の反応でした。そしてその背景。

 不毛地帯に書かれている程度の事は、おそらく今日現在の日本でも行われています。

 私は最初の会社がゼネコンでした。現場にもいましたし、社長の秘書という立場にも短期間いました。ブログでは書かないほうがよいのでしょうが、20年前の日本ではまだ不毛地帯と同じことは行われていました。その後不動産金融の世界にいましたが、融資先の背景には同じような物が山ほどありました。舎弟企業どうのこうのというほど単純ではありません。

 そして、その最初の会社の同期が、2-3年前につぶれた山田洋行という防衛庁関連の商社に転職しており、自衛隊関連の商売を実際にやっていました。今も全然不毛地帯の時代と変わっていない。大手商社はそのまま生き残り中堅だったとこのみビクチムになった。これがその友人の解釈で、私も同感です。

 大手の民間企業でも同じです。ご本人の給与では変えるとは思えない立派な戸建て住宅に住まわれている一部上場企業の役員の方は意外といます。業者が家を渡すこともあるのです。これも3-4年前に実際に目にした姿です。

 コンプラコンプラ騒いでいますが、今日現在の日本でも、業種業界によっては中国と全く変わらないのです。金融証券の本部に属していればそういう姿を見ることもあるでしょう。商社で低開発国ビジネスをしていれば、どこに行こうが同じです。別に中国は特殊ではない。

 ということで、私個人は不毛地帯は小説として、ドラマとして楽しく見ましたが、そのビジネススタイルには何の疑問を持ちませんでした。ということで上記の中国人や日本人の反応にびっくりした次第です。

 中国人の方は、大半の日本人がこういうビジネスの事情を知らず、中国での人間関係作りができない。だからうまくいかない。欧米系企業は建前はともかく実践ではうまくやるという話題の中にでてきたのですが、中国関連のビジネスマンが、日本の本社の中枢で実際に行われていることへの理解がないと、之は危険だなと思わされます。

 というかそういうの知らないのは、若い企業は別にして、やっぱ本社でメインストリームに入っていない人を派遣しているんでしょうね。少なくとも古い日本企業は大なり小なり裏の顔を持っています。本社総務や秘書、経営企画、こういう部門と営業のトップクラスなら、必ず知っています。それを知らないとしたら、経験の少ない子か、こういう世界にタッチしないレベルの子。

 まぁ、この5年くらいで日本がどの程度浄化されたのかは深くは理解していないので勝手な思いですけど。コンプラブームも日本は極端に走りますし、日本の商売の実態も知らずに海外で働いている人が多そうなことに改めて驚いた次第です。

 ということで、推薦図書にあげておきます」

 あ、僕らの商材の多くが関税を払っていない話をこの中国人にしましたが、僕らはまだ個人だから一番単純な形態で行っている。大企業になるともっと複雑なスキームを構築してうまくやっている。でも日本企業はしていないから勝てないんだという話でした。今の規模ならまぁよいんじゃないともいわれました。

 というか、中国でうまく言っている日本企業の中には、このような中国スタイルの企業もあります。でも日本人は中国法人にはいませんし、外部の取材を一切カットしていますけど。見ればわかるんですけどね。

 やっぱ大手の日本企業は清濁併せ呑みこめるエースを持ってくるべきですよ。下っ端いくら連れてきても兵隊じゃ何もできない、決めれない、社内の根回しだって壷がわからなきゃできないでしょう。そのエースは決して高学歴の汚れ仕事をした事の無いお絵かきやさんじゃないですけど。この辺はこの国じゃ糞の役にも立たないですから。だけど、そういう人材が不足しているんでしょうね、彼らをぬいちゃったら日本でのビジネスに支障もたらすかな。
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