亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ほふく前進、金も端っこに顔を出す

2011年05月26日 16時26分44秒 | 金市場

ドル建て金価格は、いつものジリ高基調で4連騰。警戒しながらの歩みはまさに匍匐(ほふく)前進中。ギリシャの債務危機を中心とするユーロ圏の財政金融問題が金価格を刺激する環境が続いている。欧州では、ギリシャに端を発した域内債務危機の解決策をめぐり当局者の間で意見が分かれ、そのこと自体が先行きの懸念を高めている。

 

例えば、欧州委員会(EUの行政執行機関)のレーン委員(フランス出身で経済・通貨担当)は、仏紙とのインタビューでギリシャ債の償還期限を任意ベースで延長することは可能だとの認識を表明。一方で、ECB(欧州中銀)のシュタルク理事(ドイツ)はベルリンでの講演で、ギリシャの債務再編は「解決策にはならないし、してはならない」とし、ユーロ圏の指導者らは債務再編となった場合の「影響をよく考えるべきだ」と宣まったと(ブルームバーグ5月25日)。これとは別に同じECBの政策委員会メンバーでフランス中銀のノワイエ総裁は、再編はECBが受け入れることができない「恐怖のシナリオ」だとし、再編構想自体を否定しているそうな。

 

概ね政府部門や中銀サイドは、再編となった場合の市場の反乱を恐れるという展開。たしかに売りが売りを呼び、誘発的な雪崩れ現象は起きないとも限らない。つまり今は大丈夫と目されているスペインやイタリアへの飛び火の元を作ることを当局は警戒している。しかし、こうして宙ぶらりん状態で時間が経過していくこと自体が、(彼らが恐れる)市場環境を醸成していることになる。

 

ギリシャ問題は、債務返済の繰り延べ(リプロファイル)を含め何らかの債務の軽減(債務のリストラ=一部債務不履行つまりデフォルト)というのが現実的な対応ということではないか。実行にあたり結局「どの方法」が、あるいは「どのタイミング」がより影響が少ないかという点に集約されそうだ。さもなくば、ドイツ、フランスというユーロ圏の大国がどこまで救済資金を拠出できるかということ。ただし、後者は該当する国の国民の反発が強く政治的に難しい。

 

こんな中で25日はスイスフランが主要16通貨全てに対し上昇し、そこに金も端っこにチョこっと顔を出すという展開。そういえば独コメルツ銀行のレポートいわく、インドの業界団体 the Bombay Bullion Associationは今年のモンスーンの状態が良ければインドの金輸入は1000トンに達する見込みとしていると。


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