週明け8月29日のNY市場の金価格は、小幅続伸で終了。先週末のジャクソンホールを受けた乱高下の余韻の残す地合いで、アジアの時間帯はまずは売りから入る軟調展開でスタートすることになった。
週末に米政府機関CFTC(商品先物取引委員会)が発表したデータでは、8月23日時点のNY金先物取引でのファンドの買い越し残は29万4609コントラクト、重量換算で916トンと前週の883トンから増加していることが判明。過去最高水準の買い越し残が依然として維持されている。ただし、先週は24日水曜日以降にファンドのロング(買い建て)の手仕舞い売りが断続的に出たとみられることから、現時点では減少しているとみられる。
その中で、26日のジャクソンホールでのイエレン、フィッシャー発言を受けて乱高下した際に建玉(取組)が増えていることから、傾向的にどちらに傾いたかは不明。本日分までのデータは、週末金曜日(日本時間の早朝)に発表される。いずれにしても、大勢的には買い越しに偏った状況に大きな変化はなさそうだ。問題は、それが2日金曜日の米8月の雇用統計の結果を受けてどのように動くかということ。先物市場でのファンドの売買動向が目先の価格の方向性を決めており、仮に結果がよくレイバーデイの3連休を前にファンドの見切り売りを誘発し、下押しプレッシャーが高まることになる。
29日の市場は、売り先行のアジアの時間帯からロンドンでの取引がスタートする頃には早くも売りも一巡ということになった。静かな展開の中で徐々に水準を切り上げる流れに転じ、一時は1317.20ドルと7月27日以来の安値をみた価格は、NYの通常取引が開始される頃には1320ドル台を回復し、その後も地味ながら上値追いを続けることになった。結局NYコメックスの通常取引は前日比1.20ドル高の1327.10ドルで終了した。為替市場でのドル高も先週26日に見られた勢いはなく、ジリ高という感じで強いという印象もなかったので、金市場はこの動きを無視という展開。
個人的に興味深かったのは、海外メディアが29日の1310ドル台からの反発を“Bargain Hunting(安値拾い)”と表現していたこと。1310ドル台は、“Bargain バーゲン”という感覚かい!、と思った次第。なるほどそうであれば、底堅いはずだ・・・と。
米国関連の指標では、8月の個人消費支出が発表され、4ヵ月連続で増加と結果が良かった。いまの米国経済を支えているのは、個人消費であり、ここが崩れると先行きが怪しくなる。同時に発表された、個人消費支出物価指数は前月に続き前月比0.1%の伸びでインフレの兆候は全く見られない。FRBが利上げに踏み切れない要素のひとつとなっている。