日本時間の本日昼前、11時半過ぎにプーチン大統領がTV演説。その後の展開は各種報じられている通りだが、しかし、砕けた表現をするならば、仮に外部から反撃すれば目にもの見せてやる、思い知ることになるぞ、どんなことになっても俺は知らんからな!!という恫喝ぶりは目つきといい、何ともアブナイ状況を感じさせた。あくまで個人的な感想だが。
昨日はここに、今回の紛争の主導権はプーチンが握っていると思われ、失敗した際の自身の政治生命にかかわる話になりそうなので一般的な終息にはならないというニュアンスで書いた。
独立を承認した時点で「ミンスク合意」は瓦解しており、親ロシア派が動けば大規模な軍事衝突が起きるとしたが、これは攻撃の仕方が想定外となった。「こう着状態となり双方の睨み合いが長期化という流れは、大規模な軍を展開しているロシアを思えば考えにくいのだが、果たしてどうなるか」とも書いた。国境沿いの駐屯がやや長引き、軍からも不満の声があがっているという話を耳にしていたことと、単純に軍事費の負担を考えてのことだった。
経過から思わせるのは、ウクライナ東部のみならず、北方のベラルーシから、さらに南部黒海方面からと、多面的にウクライナの軍事拠点や軍事インフラをピンポイントで叩く方法を取っているということ。超音速ミサイルやドローンなどを駆使し、陸軍の兵員が入るまえにかなりの程度で無力化という算段か。新型兵器を試す場にもなっているのではなかろうか。しかし、主要都市を攻撃対象にせず、しかしウクライナ全体の統治を目論んでいると思われることが、戦後処理を難しいものにしそうな印象が強い。
Post Cold War Eraは終わり、米中冷戦時代の到来を念頭に置いてきたが、傍流と思っていたものも、意外と存在感があったばかりか、そもそも中ロがタッグを組んでいるのはわかっていたわけで、という感じだ。余談だが、トランプがかき回した北朝鮮は、米国との対話はやめて、中ロの下に駆け寄り体制の維持を認めてもらうという流れだろう。。
いずれにしてもウクライナ侵攻の背後にある意思を思わせるように、攻撃が広範囲なものになったことで、マーケットの反応も大きくなった。今週は21日月曜日に「有事の金は復活か」と題した一文を書いたが、やはり今回はいわゆるデタント時代の紛争とは一線を画するものとなったことで、金市場の反応も大きくなっている。
NY金はNY時間の午前6時時点で1976.50ドルまで高値を見て1970ドル前後での取引となっている。昨年1月6日のザラバの高値1962.50ドルを抜き、そのまま20年11月9日のザラバ高値1966.10ドルも上抜いた状況にある。先週まで買い付いていたファンドの売りが1950ドル前後からかなり出たと思われるが、そこを抜いたことで次の動きもヒットしたと思われる。この上は20年9月2日の1980.40ドル、引値では同9月1日の1978.90ドルがある。
米国の夜が明け、これからいわゆる西側の対応策が流れ、そのニュースのヘッドラインにファンドのロボットがどう反応するのかという展開で、値動きが大きくなりそうで(既になっているが)シートベルトをしっかりと締めて。。。ということか。
欧州株の下げがきついのは言うまでもないが、欧州では今回のロシアの動きは第2次世界大戦以来の規模と報じられている。時代を動かす出来事が起きているということか。