クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調 「運命」 バレンボイム/ベルリン・シュターツカペレ

2008年02月06日 06時06分44秒 | 交響曲
ベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」。
ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレの演奏。
1999年5~7月、ベルリンの旧東ドイツ放送局第1スタジオで収録された全集盤からのもの。TELDEC原盤。

純ドイツ風の重厚さで迫ってくる伝統のベートーヴェン。
古色蒼然たる響きで聴き手を包み込む重量感のあるオーケストラが素晴らしい。ベルリン・シュターツカペレの剛毅な音が前面に出てくる演奏。

ピリオド奏法や古楽器団体の演奏が全盛の時代にあって、これほど古いタイプのベートーヴェンをやるのだから、バレンボイムもスゴイ。フルトヴェングラーの時代に遡ったような感じ。カラヤンやベーム、バーンスタインでも、こんな重厚剛毅強靱な響きのベートーヴェンはやらなかった。とすると、やはりこれがバレンボイムが目指すフルトヴェングラーを意識しての演奏なのだろう。

第1楽章の強さ。もう堂々たる「運命」。その音が見事。そやそや、ベートーヴェンの「運命」だもの、こういう音でやらにゃ、感じが出んぞよ・・・と膝を叩く場面しきり。
テンポが中庸だが、音がとにかく強いので、もう王者の風格満点のベートーヴェンになっている。近来稀に見る(聴く)伝統スタイル。こういうの久しぶり。エエなぁと思う。

第2楽章は一転、たっぷりしたテンポで遅い。じっくりと旋律を歌わせつつ。対向旋律などにも配慮して、対位法的作風を明らかにしていこうとする感じ。昼間部のチェロの美しい歌は、悠久たる大河を思わせる名演奏と思う。
ティンパニの強打、トランペットの輝かしく強靱な響きも最高。弦楽合奏も充実、このトラック6分過ぎのトゥッティが減衰して消えゆくときの余韻余情は、いや全く絶美。たまらない美しさ。

第3楽章は緊張感で一杯。ホルンやトロンボーンは見事。ヴァイオリンが両翼配置なので、響きが左右に大きく広がってゆくのもイイ。聴いていて、オーケストラに包み込まれてゆく安心感、心地よさがある。演奏は緊張感で一杯なのに、聴いていると、その包容力に感動してしまう。

そして、フィナーレは勝利の大行進。凱歌。雄叫び。ベルリン・シュターツカペレが目一杯鳴り響いて、それこそ大爆発している。素晴らしい。
苦悩から歓喜へ。勝利の凱歌は、こうでなくちゃ。気持ちいいほど、オケが唸り、叫んでいる。

録音も素晴らしいです。
重厚な響きが広がり、左右・高低ともに音がよく伸びていきます。残響も大変美しいです。
ティンパニの音ヌケがもう少し良ければもっとカッコイイのになぁと思うんですが、もしかするとあえて目立たせないようにしたのかもしれません。
弱音でも音がやせず、生々しさが伝わります。その緊張感がまたエエんです。
バレンボイムのうなり声はご愛敬。臨場感に一役買っているかもしれません。

ネットの世界をボンヤリ眺めていると、バレンボイムはあまり評判よろしくないようです。
そんな気がします。
そこで、ちと、褒めてみました。




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