クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

モーツァルトのピアノ協奏曲第26番K.537「戴冠式」 カサドシュ(Pf) セル/コロンビア響

2008年08月21日 06時18分00秒 | 協奏曲
今日は協奏曲を聴いてます。古い、そして懐かしいLPであります。
モーツァルトのピアノ協奏曲第26番 ニ長調 K.537「戴冠式」。
ロベール・カサドシュのピアノ独奏、ジョージ・セル指揮コロンビア響の演奏。
1962年11月、クリーヴランドでの録音。CBSソニーの廉価盤LP。コロンビア響といっても契約上の問題でそうなっただけのこと、実際はクリーヴランド管の演奏。

セル/クリーヴランド管の清潔なバックがまずは素晴らしい。カサドシュのデリカシーに富んだピアノもまた素晴らしい。これぞモーツァルトを聴く喜びと言いたい。名演奏と思う。
カサドシュのピアノは大家の芸。練達のアルチザンとでも云おうか。貫禄十分なのだが、それをひけらかさず、純粋にモーツァルトに向かって、奉仕している感じが伝わってくるのが嬉しい。そして、軽やかなタッチ。羽毛がフワッと浮くような軽やかさで、モーツァルトを弾いてゆく。この軽さ、この優美さはロココそのものじゃないか。ああ、これぞ「戴冠式」にふさわしいスタイルだろう。
特に第2楽章が良い。カサドシュの芸は、このラルゲットで一番輝く。静けさの中にクリスタルのように美しく輝く。クールなのにしっとりとした潤いのあるセル/クリーヴランドの伴奏を背景に、カサドシュのピアノが浮かび上がるような美しさ。
第3楽章も名演奏。アレグレットなのだが、聴いた感じはもっと速い。その快活さが楽しい。セル/クリーヴランド管のアンサンブルが素晴らしく、オーケストラ部を聴く楽しみもあって、協奏曲を聴く楽しみが倍加する。そしてカサドシュはイキでイナセなピアニズム。めくるめくような快速パッセージもまた美しいこと!
録音はさすがに古びた感じ。高音の伸びがやや不足、音が詰まった感じがします。まあ、いつものセルのレコードの音だなぁという感じです。ただ、その貧しい録音の中からカサドシュとセルの至芸が聴き手に伝わります。名演・名人芸は録音の良否を超えます。いつも云ってますが・・・。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
入行式の定番曲です (Klug)
2016-08-23 06:31:58
三大名演、ブレンデル マリナー カサドシュ セル そしてアンダの自振 第一楽章のワクワク感を適切に表現しているのはセルだと思います。音の固さなど全く問題になりません。もっと世間に知ってほしいです
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