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日が長いです。伊予路は夜7時を過ぎても明るいです。
一年で一番日の長い時なんですねえ。定刻に帰宅するのは勿体ないような気がします。
夜は短く、朝は早い。
さて、今日はマーラーです。
■マーラー:交響曲第7番「夜の歌」
■演奏:ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送響
■録音:1976年2月5日、ミュンヘン、ヘルクレスザールでのライヴ録音。Audite原盤
「実演のクーベリックは違う・・・」。
とは、よく云われていたことだが、こうしてライヴ盤を聴いてみると、ホンマに実演ではクーベリックは別人だった。
残念ながらボクはクーベリックのナマ演奏は聴いたことがない。彼のマーラーは、だから。DGの全集盤で楽しんできた。いわゆるスタジオ録音だ。あのスタジオ録音盤は、ボヘミアの香りのする、もっと云えば誠実で真摯で、しかしボヘミアの田舎の匂い、草むらのムンムンするような香りが特徴的で、派手な音響で耳を奪うような演奏とは一線を画すものであって、その点で実に好ましいものだった。愛聴盤でもある。
しかし、実演のクーベリックはホンマに「違う」。驚いた。
まず、テンポ!
第1楽章の冒頭からして、もう全然違う。実に遅いのだ。途中で止まってしまうのではないか、と心配になるくらい遅い。この遅さは、クレンペラー盤(EMI)に匹敵する。あのクレンペラー盤は異様なほどに遅かった(・・という点では、必聴の一枚。クレンペラー盤を聴かないと、「夜の歌」の本質は分からんのではないかとボクは思っているが・・)。
クーベリックの遅さは、もちろん堂々としていてガッチリした構造を感じさせるのだが、緩急は自在で、いかにもライヴだなぁと思わせる即興性も随所に見える。
表情付けも濃厚。一音一音の隈取りが濃い。クーベリックにしては珍しいと思う。スタジオ盤では淡彩の絵画のような描き方をしていたのに、この実演盤は、とても濃い。これがクーベリックの本質だったのか。第1楽章の後半など、怪しく、ドロッとした感じもする。
第2楽章「夜の歌Ⅰ」はさらに怪しげな感じ。グロテスクなマーラーがここにはいる。怪奇趣味に近いかも。猟奇的とは云わないまでも、スタジオ盤になれた耳には、ゾッとするくらいの怪しさがある。
第3楽章も遅いのだが、ちと散漫な印象を受ける。集中力に欠けるというか、まとまりが弱い感じというか。これも実演ならではのものかもしれない。
第4楽章「夜の歌Ⅱ」も遅いので、個々の楽器の動きがよくきこえる感じ。よく見える、と言ってもよい。オーケストラがどんなことを今しているのか、見えやすい感じの演奏。音はとても綺麗で、バイエルン放送響は健闘していると思う。
そして、終楽章の混乱と収束。これもマーラーならではの音楽やなぁと聴きながらつくづく思った。いやはや、総合的には非常に面白い演奏だった。
録音はほどほどと云うべきでしょうか。
鮮やかな音作りではないし、高域が少し乾いたようにもきこえるのですが、時代のハンディを考えれば、上々なのかもしれません。
一年で一番日の長い時なんですねえ。定刻に帰宅するのは勿体ないような気がします。
夜は短く、朝は早い。
さて、今日はマーラーです。
■マーラー:交響曲第7番「夜の歌」
■演奏:ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送響
■録音:1976年2月5日、ミュンヘン、ヘルクレスザールでのライヴ録音。Audite原盤
「実演のクーベリックは違う・・・」。
とは、よく云われていたことだが、こうしてライヴ盤を聴いてみると、ホンマに実演ではクーベリックは別人だった。
残念ながらボクはクーベリックのナマ演奏は聴いたことがない。彼のマーラーは、だから。DGの全集盤で楽しんできた。いわゆるスタジオ録音だ。あのスタジオ録音盤は、ボヘミアの香りのする、もっと云えば誠実で真摯で、しかしボヘミアの田舎の匂い、草むらのムンムンするような香りが特徴的で、派手な音響で耳を奪うような演奏とは一線を画すものであって、その点で実に好ましいものだった。愛聴盤でもある。
しかし、実演のクーベリックはホンマに「違う」。驚いた。
まず、テンポ!
第1楽章の冒頭からして、もう全然違う。実に遅いのだ。途中で止まってしまうのではないか、と心配になるくらい遅い。この遅さは、クレンペラー盤(EMI)に匹敵する。あのクレンペラー盤は異様なほどに遅かった(・・という点では、必聴の一枚。クレンペラー盤を聴かないと、「夜の歌」の本質は分からんのではないかとボクは思っているが・・)。
クーベリックの遅さは、もちろん堂々としていてガッチリした構造を感じさせるのだが、緩急は自在で、いかにもライヴだなぁと思わせる即興性も随所に見える。
表情付けも濃厚。一音一音の隈取りが濃い。クーベリックにしては珍しいと思う。スタジオ盤では淡彩の絵画のような描き方をしていたのに、この実演盤は、とても濃い。これがクーベリックの本質だったのか。第1楽章の後半など、怪しく、ドロッとした感じもする。
第2楽章「夜の歌Ⅰ」はさらに怪しげな感じ。グロテスクなマーラーがここにはいる。怪奇趣味に近いかも。猟奇的とは云わないまでも、スタジオ盤になれた耳には、ゾッとするくらいの怪しさがある。
第3楽章も遅いのだが、ちと散漫な印象を受ける。集中力に欠けるというか、まとまりが弱い感じというか。これも実演ならではのものかもしれない。
第4楽章「夜の歌Ⅱ」も遅いので、個々の楽器の動きがよくきこえる感じ。よく見える、と言ってもよい。オーケストラがどんなことを今しているのか、見えやすい感じの演奏。音はとても綺麗で、バイエルン放送響は健闘していると思う。
そして、終楽章の混乱と収束。これもマーラーならではの音楽やなぁと聴きながらつくづく思った。いやはや、総合的には非常に面白い演奏だった。
録音はほどほどと云うべきでしょうか。
鮮やかな音作りではないし、高域が少し乾いたようにもきこえるのですが、時代のハンディを考えれば、上々なのかもしれません。
クーベリックのマーラーのライヴ盤を幾つか入手して、ポツポツ聴き始めています。第7番はとても面白かったのでエントリーしてみました。スタジオ盤と全然違います。とても面白く聴けました。まるで別人です。
80年頃のミュンヘン、おっしゃるようにスゴイですね。クーベリックにチェリビダッケ、サヴァリッシュにクライバー・・・・いやはや垂涎の指揮者たち、今思うと、贅沢の極みですね。