クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ポリーニのベートーヴェン  後期ピアノ・ソナタ集

2011年06月26日 04時47分59秒 | 器楽曲
蒸し暑い日がこれで4日。日中は猛暑日でありましたね。
ボクは持ち帰り仕事で一日デスクワーク、たまらず午後からは部屋のエアコンのスイッチをオンに・・・・・。
台風と梅雨前線の影響で、雨の予報も出ているんですが、さてどうかな。
車のタイヤ交換の時期が来ているので、そろそろ品定めをしないと・・・と思いつつ、ワタクシはド素人、タイヤ屋に行っても何が何だか分からない・・・・・・(^^ゞ

さて、今日はポリーニです。

■ベートーヴェン:後期ピアノ・ソナタ集(第30番~32番 作品109~111)
■演奏:マウリツィオ・ポリーニ(Pf)
■録音:1975~1977年 DG盤

録音から30数年を経過しても、今も素晴らしい音で聴ける、優秀録音。
ポリーニの明るく爽快な音を余すところなく伝えてくれていると思う。

若きポリーニの颯爽たるベートーヴェンで、今聴いても実に瑞々しく、緻密さと豪快さ、繊細さと底抜けの明るさをもっていて、まさにポリーニの堂々たる演奏が聴ける1枚。
もう何年も各方面で賞賛されているのであって、ボクは屋上屋を架すこともないように思うのだが、やはり、聴けば聴くほどエエなぁと思う演奏なのであって、惹きつけられる。
まず、音のすばらしさ。一点の曇りもない、美しく明るい音。
加えて、楽曲の隅々まで光を当てて、音楽のすべてを明晰に描き出す、演奏の力。
繊細で時に豪快に音を鳴らし、緩徐楽章では惻々と晩年のベートーヴェンの心情を伝えてゆく。その感情はサラッとしていて淡いものなのだが、妙にべたつかないのがかえって聴き手の想像力を刺激して、涙なしには聴けない。
ああ、後期のソナタの緩徐楽章。ホンマに美しい。人生の下り坂にあるものとして共感すること多いなぁ・・・・・。

ポリーニのピアノがあまりにも巧すぎて、また実によく鳴りすぎて、ちょいとやりすぎかいなぁと思ってしまうくらい。そのくらいスゴイ演奏と思うのだが・・・・。

先日書いたように五味康祐はポリーニを貶します。
(ボクは五味康祐の文章は大好きなのであります。よく読みました。そして、彼のものの言い方も大好きなのであります。その五味がポリーニをボロくそにこきおろします。面白いですねえ。以下、引用してみます。『いい音いい音楽』からです。)

最近、あらためて聴いてみて無性に腹が立ったのが、ポリーニのベートーヴェンのソナタ(作品111)だった。
ポリーニは売れっ子のショパン弾きで、ショパンはまずまずだったし、来日リサイタルで彼の弾いたベートーヴェンをどこかの新聞批評で褒めていたのを読んだ記憶があり、それで買ったものらしいが、聴いて怒髪天を衝くイキドオリを覚えたねえ。近ごろこんなに腹の立った演奏はない。作品111は、いうまでもなくベートーヴェン最後のピアノ・ソナタで、もうピアノで語るべきことは語りつくした.ベートーヴェンはそういわんばかりに以後、バガテルのような小品や変奏曲しか書いていない。作品106からこの111にいたるソナタ四曲を、バッハの平均律クラヴィーア曲が旧約聖書なら、これはまさに新約聖書だと絶賛した人がいるほどの名品。それをポリーニはまことに気障っぽく、いやらしいソナタにしている。たいがい下手くそな日本人ピアニストの作品111も私は聴いてきたが、このポリーニほど精神の堕落した演奏には出会ったことがない。ショパンをいかに無難に弾きこなそうと、断言する、ベートーヴェンをこんなに汚してしまうようではマウリツィオ・ポリーニは、駄目だ。こんなベートーヴェンを褒める批評家がよくいたものだ。

いやぁ、気持ちいいほど、ボロくそに言ってますねえ。やれやれ。

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3 コメント

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なるほど面白いと言えば (shibera)
2011-06-26 23:54:14
面白いのかもしれませんが、「精神の堕落した」という抽象的表現以外、どこがどう悪いのかサッパリ分からないというか_私風にリメイクするなら、「この難解な名品を、ポリーニはまことにさり気なく、高潔なソナタにしている。たいがい深刻ぶった独奥系ピアニストも聴いてきたが、このポリーニほど技術の昇華した演奏には出会ったことがない。ショパンをあれほど完璧に弾きこなした上に、断言する、ベートーヴェンをこんなに突き詰めてしまうようでは、マウリツィオ・ポリーニは末恐ろしい。こんなベートーヴェンを貶める批評家がよくいたものだ_」ではまた。
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タイヤ更新 (narkejp)
2011-07-06 06:11:33
わが愛車も、そろそろタイヤを更新しなければいけません。トレッドの残りが危なくなってきて、スリップサインが近いです。先月に値上がりしたばかりだそうで、間が悪いですね~(^o^;)>poripori
1950~60年代だと思いましたが、文士の音楽批評を読み、外来演奏家が「本当の一流の音楽家の演奏を生で聴いたこともなく、よく音楽批評などできるものだ」と怒っていたそうで、それを聞いた某音楽評論家が、「それもそうだ」と、ドル持ち出し制限があった時代に自費で海外の音楽会めぐりをしてきたそうです。このつわ者は、たしか吉田秀和氏だと思いました。この文士というのが、たぶん・・・
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五味さんにそんな文章が (SAITO)
2011-07-28 04:19:22
初めてコメントを書きます。
なるほど五味さんが書きそうな文章ですね。
私の五味康祐のファンで「西方の音」などのベートーヴェンの後期のピアノソナタを取り上げた文章を読んでいたおかげでバックハウスのモノ盤で聴き始めました。学生時代でした。今、ポリーニの後期のソナタを最近ヤフオクでLPで3枚そろえました。
作品109をよく聴くのですが、111もまた聴きたくなりました。
宇野功芳さんもポリーニが嫌いなのですね。文春新書の名盤ガイドに載っています。
このポリーニの演奏については当時も賛否両論で「冷酷な」とか「テクノクラートがベートーヴェンを弾いている」といったような評論が記憶にあります。
私も当時そのように聴いていました。今はまったくそのようなことはないのですが。当時から30年以上経過しているのですが、聴き方も大きく変わったように思います。
また、良く聴いてみてお便りします。
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