クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ベートーヴェンの交響曲第6番 ヘ長調「田園」 ムーティ/フィラデルフィア管

2008年02月07日 05時52分13秒 | 交響曲
寒空と冬枯れの田んぼを眺めながら、のんびりと、今日もクラシック音楽を聴いております。
伊予路での田舎暮らしに、ベートーヴェンの「田園」は実に合います。


ベートーヴェンの交響曲第6番 ヘ長調「田園」。
リッカルド・ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏。
1987年9月、フィラデルフィアのメモリアル・ホールでの録音。EMI盤。

フィラデルフィア管の豊麗なサウンドがふっくらと広がってゆく「田園」。
そして美しく歌われた「田園」。

第1楽章は穏やかな表現。いかにも古典風の「田園」。様式的にも伝統的であり、20年前のベートーヴェンはこうだたよなぁ・・・・と懐かしくなってくる演奏。昨今のピリオド奏法・古楽器演奏に慣れた耳には、かえって新鮮な感じもする。
ふくよかな音響が心地よい。夢見るような音楽が、徐々に盛り上がって、拡散してゆく感じ。

第2楽章もゆったりテンポ。ムーティはあまり急がない。セカセカしない。着実な歩みを心がけている感じ。フィラデルフィア管の響きは大変優美。弦楽セクションのシルキータッチはいつもながら心地よく、頬を優しく撫でられているような快感がある。
負けじと木管も優美に鳴る。フルート、オーボエ、クラリネット、どれもやさしく暖かい。このサウンドは全く「田園」にふさわしい。遅いテンポに身を任せていると、幸福な気持ちがこみ上げてくる。

第3楽章は堂々たるスケルツォ。農民の楽しい踊りが目の前で繰り広げられる。ムーティのリズム感最高。
木管も金管もバランス良く鳴っていて、仕上げはとてもスマート。もう少しホルンの音を大きな音量で聴いてみたい気もするが、少し抑え気味かな。それがまた上品さでもあるか。

第4楽章の嵐の場面も、どちらかというとエレガント。嵐の場面もあまり激越にならず、上品なまとめ方。録音のせいか、音がまろやかで柔らかい。ティンパニの強打でさえ、優雅な感じ。妙な言い方になるが、「大変美しい嵐」であり田園だと思う。

そして、フィナーレは「美」の彼方へ連れて行かれるような音楽。
祈り・感謝の音楽と云うより、美への礼賛・ヴィーナス的な演奏でも云うべきか。テンポ良し、響き良し。イヤ全くフィラデルフィア管の音が美しく、感動的。
この音は媚薬のようなもので、ここまで綺麗な「田園」の終楽章は、そうはないんじゃないか・・・。

録音は、音源が少し遠い感じに聞こえます。
近接音が少なく、オフマイク的な録音なんでしょう。
残響豊かなホール中央の上席で聴いている感じで、臨場感は良好であります。
音の粒だちがもう少し良くてもイイかな、とも思うんですが、このふんわり感が、演奏の柔らかさ・優美さに繋がっているんでしょう。
その点では、優秀録音になるんじゃないかと思います。


ここDoblogのメンテナンスが2月7日1時~8時に行われるようです。
そこで、ちと早めに更新しておきます。



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