焼石岳は東北、いや国内でも屈指の「花の名山」だ。
そのせいもあり、この山の登山記録はいつも花レポートに終始しているが、
実は山岳景観もなかなか素晴らしい。
今までに十数回、登っており、天気には割と恵まれていると思っていたが、
この日(2018年7月27日)ほどよく晴れて視界良好の日は今までに無かった。
よって今回は山岳展望に軸足を置いてリメイクしてみた。
(元頁は、「7月27日、焼石岳(1.中沼から山頂・・・) (2.山頂からの展望と花) (3.秋田斜面のお花畑) (4.東焼石岳のお花畑)」。)
この日は中沼ルートから入山した。
中沼と横岳
中沼ルートでいつも思うのは、中沼手前の森林中の上り坂。
このルートで一番、しんどいのはもしかしたらこの辺りかもしれない。
ここさえクリアーしてしまえば、冒頭のように素晴らしい湖沼風景が展開する。
そしてその先はエスカレーターに乗ったような気分で山頂まで行ける。と言ったら大げさか。
非合法マップ。オレンジ破線が今回歩いた一部。
中沼の次はほどなくして上沼、その先は森林歩きで視界は効かないが、
ところどころに小湿原が開け、いつも何がしかの花が咲いている。
銀明水が近づくと・・・
横岳から獅子ヶ鼻岳への連なり
道端の数多い花のうち、一種類だけ。
シナノキンバイ
銀明水上部の湿原は昨年、泥んこ道がひどかったが、今年は修復され、歩きやすくなっていた。
そのことに感謝しつつ、登ると・・・
経塚山と天竺山の重なり
その後は灌木帯の中をしばらく歩く。
姥石平が近づくと、東焼石岳や焼石岳が見渡せる草地に到着。
この場所は前年7月中旬に来た時はヒオウギアヤメが群れ咲いていたが、
この日はギボウシやトウゲブキに変わっていた。
焼石岳と横岳の鞍部まで駆け上がったら、鳥海山がくっきりと見えた。
今まで登った中では最高の見え方だった。
鳥海山をアップで。
もちろん他の山の眺めも素晴らしかった。
西側の眺め。右に西焼石岳。
個人的には初の大サイズ画像で。
西側の眺め。西焼石岳南側のカールのような窪地を望む。
カールのような窪地と奥羽の山並み。
この日、最も感動した風景(絶景)はこのカール底のような地形とその向こう、幾重にも重なる奥羽山脈だった。
西側の山岳風景はまだ続く。
月山方面をアップで。
南西方向の山座同定。
朝日連峰までしっかり見えるとは予想してなかった。
虎毛山。左の方は須金岳。
南側。
栗駒山と秣岳。
焼石岳山頂から北側を見ると・・・。
南本内岳越しに右から岩手山、八幡平、秋田駒ヶ岳、和賀岳などが連なる。
岩手山
早池峰山
山頂付近で咲く花。
ハクサンシャジン(と鳥海山)
山頂からは東成瀬ルートを下って行く。
秋田側(東成瀬ルート方面)を望む。左奥に鳥海山、右奥に三界山。
三界山と八合目・焼石沼。
このあたりの眺めは確か田中陽希さんがグレートトラバース2で絶賛されていたように記憶している。
さらに下ると・・・。
左奥に鳥海山、中ほどに大森山、右下に名無し湿地。
東成瀬ルート九合目(焼石神社)の分岐点に到着。
秋田斜面のお花畑を見下ろす。
折角来たので、東成瀬ルートを少し下ってみることにした。
ここから先、八合目・焼石沼までの区間を仮に「秋田斜面」と呼ぶこととする。
此処には焼石の他の場所ではあまり見られない花が数多く咲く。
秋田斜面のお花畑(トウゲブキやエゾニュウ、タカネナデシコ、ハクサンフウロなど)。バック右に焼石岳。
クガイソウの小群生。バックに焼石岳。
姥石平から東焼石岳南西面にかけては、この山域で最大のお花畑が広がっている。
六月上~中旬、ハクサンイチゲが咲く頃は実にみごとだ(こちら)が、真夏にもけっこう多くの花が咲く。
ただし花の量は年によって差がある。今年はどうだろうか。
姥石平のお花畑と焼石岳。
正直を申せば、前年の8月6日(こちら)に較べると、
秋田斜面、姥石平ともに花の量は明らかに少なかった。草丈も低く感じた。
これは旱(ひでり)のせいだろうか。
東焼石岳山頂からホンの少し六沢(むざ)山の方に踏み出すと・・・
六沢(むざ)山と経塚山
六沢(むざ)山と名無しの池沼。
東焼石岳山頂を最後にこれからは下山体制に入る。
東焼石岳のお花畑小道。バックは横岳。
帰り道、横岳と焼石岳の鞍部から月山が見えた。
西焼石岳の隣には鳥海山も見えた。
今回、花は少し物足りなかったが、山岳展望に関しては恐ろしく恵まれた一日だった。