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公務非正規の女性 待遇深刻 低賃金・不安定…背景は

2024年05月22日 | 生活

「はむねっと」3周年集会 大阪信愛学院大学准教授 廣森直子さんの報告から

「しんぶん赤旗」2024年5月22日

一緒に怒り 現状を変えよう

 低賃金で不安定雇用の非正規公務員。その待遇の改善に当事者が声を上げ始めた一方、「なぜそんな働き方を選んだのか」と個人の選択を問う声もあります。背景と課題は何か。公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)3周年集会(3月開催)での、大阪信愛学院大学准教授・廣森直子さんの報告から紹介します。(重村幸)

 

 非正規化が進む公務専門職の多くは、女性が担っています。社会に必要なエッセンシャルワークでありながら、ボランタリー(自発的)な活動の延長と扱われることの多い教育や福祉などの仕事を、女性が守ってきたのです。

 その待遇は劣悪で、女性たちの経験を聞くと、女性で非正規であることの二重の差別があり、搾取があると感じます。

不当な職場・社会構造を問うべき

 ところが、この問題に対し、よくあるのが「彼女たちは、そんなひどい待遇でどうして働くのか」という質問です。なぜ、女性が働く選択を問われるのでしょうか。女性たちは、公務専門職として働くことを選んだだけで、待遇を選んだわけではないと思います。

 そこには、日本社会の家族観やジェンダー観が強く作用しています。“男は仕事、女は家庭”といった性別役割分業のもと、女性の雇用条件には「扶養される前提」が根強くあります。「嫌ならやめれば」という風潮の中で、声を上げにくく、上げても軽視される場合が多いのです。

 職場や労働条件を良くするという選択肢を奪われ、「我慢するか、やめるかしか選択肢がない」のが実情です。女性の選択ではなく、職場や社会の不当な構造を問うべきです。

公務専門職場は持続可能なのか

 もし女性たちがやめてしまったら、その仕事はどうなるのでしょうか。

 図書館司書へのインタビュー調査で、低賃金による生活の厳しさや専門職への低すぎる評価は、他の「食べていける仕事」への転換を後押ししていると分かりました。それでもその仕事を選んだ人は、労働者の権利を「最初からあきらめて」いる実態があります。

 このような状況で公務専門職が持続可能なのか、職場で人を育てる仕組みが維持できるのか、専門性が保てるのか、住民にとっても大きな問題です。

 さまざまな職種の公務非正規の女性にインタビュー調査を行い、はむねっとの調査とあわせて分析すると、大きな傾向として、(1)雇用形態や職場環境から生じる専門性の軽視(2)低待遇を受け入れる労働者の権利意識の低さ(3)専門性を求められつつ評価されない制度のもとでの労働(4)正規と非正規の不平等がもたらす権力関係(5)職場における排除と非正規の立場ゆえの「仲間」のつくりにくさ―がありました。

 「専門職としてのやりがいはある」一方、「職場の意思決定に参加できず、現場のニーズを反映できない」「熱意を持つ人が我慢し、がんばってしまう構造がある」などの声。また、「現場の専門性は非正規に蓄積され、正規職員は管理業務に特化している」一方、「非正規は“補助的で簡単な業務”の建前が変わらない」「専門職として評価されない」などの声が上がっています。これは、社会の仕組みの問題です。

 単年度の有期雇用で公募が繰り返されることによる雇用不安や尊厳の傷つきなど、改善すべき制度の課題も大きいです。

違いも前提に支え励ましあう

 声を上げ、社会問題化することは難しさもありますが、仲間とともに支え合いエンパワメントしながらあらがうことが必要ではないでしょうか。

 公務非正規を選択した理由を問う自己責任論ではなく、「そんな状況はおかしい」と一緒に怒り、社会や職場の構造を問うのが当たり前になれば、現状は変えられるはずです。

 知識や経験を共有し、自分たちの「要求」をつくり、支え励ましあうネットワークでつながることも重要です。立場や思いが違えば、「要求」が異なることは当然ですが、違いも前提に連帯することが大切だと思います。


園のようす。
ベニバナイチヤクソウ開花。



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